【邦画】2000年代以降の日本アカデミー賞 歴代最優秀作品賞受賞作品をご紹介

2022年10月6日

第33回(2010年)

沈まぬ太陽〔2009〕


航空会社の安全と企業体質の倫理を世に問う社会派ドラマの大作

日本航空と実際の社員の体験に基づいて書かれた山崎豊子さん原作の社会派超大作です。

映画の中で描かれる国民航空123便墜落事故の現在とそこから遡る約10年ほど前の労働組合で委員長をつとめる恩地を主人公に物語は行き来して展開していきます。

会社にとって不都合な存在である恩地は不当人事によって、パキスタン・カラチからイラン・テヘラン、ケニア・ナイロビへと約10年にわたって左遷させられます。

そして、墜落事故後は遺族担当として働きますが、会社の体質や政府との兼ね合いで苦闘します。

映画はフィクションとして扱われていますが、安全や社会倫理を思うとやるせなくなる3時間超の骨太な社会派人間ドラマです。

監督 若松節朗
脚本 西岡琢也
原作 山崎豊子
公開年 2009年
出演者 渡辺謙 / 三浦友和 / 松雪泰子 / 鈴木京香 / 石坂浩二 他

 

優秀賞

ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜

ゼロの焦点

劒岳 点の記

ディア・ドクター

 

 

 

第32回(2009年)

おくりびと〔2008〕


「死」に向き合うという職業にもドラマあり!

第81回アカデミー賞で、日本映画史上初の外国語映画賞を受賞した作品です。

遺体を棺に納める“納棺師”という職業を通して、様々な死と向き合い人生をみつめるヒューマンドラマです。

死」を扱うテーマという、それだけで涙がつきものですが、この物語はそれ以上のものがあります。

物語の中でも語られている通り、偏見の多い職業なんでしょうけど、その認識を大きく変えてくれます。

本木さんの男泣きに、たまらずつられて泣いてしまいます。

監督 滝田洋二郎
脚本 小山薫堂
公開年 2008年
出演者 本木雅弘 / 広末涼子 / 山﨑努 / 余貴美子 他

 

優秀賞

母べえ

クライマーズ・ハイ

ザ・マジックアワー

容疑者Xの献身

 

 

 

第31回(2008年)

東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜〔2007〕


ちょっと特殊だけど誰もが共感できる家族愛に切なくなる傑作

リリー・フランキーさんが母親との半生を綴った自伝的小説を原作とした作品です。

東京タワーの見える病院に入院しているオカンを看病するボクの現在と少年時代の回想を交えながら映画は展開していきます。

福岡県の小倉で生まれ、5歳から筑豊で母と二人で暮らし、高校進学のために15歳から母と離れて暮らすことになります。

その後、大学進学で上京して、15年たち母の病気がきっかけでいっしょに東京で暮らすことになります。楽しく過ごしていましたが、病気が再発することに。

本屋大賞を受賞した作品だけあって、感動することはもちろん、個性的でマルチに活躍するリリー・フランキーさんの赤裸々な内面を覗き見ているような部分もありますが、おそらく誰もが自分の家族への愛を噛み締めたくなるような傑作です。

監督 松岡錠司
脚本 松尾スズキ
現作 リリー・フランキー
公開年 2007年
出演者 オダギリジョー / 樹木希林 / 内田也哉子 / 小林薫 / 松たか子 他

 

優秀賞

ALWAYS 続・三丁目の夕日

キサラギ

それでもボクはやってない

眉山 -びざん-

 

 

 

第30回(2007年)

フラガール〔2006〕


スパリゾートハワイアンズに今すぐ行きたくなる感動の作品!

昭和40年代初頭に福島県いわき市の町興しとして作られた“常磐ハワイアンセンター”の誕生秘話を映画化した感動作です。

炭鉱の閉鎖が迫り、何か町興しの目玉になるようにと北国をハワイに変えようというプロジェクトが持ち上がります。

その目玉として考えたのがフラダンスショーで、東京からダンサーの先生を呼び、素人の少女たちに教えますが、風当たりも強く試練を強いられます。

貧困や友情、圧倒的なダンスパフォーマンスと泣ける要素があふれていて、映画としての完成度も高く、見応えがあります。

ジェイク・シマブクロさんの楽曲も花を添えていて最高です。

監督 李相日
脚本 李相日 / 羽原大介
公開年 2006年
出演者 松雪泰子 / 豊川悦司 / 蒼井優 / 山崎静代 他

 

優秀賞

明日の記憶

男たちの大和/YAMATO

THE 有頂天ホテル

武士の一分

 

