【邦画】何度でも観たい! 2020年代の名作 おすすめ45選+α

2022年11月16日

こんな方に

    • 邦画ではずせない名作は
    • 2020年代のおすすめの名作を知りたい!

こんな方に2020年代の邦画の傑作をご紹介します。

 

ペディ
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2020年代の何度観ても楽しめるおすすめの邦画の名作を選んでみました

コメディからヒューマンドラマ、恋愛映画まで一度は見ておきたい作品ばかりですので、ぜひ参考にしてみてください
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    2020年

    ミッドナイトスワン〔2020〕


    トランスジェンダーの光と影、青春の希望と絶望を見事に描いた大傑作

    草彅剛演じるトランスジェンダーの凪沙は新宿のショーパブで働いて、ダンスを踊っています。

    ある日広島に住む親戚の娘・一果が虐待のおそれから保護されたため、実家から凪沙のもとでしばらく預かってほしいということになり生活することに。

    心を閉ざしている一果でしたがバレエに興味があり、凪沙に無断でバレエを習い始めます。最初は反対した凪沙も才能に気付き、やがて応援することに。

    草薙さんの演技がかつてないほどのハマり役で、トランスジェンダーの光と影を見事に演じ切っています。また、一果のバレエも本物で美しく、すばらしいです。

    ここ近年でもっとも魂を揺さぶれれた、感動というにはあまりに悲痛だけど、希望もあるラストに号泣を止められません。

    監督 内田英治
    脚本 内田英治
    公開年 2020年
    出演者 草彅剛 / 部樹咲 / 水川あさみ / 真飛聖 他

     

     

    朝が来る〔2020〕


    養子縁組を題材にした社会派ミステリー

    栗原佐都子と清和夫婦は不妊治療をしていたものの子供を諦めざるをえませんでした。

    ある日テレビを見ていて、妊娠したものの子供を手放さなければいけない母親と子供に恵まれない親をつなぐ特別要支縁組を知り、その制度を利用します。二人の子の親は中学生で妊娠したひかりという子でした。

    そして6年たったある日、「子供を返してほしいんです。」という電話がかかってきます。平凡な家庭をおびやかすこの女はいったい何者なのか。

    河瀬監督らしいドキュメンタリータッチで、養子縁組という制度の光と影を栗原夫婦、ひかり双方の苦悩と葛藤を通して見事に描かれています。

    多彩な作風で傑作を世に送り出している辻村深月さんの原作作品で、原作の良さ以上に仕上がった傑作です。

    監督 河瀨直美
    脚本 河瀨直美 / 髙橋泉
    原作 辻村深月『朝が来る』
    公開年 2020年
    出演者 永作博美 / 井浦新 / 蒔田彩珠 / 浅田美代子 他

     

     

    すばらしき世界〔2020〕


    元犯罪者の社会での葛藤を描いた感涙のヒューマンドラマ

    殺人の罪で人生の大半を刑務所ですごした男、三上が、13年の刑期を終えて出所します。

    元ヤクザですぐにカッとなる性格なため、社会のレールに従おうとしても悪戦苦闘するばかりです。

    そんな彼は母親を探してほしいとテレビ局に頼り、若手テレビマンがネタにしようと目論み、彼にすり寄ります。

    物語の前半は短期で自分勝手な性格に観ていてイライラしますが、だんだん世間に溶け込もうと努力する姿に目頭が熱くなり、ラストは号泣してしまいました。

    佐木隆三の実在の人物をモデルにした『身分帳』を原案に、西川美和監督が手がけたヒューマンドラマの傑作です。

    監督 西川美和
    脚本 西川美和
    原案 佐木隆三『身分帳』
    公開年 2020年
    出演者 役所広司 / 仲野太賀 / 六角精児 / 北村有起哉 / 長澤まさみ 他

     

     

    浅田家!〔2020〕


    大人気写真集の裏側に迫る家族の物語

    写真が知らない人も一度は目にしたことがあるかもしれない写真界の芥川賞に匹敵する木村伊兵衛写真賞を受賞している『浅田家』という写真集。

    家族でコスプレをしたりしてユーモアあふれる作品ですが、この映画はその写真家でもある主人公とちょっと変わった家族の物語です。

    二宮和也さん演じる浅田政志が、なぜそんな写真を撮り始め、その作品が受賞するまでが前半で、後半は写真家として活動していくなかで生まれた出会いによる東日本大震災とのかかわりを描いています。

    キャスティングが素晴らしく、冒頭のつかみからラストの意外性まで楽しめる作品です。

    監督 中野量太
    脚本 中野量太 / 菅野友恵
    原案 浅田政志『浅田家』『アルバムのチカラ』
    公開年 2020年
    出演者 二宮和也 / 妻夫木聡 / 黒木華 / 菅田将暉 / 風吹ジュン / 平田満 他

     

     

    糸〔2020〕


    平成の時代を波乱万丈に駆け抜けるラブストーリー

    中島みゆきの名曲「糸」にインスパイアされて制作した平成元年生まれの男女の18年にわたるラブストーリーです。

    13歳の時に北海道の美瑛で出会った高橋蓮と園田葵。二人は葵の家庭の事情によって、引き離されてしまいます。

    8年後に友人の結婚式で再会を果たし、その後もすれ違いを続けていく二人。

    それぞれ人生の挫折を味わいながら平成の時代を駆け抜けていきます。

    駆け足で波乱万丈をぎゅっと濃縮したストーリーになっていて、泣ける展開となっています。

    名曲『糸』や『ファイト!』など、中島みゆきさんの曲の素晴らしさにあらためて気付かされる作品です。

    監督 瀬々敬久
    脚本 林民夫
    原案 中島みゆき「糸」/ 平野隆(企画プロデュース)
    公開年 2023年
    出演者 菅田将暉 / 小松菜奈 / 山本美月 / 高杉真宙 / 榮倉奈々 他

     

     

    私をくいとめて〔2020〕


    のん主演のちょっと斬新なラブコメ!

    脳内に相談役「A」をおきながら、一見、いわゆる“おひとりさま”を満喫している32歳のOLの物語。

    ある日、恋をしてしまい、一歩踏み出そうとするものの過去のトラウマと戦いながら前に進もうと葛藤する感じのストーリーです。

    相談役といっても実は自分ですが、それが男性なのが面白く、随所に映画的な表現が斬新。のんさんの多彩な感情表現が見事です。

    原作は芥川賞作家の綿矢りささんの作品で、主演はのん、恋する相手は林遣都。しかものんの親友役が橋本愛で、なんとあまちゃんコンビが復活しています。

    大瀧詠一の曲が印象的に使われています。

    監督 大九 明子
    脚本 大九明子
    原作 綿矢りさ
    公開 2020年
    出演者 のん / 林遣都 / 橋本愛他

     

     

    Fukushima 50〔2020〕


    どれだけ福島原発が危機的状況だったかが伝わる実話をもとにしたリアルパニック映画

    2011年3月11日の東日本大震災において、津波により危機的状況に陥った福島原子力発電所で事故発生時に発電所に留まって対応業務に従事した約50名の作業員の戦いを吉田昌郎所長を中心に実話にもとづいて描いた物語です。

    津波の浸水で全電源を喪失し、冷却不能となった原子炉をそのまま放っておくとメルトダウン(炉心融解)で東日本壊滅の危機的状況です。

    そこで現場でできる唯一の手段が「ベント」と呼ばれる手動による圧抜きでした。放射線量の高い原子炉内に命懸けで向かいます。

    『シン・ゴジラ』などどんなに迫力のある映像の映画も作り物と思えば冷静に観れますが、この映画はリアルにおこったことを描いているだけに、いかにヤバくて、いかに奇跡的にあの被害で済んだかということがわかり、肝を冷やします。

    死を覚悟して命懸けで戦った作業員の方はもちろん素晴らしいですが、感動物語では済ませられない現実が描かれています。

    監督 若松節朗
    脚本 前川洋一
    原作 門田隆将『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』
    公開年 2020年
    出演者 佐藤浩市 / 渡辺謙 / 吉岡秀隆 / 安田成美 他

     

     

    罪の声〔2020〕


    事件に利用された子供たちが切ないグリコ・森永事件をモチーフとした慟哭のサスペンス

    2015年のある日、京都でテーラー営む曽根俊也は、たまたま押し入れにあった父の遺品の中からカセットテープと黒革のノートを発見します。

    それをテープを聞いてみるとその内容は31年前に世間を賑わせた劇場型犯罪にして戦後最大の未解決事件“ギンガ萬堂事件”の犯行に使われた音声で、6歳の頃の自分の声でした。

    時を同じくして平成が終わろうとしている中、大日新聞では新しい時代のために総括として過去の未解決事件を特集しようと“ギン萬事件”を洗い直していました。

    曽根と記者の阿久津の二人がそれぞれ独自のルートで事件を探っていくと点と点がつながっていき、やがて驚きの事件の真相にたどり着きます。

    事件の声に使われた3人の少年、少女が物語の鍵を握るのですが、すべての真相がわかった時、涙をとめることができません。

    脚本を担当しているのは『逃げるは恥だが役に立つ』でおなじみの野木亜紀子さんで、原作をそれ以上に引き立たせる手腕はお見事です。

    監督 土井裕泰
    脚本 野木亜紀子
    原作 塩田武士『罪の声』
    公開年 2020年
    出演者 小栗旬 / 星野源 / 松重豊 / 宇野祥平 / 市川実日子 他

     

     

    きみの瞳が問いかけている〔2020〕


    罪を犯した元キックボクサーと視力を失った女性との数奇なラブストーリー

    韓国映画『ただ君だけ』をリメイクした作品で、元キックボクサーの塁はバイト先で目の不自由な女性、柏木明香里と知り合います。

    塁はかつて罪を犯したせいでキックボクシングを辞め人生に負い目を感じながら生きていましたが、明るくまっすぐな明香里に惹かれていきます。

    明香里との生活のためにキックボクシングを再開しようとしますが、過去のせいでトラブルに巻き込まれ、さらに明香里が怪我をした理由に塁はショックを受けます。

    ストーリーは韓国映画ならではの試練がこれでもかとたたみかける感じで、吉高さんと横浜さんの魅力が詰まった作品となっています。

    監督 三木孝浩
    脚本 登米裕一
    原案 映画『ただ君だけ』(Based on "Always")
    公開年 2020年
    出演者 吉高由里子 / 横浜流星 / やべきょうすけ / 町田啓太 / 風吹ジュン 他

     

     