 

 

第29回(2006年)

ALWAYS 三丁目の夕日〔2005〕


ノスタルジックで人情味あふれる、涙が止まらない傑作

舞台はまだ東京タワーが作りかけの昭和33年の東京の下町です。

集団就職列車に乗って青森からやってきた六子。大手の自動車会社に就職できると思っていたら、小さな自動車修理工場でがっかり。

その向かいに住む駄菓子屋を営みながらしがない小説家をやっている茶川は居酒屋の美人店主・ヒロミから酔ったいきおいで、見ず知らずの子供を預かることになってしまい、その子と二人で共同生活することに。

古き良き昭和の懐かしさと人情味あふれる様子は幸福感もありつつ、高度経済成長の悲哀のようなものもあります。

後半のたたみかけるような泣かせる展開は反則級。泣ける映画の代名詞とも言えるヒューマンドラマの傑作。

監督 山崎貴
脚本 山崎貴 / 古沢良太
原作 西岸良平『三丁目の夕日』
公開年 2005年
出演者 吉岡秀隆 / 堤真一 / 小雪 / 堀北真希 / 薬師丸ひろ子 他

 

優秀賞

北の零年

蝉しぐれ

パッチギ!

亡国のイージス

 

 

 

第28回(2005年)

半落ち〔2004〕


本当に裁かれるべき罪とは何かを問う重厚な社会派ミステリーの傑作

「半落ち」とは警察用語で、「一部自供した」という意味。

現職の県警幹部、梶警部がアルツハイマーの妻を殺害したと自首してきます。

犯行は認めているものの、事件が発生してから出頭するまで「空白の二日間」があったが、それに関してはまったく自供しません。

何かを隠し守ろうとしているようなのだが、いったいその二日間どうしていたのかが争点になっていきます。

原作が直木賞の選考で「致命的欠点」を指摘され、落選したことから作者の横山秀夫さんが直木賞と決別したといういわくつきの作品ですが、本当に裁かれるべき罪とは何かを問う重厚な社会派ミステリーの傑作です。

監督 佐々部清
脚本 田部俊行 / 佐々部清
原作 横山秀夫
公開年 2004年
出演者 寺尾聰 / 原田美枝子 / 吉岡秀隆 / 鶴田真由 / 柴田恭兵 他

 

優秀賞

隠し剣 鬼の爪

スウィングガールズ

世界の中心で、愛をさけぶ

血と骨

 

 

 

第27回(2004年)

壬生義士伝〔2003〕


新撰組で義と家族のために戦った男の壮絶な生き様に魂が震えます

物語は明治32年の東京の小さな病院から始まります。

熱の出た孫を連れてきた老人は、かつて新撰組で戦った斉藤一でした。

その病院で目にした写真の男はかつて憎むほど嫌った吉村貫一郎で、彼は盛岡・南部藩を脱藩して、新撰組の剣術師範方をつとめた男です。

死にたくないといい、金にもがめついほど執着しましたがそれには理由がありました。

新撰組の名だたる隊士が一目おいた田舎侍をメインに幕末における家族愛と友情を描いた、感涙必至の感度作です。

監督 滝田洋二郎
脚本 中島丈博
原作 浅田次郎
公開年 2003年
出演者 中井貴一 / 佐藤浩市 / 三宅裕司 / 村田雄浩 / 夏川結衣 他

 

優秀賞

阿修羅のごとく

踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!

座頭市

スパイ・ゾルゲ

 

 

 

第26回(2003年)

たそがれ清兵衛〔2002〕


山田洋次監督時代劇三部作第一弾の傑作

舞台は幕末の庄内、海坂藩で病弱の妻を看取り、祖母の介護と二人の娘を世話をすることで貧乏暮らしをしていた清兵衛。

そのため、同僚のつきあいもすることがなく、夕方になるとすぐに帰ってしまうことからたそがれ清兵衛と陰口を叩かれていました。

畑仕事や内職で糊口をしのいでいた清兵衛は実は剣の師範代の腕前。

幼馴染の朋江の元夫を果たし合いで負かしたことによって腕前が噂になり、上意討ちの討手として選べれ、死地に向かうことに。

清兵衛のと最後に戦う余吾膳右衛門役を演じた田中泯さんの危機迫る怪演が素晴らしいです。

また朋江さんとのすれ違う恋の行方も見どころの一つ。

巨匠・山田洋次監督の時代劇三部作第一弾にして、時代劇の歴史的傑作といわれる作品。

監督 山田洋次
脚本 山田洋次 / 朝間義隆
原作 藤沢周平『たそがれ清兵衛』『竹光始末』『祝い人助八』
公開年 2002年
出演者 真田広之 / 宮沢りえ / 田中泯 / 小林稔侍 / 岸惠子 他

 

優秀賞

阿弥陀堂だより

突入せよ!『あさま山荘』事件

陽はまた昇る

ピンポン

 

 

 

第25回(2002年)

千と千尋の神隠し〔2001〕


何度見ても新しい発見がある奥深い傑作

ジブリ作品最大のヒット作にして、日本映画史に燦然と輝くアニメ映画の傑作中の傑作です。

両親とともに10歳の千尋が引っ越し先のニュータウンに車で向かう途中、森の中で不思議なトンネルがあり、そこに迷い込むとテーマパークのような廃墟にやってきます。

父と母は無人の飲食店で勝手に食べてしまい、豚に姿を変えられてしまいます。

千尋は旅館のような建物に辿り着き、ハクという少年に出会ってそこで働くことになりますが、果たして両親は人間の姿に戻り、3人は元の世界に戻ることができるのかという物語です。

かなりテーマが深く、現代社会や環境問題を風刺的に描いた作品で、何度みても新しい発見があり、ついつい考察してしまいます。

監督 宮崎駿
脚本 宮崎駿
原作 宮崎駿
公開年 2001年
声優 柊瑠美 / 入野自由 / 夏木マリ / 菅原文太 他

 

優秀賞

ウォーターボーイズ

GO

千年の恋 ひかる源氏物語

ホタル

 

 

 

第24回(2001年)

雨あがる〔2000〕


黒澤明の未完の遺作を助監督だった小泉監督が引き継いだ作品

長雨で足止めを喰らっていた無職の武士、三沢伊兵衛とその妻。

伊兵衛は立ち寄った宿で、貧しい人々のために賭け試合をしてそのお金でごちそうするなど優しい人間です。

ある日、武士が喧嘩しているところにいきあたり、それを仲裁してみせたところを藩の殿様が偶然見かけ、藩の剣術指南番に迎え入れようとしますが、果たして、職にありつけるのかというストーリーです。

ゆったりと間を楽しむような作品で、目まぐるしいような展開はありません。

それでも優しさが時に人を傷つけたり、またやってはいけない悪いことも何のためにそれをしたかが大事であるというような生きるうえで大事なことを教えてくれる良作です。

監督 小泉堯史
脚本 黒澤明
原作 山本周五郎
公開年 2000年
出演者 寺尾聰 / 宮崎美子 / 三船史郎 / 原田美枝子 / 吉岡秀隆 他

 

優秀賞

十五才 学校IV

バトル・ロワイアル

ホワイトアウト

 

 

 

まとめ

ペディ
ペディ
いかがでしたでしょうか。どれも時代を彩る名作揃いです

もし観てない作品があったら、ぜひお見逃しなく
ウィック
ウィック

 

それ以前の最優秀作品賞受賞作品

第23回(2000年) 『鉄道員(ぽっぽや』〔1999年〕

第22回(1999年) 『愛を乞うひと』〔1998年〕

第21回(1998年) 『もののけ姫』〔1997年〕

第20回(1997年) 『Shall we ダンス?』〔1996年〕

第19回(1996年) 『午後の遺言状』〔1995年〕

第18回(1995年) 『忠臣蔵外伝 四谷怪談』〔1994年〕

第17回(1994年) 『学校』〔1993年〕

第16回(1993年) 『シコふんじゃった。』〔1992年〕

第15回(1992年) 『息子』〔1991年〕

第14回(1991年) 『少年時代』〔1990年〕

第13回(1990年) 『黒い雨』〔1989年〕

第12回(1989年) 『敦煌』〔1988年〕

第11回(1988年) 『マルサの女』〔1987年〕

第10回(1987年) 『火宅の人』〔1986年〕

第9回(1986年) 『花いちもんめ』〔1985年〕

第8回(1985年) 『お葬式』〔1984年〕

第7回(1984年) 『楢山節考』〔1983年〕

第6回(1983年) 『蒲田行進曲』〔1982年〕

第5回(1982年) 『駅 STATION』〔1981年〕

第4回(1981年) 『ツィゴイネルワイゼン』〔1980年〕

第3回(1980年) 『復讐するは我にあり』〔1979年〕

第2回(1979年) 『事件』〔1978年〕

第1回(1978年) 『幸福の黄色いハンカチ』〔1977年〕

 

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