    AWAKE〔2020〕


    プロ棋士VS将棋AI、勝つのはどちらか

    将棋棋士を目指し、プロ養成機関・奨励会で出会った清田英一と浅川陸。

    お互い競い合っていたものの英一は20歳で夢を諦めます。一方の浅川はプロ棋士として新人の注目株へと成長していました。

    何もやる気がおきなかった英一はふとしたきっかけでコンピュータ将棋と出会い、AIのプログラム開発にのめり込んでいきます。

    そして、最強の将棋ソフトウェア「AWAKE」を開発し、コンピューター将棋大会で優勝。棋士との対局電王戦に出場することになり、その相手に運命の相手、浅川が選ばれます。

    プロ棋士と将棋AI、どちらが強いのかをかけて2015年に行われた将棋電王戦FINAL 第5局、阿久津主税 vs AWAKE戦から着想を得たオリジナルストーリーです。

    将棋好きには話題になった出来事ですが、知らない人が見てもどっちが勝つのか気になる作品だと思います。

    監督 山田篤宏
    脚本 山田篤宏
    公開年 2020年
    出演者 吉沢亮 / 若葉竜也 / 落合モトキ / 寛一郎 / 馬場ふみか 他

     

     

    弱虫ペダル〔2020〕


    素人が観ても熱くなれる高校自転車競技を描いた作品

    中学で友達のいなかった小野田坂道は千葉県立総北高校に入学し、アニメ研究部に入って友達を作ろうと思っていましたが、休部中でショックを受けます。

    そんな中、千葉から秋葉原まで片道40kmかけて毎日ママチャリで通っていたところを自転車競技部に入部しようとしていた同級生の今泉が見かけます。

    5人集まらなければ部活を再開できないため、今泉が負けたら一緒にアニメ研究部に入る約束をかけてレースの勝負を申し込みます。

    誰かと走る楽しさに気づいた小野田は自転車競技部に入部することを決め、才能を発揮していきます。

    80巻を超える人気漫画を実写化した作品で、インターハイ常連高の総北自転車競技部のインターハイをかけた県予選までを描いています。

    自転車競技を知らない素人が見てもレースの役割や駆け引きにハラハラドキドキし、熱く込み上げるものが感じられます。

    監督 三木康一郎
    脚本 板谷里乃 / 三木康一郎
    原作 渡辺航『弱虫ペダル』
    公開年 2020年
    出演者 永瀬廉 / 伊藤健太郎 / 橋本環奈 / 竜星涼 他

     

     

    サヨナラまでの30分〔2020〕


    バンドのかっこよさに痺れるファンタジー作品

    対人関係が苦手な就活中の大学生、颯太がある日、古びたカセットのウォークマンを拾った。

    それを再生してみるとなぜか一人の男が現れた。彼は1年前にメジャーデビュー目前にして死んだボーカルのアキだった。

    再生している間颯太の身体に入れ替わることができるアキは元彼女に会いに行ったり、解散していたバンドを再び始めさせようと動き出します。

    内容はファンタジーですが、バンドのメンバーや曲もかっこよく、世界観に引き込まれます。

    音楽プロデューサーを務めているのはandropの内澤崇仁さんで、劇中歌の全6曲は内澤さんはじめ、odol、mol-74、雨のパレード、Ghost like girlfriend、Michael Kanekoといったロックシーン注目のアーティストが楽曲提供していてかっこいいのも納得です。

    監督 萩原健太郎
    脚本 大島里美
    公開年 2020年
    出演者 新田真剣佑 / 北村匠海 / 久保田紗友 他

     

     

    記憶屋〔2020〕


    記憶を奪われたのはなぜかを探るミステリー作品

    記憶をすべて消し去ってくれる記憶屋という怪人がいるという都市伝説があるといいます。

    大学生の遼一は年上の彼女にプロポーズしますが、その後連絡が取れません。

    街で見かけた彼女はなぜか主人公のことを見ても知らないといいます。

    それはきっと記憶屋の仕業ではと思い至った主人公は、幼馴染の真希や大学の先輩の弁護士とともに記憶屋に関して探り始めていきます。

    なぜ、遼一の記憶だけ消えてしまったのか、そこに隠された秘密が浮かび上がってきます。

    都市伝説という割には前提と世界観が小さく、原作に比べると人間関係の設定が変更になっていて、その辺の説明不足感が否めず、賛否がありそうですが、エンタメ作品としては軽いミステリー的要素と感動もあり、良作だと思います。

    監督 平川雄一朗
    脚本 鹿目けい子 / 平川雄一朗
    原作 織守きょうや『記憶屋』
    公開年 2020年
    出演者 山田涼介 / 芳根京子 / 佐々木蔵之介/ 泉里香 / 蓮佛美沙子 他

     

     

    2021年

    ドライブ・マイ・カー〔2021〕


    喪失感と後悔を抱える苦しみとそれでも生きていこうとする再生の物語

    舞台俳優・演出家の家福とその妻は一見仲睦まじく暮らしているようにみえて、二人とも秘密を抱えたまま妻が亡くなります。

    その2年後、家福は演出を手掛ける舞台で、愛車を運転してくれる専属ドライバー、みさきと出会います。

    ある過去を抱える寡黙なみさきと次第に共感していく家福は、だんだん心を開いていき、お互いに秘密を打ち明け、大切なことに気づいていきます。

    村上春樹原作短編をもとにその他の短編と織り混ぜて構成した作品で、ロードムービー的な趣きと舞台で演じる戯曲が人生とリンクしていったりと奥深さが感じられます。

    カンヌ国際映画祭で脚本賞も受賞した心に深く残る傑作です。

    監督 濱口竜介
    脚本 濱口竜介 / 大江崇允
    原作 村上春樹「ドライブ・マイ・カー」など(『女のいない男たち』 文藝春秋刊収録)
    公開年 2021年
    出演者 西島秀俊 / 三浦透子 / 霧島れいか / 岡田将生 他

     

     

    そして、バトンは渡された〔2021〕


    血のつながらない親子の絆に号泣必至

    父親を森宮さんと呼ぶ高校3年生の優子と、梨花という新しい母親がやってくる小学生のみぃたんと呼ばれる女の子のストーリーが交互に描かれていきます。

    優子は笑顔をふりまくもののクラスでは浮いた存在で、合唱のピアノ奏者を押しつけられるようなところがあります。

    一方のみぃたんは父親がブラジルに移住するといいだし、梨花を選んで日本に残ることに決めます。

    そんな二人の人生がつながった時、想いもよらないような事実が浮かび上がってきます。

    原作を読んでいない人にはある種のどんでん返しのような展開を楽しめますし、読んでいる人も見事な構成になっているので、号泣間違いなしの傑作です。

    監督 前田哲
    脚本 橋本裕志
    原作 瀬尾まいこ
    公開年 2021年
    出演者 永野芽郁 / 田中圭 / 岡田健史 / 石原さとみ 他

     

     

    花束みたいな恋をした〔2021〕


    おそらく誰もが若い頃の苦さが蘇るであろう切ないラブストーリー

    考え方から趣味、持ち物の好みまで似通った21歳の二人が偶然出会います。

    やりたいことをやって生きていきたいと思っていた学生時代を過ごし、徐々に社会の現実の壁にぶつかり、二人の気持ちはだんだんすれ違っていき、4年一緒にすごした果てに下した決断とは。

    脚本家坂元さんならではの溢れるような譬え話などの言葉の数々が、映画を彩り、出会った時のときめきと別れる時のほろ苦さを見事に描いたラブストーリーです。

    監督 土井裕泰
    脚本 坂元裕二
    公開年 2021年
    出演者 菅田将暉 / 有村架純 / オダギリジョー 他

     

     

    キネマの神様〔2021〕


    映画愛にあふれる人生の浮き沈みを描いた感動の物語

    松竹映画100周年記念作品として制作された、映画製作に対する愛が詰まった作品です。

    借金と酒に溺れる父・円山郷直(ゴウ)のせいで娘の歩のもとに借金催促の連絡がくるようになります。

    妻の淑子と歩はキャッシュカードを取り上げ、酒も競馬も禁止し、昔製作に携わっていた映画鑑賞を趣味としてすすめます。

    若き日に監督を目指していたゴウと淑子の出会いを描いたパートと現在のパートを交錯させて描いた感動の物語です。

    コロナ禍の影響で主演を務めるはずだった志村けんさんが亡くなり、そのコロナの様子がまるでドキュメンタリーのようにストーリーに反映され、また志村さんを偲ぶ演出もなされています。

    原作とは大幅にストーリーや設定が改変されていて、原作とはまた違った魅力が詰まっています。

    監督 山田洋次
    脚本 山田洋次 / 朝原雄三
    原作 原田マハ
    公開年 2021年
    出演者 沢田研二 / 菅田将暉 / 永野芽郁 / 寺島しのぶ / 小林稔侍 / 宮本信子 他

     

     

    護られなかった者たちへ〔2021〕


    生活保護制度をめぐる社会派ミステリの傑作

    東日本大震災から9年後、全身を縛られたまま“餓死”させるという猟奇的な連続殺人事件が発生。被害者には共通点があり、どちらも区の保健福祉センターで生活保護にかかわっていた職員でした。

    捜査線上に浮かび上がってきたのはかつて事件を起こし最近出所してきたばかりの利根という男でした。

    利根の東日本大震災時の過去と現在を描きながら事件の真相に迫っていきます。

    物語の鍵を握るのが生活保護制度で、不正受給や本当に困窮している人の現実など身につまされるような様子を描いています。

    罪の善悪だけではない、社会の歪みをえぐった傑作ミステリーです。

    監督 瀬々敬久
    脚本 林民夫 / 瀬々敬久
    原作 中山七里
    公開年 2021年
    出演者 佐藤健 / 阿部寛 / 清原果耶 / 林遣都 / 倍賞美津子 他

     

     

    騙し絵の牙〔2021〕


    出版社と書店の危うい現状をリアルに描いたエンタメサスペンス

    大手出版社「薫風社」は、社長の急逝によって時期社長争いが勃発し、専務の東松により大改革が推し進められることになります。

    そんな廃刊危機のカルチャー雑誌の編集長に速水が就任し、文芸雑誌「小説薫風」の新人編集者だった高野を部下として新企画をタブーを恐れず打ち出していきます。

    大御所作家や新世代のヴェールに包まれた新人作家などを巻き込み、次々と手を打っていきますが、何を考えているかわからない速水は笑顔の裏に誰も知らない牙を隠し持っています。

    原作時から大泉洋さんを主人公に想定して書かれているので、キャスティングは間違いありません。

    原作とエンディングが異なっているため、原作を読んだ方も驚く展開が待っています。

    出版業界や書店の置かれたリアルな状況が描いているので、読書好きにはたまらない内容になっていると思います。

    監督 吉田大八
    脚本 楠野一郎 / 吉田大八
    原案 塩田武士『騙し絵の牙』
    公開年 2021年
    出演者 大泉洋 / 松岡茉優 / 宮沢氷魚 / 池田エライザ / 中村倫也 / 佐藤浩市 他

     

     

    東京リベンジャーズ〔2021〕


    不良×タイムリープ、元カノの命を救うためのリベンジ物語

    26歳のフリーターとして底辺の生活を送っていた花垣武道は、中学時代の彼女だった橘日向が弟の直人とともに犯罪集団東京卍會の抗争に巻き込まれて死亡したというニュースを目にします。

    そんなある日何者かに電車のホームに突き落とされますが、なぜか轢かれる瞬間中学時代にタイムリープしてしまいます。

    過去に戻った武道は日向の未来を救うべく、過去を変えようとします。

    不良とタイムリープをミックスするという斬新なストーリーの傑作漫画を原作とした第一作目で、キャスティングも見事にハマっていて原作のいいところをコンパクトにぎゅっとうまくまとめています。

    監督 英勉
    脚本 髙橋泉
    原作 和久井健
    公開年 2021年
    出演者 北村匠海 / 吉沢亮 / 山田裕貴 / 杉野遥亮 / 今田美桜 他

     

     

    キャラクター〔2021〕


    漫画と現実の事件がリンクする衝撃のサスペンス映画

    高い画力があるのに、芽が出ない漫画家志望のアシスタントが主人公です。

    ある日資料のため、家のスケッチに出かけると本物の殺人事件を目撃してしまいます。

    今までキャラクターにリアリティが足りないと言われていた彼は、その殺人鬼をそのままモデルに描き、漫画は大ヒット。しかし、その後も彼の漫画の通り、事件が起きるようになっていきます。

    キャスティングも豪華な顔ぶれで、特に殺人鬼役のFukaseさんは狂気を感じさせる独特の雰囲気を醸し出していて、見事に演じています。

    現案・脚本は浦沢直樹さんの『MASTERキートン』や『20世紀少年』の共同原作者でもある長崎尚志さんが10年以上構想を練った作品ということで、予定調和なストーリーには展開しないところが面白いサスペンス映画です。

    監督 永井聡
    脚本 長崎尚志 / 川原杏奈 / 永井聡
    原案 長崎尚志
    公開年 2021年
    出演者 菅田将暉 / Fukase / 高畑充希 / 中村獅童 / 小栗旬 他

     

     

    先生、私の隣に座っていただけませんか?〔2021〕


    現実と漫画の間でリアルが揺らぐ新感覚のサスペンス風な不倫劇

    漫画家の妻とそれを手伝う夫。妻は夫がどうやら編集者と不倫をしているのではないかと疑っています。

    妻は自動車学校に通うことになり、そこで出会った教官との関係を含む現実をベースにした漫画のネームを書き始めます。

    果たして二人とも不倫をしているのか、漫画の内容と現実はどちら本当なのか?

    現実と漫画で描く内容があいまいになっていき、何が本当なのかわからなくなり、不倫の真相をめぐりサスペンス風に展開していくので、先が気になります。

    ライトに展開するので、どろどろ感はなく引き込まれる作品です。

    監督 堀江貴大
    脚本 堀江貴大
    公開年 2021年
    出演者 黒木華 / 柄本佑 / 金子大地 / 奈緒 / 風吹ジュン 他

     

     

    ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち〜〔2021〕


    金メダルの栄光の影に隠れた舞台裏の胸熱ドラマ

    リレハンメルオリンピックジャンプ団体で惜しくも銀メダルとなったメンバーの一人、西方仁也選手。

    次の長野では悲願の金メダルを目指すべく挑戦していたものの腰の怪我の影響などもあり惜しくも代表の座を逃します。

    一時はジャンプを辞めるということまで考えるもテストジャンパーの要請を渋々受けることを決めます。

    実話を基にした作品で、主役がメダリストでないところがよかったと思います。

    金メダルの感動の裏に、裏方たちによる胸熱の知られざるドラマがあったことは知りませんでしたので、女子ジャンパーや原田選手の想いなどとともにぜひ知ってもらいたい感動の物語だと思います。

    監督 飯塚健
    脚本 杉原憲明 / 鈴木謙一
    公開年 2021年
    出演者 田中圭 / 土屋太鳳 / 山田裕貴 / 眞栄田郷敦 / 濱津隆之 他

     

     

    地獄の花園〔2021〕


    ヤンキー漫画のオマージュにあふれた爆笑アクション映画

    脚本はバカリズムさんで、ヤンキー漫画の世界をレディース版、しかもOLの世界に持ち込んだ作品。

    転校生ならぬ中途採用で最強の女が登場したり、もはや人間技とは思えないボスキャラが現れたり。

    社内だけでなく他社との縄張り争いがあれば、通常の業務をこなすなど、いちいちシュール。

    悪ふざけもここまで真面目に突き詰めれば面白くなるというお手本のような傑作。

    監督 関和亮
    脚本 バカリズム
    公開年 2021年
    出演者 永野芽郁 / 広瀬アリス / 菜々緒 / 川栄李奈 / 遠藤憲一 / 小池栄子 他

     

     

    夏への扉 -キミのいる未来へ-〔2021〕


    ロバート・A・ハインラインのSFの傑作をもとにした作品

    SF好きの間で名高い傑作中の傑作を舞台を別の世界線の日本に変えて実写化した作品です。

    1995年、ロボット科学者の高倉は共同経営者と婚約者に騙され、会社を追われてしまいます。

    そして婚約者に、コールドスリープとよばれる冷凍睡眠で30年間眠りにつかされてしまい、2025年に目覚めた高倉は、運命を取り戻すために時を超えたリベンジに挑みます。

    原作とは時代や設定が変えられていますが、タイムトラベルの要素をうまく使ったミステリー的謎解きのような面白さもあります。

    監督 三木孝浩
    脚本 菅野友恵
    原作 ロバート・A・ハインライン『夏への扉』
    公開年 2021年
    出演者 山﨑賢人 / 清原果耶 / 夏菜 / 眞島秀和 / 藤木直人 他

     

     

    2022年

    ある男〔2022〕


    アイデンティティについて考えさせられるヒューマンミステリー

    離婚して子供を連れて故郷に帰った里枝は実家の文房具屋で働いていました。

    そこに客としてやってきた谷口大佑という男と気があい再婚し、暮らしていましたが大佑が事故で他界してしまいます。

    疎遠になっていた大佑の兄が、葬式後に仏壇の遺影を見ると、それは別人であると判明します。

    里枝から依頼された弁護士の城戸は大佑の本当の正体を追い、驚きの真実にたどり着くこととなります。

    自分は何も変わらなくても、名前や出生にまつわることだけで、世間から判断されてしまうという不条理さを描いたヒューマンミステリーです。

    監督 石川慶
    脚本 向井康介
    原案 平野啓一郎『ある男』
    公開年 2022年
    出演者 妻夫木聡 / 安藤サクラ / 窪田正孝 / 清野菜名 / 柄本明 他

     

     

    月の満ち欠け〔2022〕


    生まれ変わりを題材とした、時空を超えたラブストーリー

    2017年の第157回直木賞を受賞した佐藤正午さんの傑作を映画化した作品です。

    仕事も家庭も順調だった小山内堅でしたが、妻と娘を不慮の事故で失ってしまったことから人生は一変します。

    小山内の娘、瑠璃には不思議なところがあり、7歳にして上手な絵を描いたり、英語の歌をうたったり、一人で電車に乗って知らない人に会いに行ってしまったりと変に大人びたところがありました。

    そんな事故があった後、三角と名乗る男が小山内を訪ねてきて、かつて面識のないはずの小山内の娘が自分のところに会いにきたと告げます。

    全く関係ないと思われたふたつの物語が、時空と時を超えて愛する人に会いたいと願う想いで奇跡を起こす感涙必至のラブストーリーです。

    監督 廣木隆一
    脚本 橋本裕志
    原案 佐藤正午『月の満ち欠け』
    公開年 2022年
    出演者 大泉洋 / 有村架純 / 目黒蓮 / 伊藤沙莉 / 田中圭 / 柴咲コウ 他

     

     

    MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない〔2022〕


    タイムループ映画の総決算のような笑えて感動できる傑作コメディ

    小さな広告代理店で働く主人公の吉川たちは、クライアントの無茶ぶりに会社に泊まりがけで月曜の朝を迎えます。

    そこで吉川は後輩の遠藤と村田から、同じ一週間を繰り返していることを告げられ、はじめは聞く耳をもたなかったものの、根拠を聞いているうちにだんだんタイムループしていることを認識していきます。

    この地獄のような一週間から抜け出すための鍵はどうやら部長にあるらしく、そのために作戦をたて奮闘します。

    国内外のタイムループ映画のいいとこ取りをしたような見事な脚本とシンプルなシチュエーションにもかかわらず飽きさせないキャストの演技が本当にすばらしいです。

    時間は短いけど、くすっと笑えて、ラストは達成感に包まれるタイムループものの新たな傑作です。

    監督 竹林亮
    脚本 夏生さえり / 竹林亮
    公開年 2022年
    出演者 円井わん / マキタスポーツ / 長村航希 / 三河悠冴 / 八木光太郎 / 髙野春樹 他

     

     

    今夜、世界からこの恋が消えても〔2022〕


    「前向性健忘」を患う高校生の恋を描く純愛ラブストーリー

    事故の影響で寝ると記憶が消えてしまう「前向性健忘」という障害を患う高校生の日野真織。

    そのため、彼女はその日その日の出来事を書き綴った日記を読むことで記憶を繋ぎとめていました。

    そんな彼女に、ある事情で告白してきた神谷透と付き合うふりをすることになりますが、やがてお互い惹かれあっていきます。

    しかし、そんな恋心もある秘密によって、切なく展開していきます。

    この作品のベースとなる1日たつと記憶がリセットされてしまう「前向性健忘」という設定は、『50回目のファーストキス』を思わせるところがありますが、コメディ色の強いそちらと比べて本作の方はよりピュアでミステリ要素のある純愛作品となっています。

    男女3人の恋心と友情をみずみずしく、切なくも感動的に描いた傑作ラブストーリーです。

    監督 三木孝浩
    脚本 月川翔 / 松本花奈
    原作 一条岬『今夜、世界からこの恋が消えても』
    公開年 2022年
    出演者 道枝駿佑 / 福本莉子 / 古川琴音 / 松本穂香 / 萩原聖人 他

     

     

    ハケンアニメ!〔2022〕


    アニメ制作現場の舞台裏を描いた傑作

    辻村深月さんの同名小説を原作とした作品で、タイトルの「ハケン」は“派遣”の方かと思いきや、同じクールで制作された多くのアニメの中で、一番成功したものに贈られる言葉“覇権”を取ろうとする作品です。

    天才人気監督、王子千晴の作品に影響を受けてこの業界に入った斉藤瞳が、無名の新人監督ながら同クールで勝負することになります。

    それぞれの監督が作品を作り上げていく苦悩や葛藤、またそれを支えるプロデューサーや現場の大変さなどが見事に描かれていて、王道展開ながら感動することができます。

    辻村さんの作品の中でもよりエンターテインメント性が高い傑作です。

    監督 吉野耕平
    脚本 政池洋佑
    原作 辻村深月『ハケンアニメ!』
    公開年 2022年
    出演者 吉岡里帆 / 中村倫也 / 柄本佑 / 尾野真千子 / 小野花梨 / 六角精児 他

     

     

    流浪の月〔2022〕


    本屋大賞を受賞した善悪の基準が揺らぐ歪んだラブストーリー

    凪良ゆうさんの本屋大賞を受賞した作品で、家庭の虐待のために家に帰ることができずにいた更紗と保護した大学生・佐伯文との関係を幼少期と成長してからを交互に描いていきます。

    児童誘拐の事件から15年後の24歳の更紗は彼氏と同棲していて結婚間近でしたが、ある日偶然文と再会してしまい心が揺れます。

    次第に彼氏のDVも酷くなっていくなか、二人の関係がまた世間に明るみとなっていきます。

    世間一般での罪と当事者の救われる気持ちとのずれが見ていて苦しくなりますが、実際は悲劇的な事件もあったりするので複雑な気持ちになって善悪の基準が揺さぶられる作品だと思います。

    監督 李相日
    脚本 李相日
    原作 凪良ゆう
    公開年 2022年
    出演者 広瀬すず / 松坂桃李 / 横浜流星 / 多部未華子 / 趣里 他

     

     

    シン・ウルトラマン〔2022〕


    エヴァンゲリオンの実写化を想起させる迫力ある映像がたまらない

    庵野秀明さん企画・脚本による「ゴジラ」、「エヴァンゲリオン」に続く“シン”シリーズ。

    1966年に放送された特撮テレビドラマ『ウルトラマン』を現代に置き換えた完全リブート作品で、巨大不明生物「禍威獣(カイジュウ)」が出現し被害が発生している日本を舞台に描いています。

    禍威獣に立ち向かうのは防災庁・禍威獣特設対策室(略称:禍特対(カトクタイ))で、禍威獣ネロンガの出現時に謎の巨人が大気圏外から飛来し、撃退して去っていきます。

    巨人が飛来した際、逃げ遅れた子供を救おうとした禍特対の神永新二は、衝撃によって死亡してしまいます。

    神永の自己犠牲に心を奪われた巨人は神永と一体化し、迫り来る外星人から地球を守るために戦います。

    『シン・ゴジラ』と同様にあたかも現実に怪獣やウルトラマンがいるかのような設定で、ど迫力の映像に度肝を抜かれます。

    ラスボスともいえるゼットンはまさにエヴァンゲリオンの使徒そのもの。エヴァンゲリオンが実写化されたらこうなるというようなシミュレーションとしても楽しめるのでは。

    監督 樋口真嗣
    脚本 庵野秀明
    公開年 2022年
    出演者 斎藤工 / 長澤まさみ / 有岡大貴 / 早見あかり / 西島秀俊 他

     

     

    沈黙のパレード〔2022〕


    『ガリレオ』シリーズ劇場版3作目の罪と愛を天秤にかける切ないミステリー

    定食屋を営む夫婦の女子学生の娘が焼死体の遺体となって発見されます。

    その容疑者はかつて少女殺害事件で完全黙秘をつらぬき、無罪となった蓮沼寛一でした。

    今回の事件でもまた完全黙秘を貫き、証拠不十分で釈放されたものの、夏祭りのパレードの日、殺害されます。

    女子学生を愛していた家族や友人、恋人など全員にアリバイがあるなか、果たして誰が犯人なのか。

    事件の場に居合わせた天才物理学者・湯川学、過去の事件に責任を感じる刑事の草薙と思い入れの強い事件で、二転三転展開していく極上のミステリーです。

    テンポのいいストーリーと、適材適所なキャスティングの妙といい、見応え十分です。

    監督 西谷弘
    脚本 福田靖
    原案 東野圭吾『沈黙のパレード』
    公開年 2022年
    出演者 福山雅治 / 柴咲コウ / 北村一輝 / 飯尾和樹 / 村上淳 / 檀れい / 椎名桔平 他

     

     

    メタモルフォーゼの縁側〔2022〕


    女子高生と老婦人の好きなものを通じてつながるヒューマンドラマの傑作

    この作品は地味ですが、夢中になれる趣味を持つ人にはもちろん、そうでない人にも趣味を持ちたいと思わせてくれる、ほっこり刺さりまくる傑作です。

    75歳の老婦人の雪は、ふと訪れた本屋で表紙の絵柄を気に入り、どんな漫画かもわからず購入。

    それはBLの漫画でしたが、すっかり男子の恋物語に魅了されます。

    続きを気になり続巻をまた買いにいくも在庫切れで、手配してくれたのが17歳の高校生バイトでひそかにBL漫画を愛するうららでした。

    そうして、意気投合した二人は、歳の差を超え、友情を育んでいき、ふたりはある挑戦を決意することになります。

    無理に泣かせようとするような感じではなく、自然と心を動かされる素晴らしい作品です。

    主演の芦田愛菜さんと宮本信子さんは、『阪急電車 片道15分の奇跡』でも幼い孫とおばあちゃんの関係で共演していますが、今度は歳の差を超えた友達として共演していることに感慨深いものがあります。

    監督 狩山俊輔
    脚本 岡田惠和
    原作 鶴谷香央理『メタモルフォーゼの縁側』
    公開年 2022年
    出演者 芦田愛菜 / 宮本信子 / 高橋恭平 / 古川琴音 / 光石研 他

     

     

    さかなのこ〔2022〕


    唯一無二の存在、さかなクンの自伝をもとに描いた笑って感動できる作品

    子供の頃からずっとお魚が好きなミー坊は、そのことを否定することなく背中を押してくれる母親のもと、周りに心配されようと魚のことばかり考えて過ごしていきます。

    高校生になっても大人になっても魚を好き続けていたミー坊がさかなクンに成長するまでの過程をユーモラスに描いています。

    主演をつとめる中性的な魅力を持つのんさんだからこそのハマり役で、周りを囲む俳優陣も素晴らしいです。

    究極の“好きこそ物の上手なれ”を体現する唯一無二の存在、さかなクンの自伝をもとにした笑って感動できる作品です。

    監督 沖田修一
    脚本 沖田修一 / 前田司郎
    原作 さかなクン『さかなクンの一魚一会 〜まいにち夢中な人生!〜』
    公開年 2022年
    出演者 のん / 柳楽優弥 / 夏帆 / 磯村勇斗 / 岡山天音 / さかなクン / 井川遥 他

     

     

    余命10年〔2022〕


    余命10年の生き方の選択に涙が止まらない

    20歳に難病の肺の病気を発症した高林茉莉は、余命が10年であることを宣告されていました。

    彼女は生きることに執着しないように、恋だけはしないように決めていましたが、同窓会をきっかけに元同級生の和人と急接近します。

    楽しい時を重ねながらも残された時間に茉莉はある決断をします。

    著者の方が実際に難病で苦しみながら書かれた小説で、2017年に静岡書店大賞の「映像化したい文庫部門」大賞を受賞した原作を映画化したものです。

    余命を精一杯生きる姿に感動で号泣してしまう傑作純愛ラブストーリーです。

    監督 藤井道人
    脚本 岡田惠和
    原作 小坂流加
    公開年 2022年
    出演者 小松菜奈 / 坂口健太郎 / 山田裕貴 / 奈緒 / リリー・フランキー 他

     

     

    20歳のソウル〔2022〕


    ノンフィクション小説をもとにした市立船橋高校吹奏楽部の青年の人生を描いた感動作

    市立船橋高校吹奏楽部に所属し、トロンボーンを担当する浅野大義。

    活発で優しく、部員の中心として慕われていた彼は、野球部の応援のためにオリジナル応援曲「市船soul」を作り、それはいつしか演奏するとたちまち得点を呼ぶ神応援曲として受け継がれていきます。

    顧問の先生を尊敬し、将来は教師を目指すために音楽大学へ進学するものの、ある日大義の身体に異変が襲い、診断の結果癌に侵されていたことがわかります。

    青春の煌めきと胸を締め付けられるようなストーリーで、脇を固める役者陣の抑えた演技も素晴らしく、涙がとまりません。

    ノンフィクションだからこそ感じられる感動があります。

    監督 秋山純
    脚本 中井由梨子
    原作 中井由梨子『20歳のソウル 奇跡の告別式、一日だけのブラスバンド』
    公開年 2022年
    出演者 神尾楓珠 / 尾野真千子 / 福本莉子 / 佐藤浩市 他

     

     

    PLAN 75〔2022〕


    センシティブな社会問題に切り込んだヒューマンドラマ

    架空の現代、高齢化問題の解決策として、75歳以上の高齢者に安楽死する権利(プラン75)が認めらている日本が舞台となっています。

    ホテルの客室清掃員として働く78歳の角谷ミチは、身寄りのない未亡人で身体は元気なものの高齢を理由に解雇されてしまいます。

    仕事も見つからず、住む場所も失いそうになった彼女はプラン75を検討し始めます。

    一方、プラン75の職員の青年・岡部ヒロムは、叔父がプラン75に申し込みにきたことによって、動揺します。

    それぞれが思いを抱えて最後に見出した答えとは。

    架空とはいえ、あまりにリアルなストーリーに切なさがこみあげてきてやるせない気持ちになります。

    第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門 カメラ・ドール特別表彰にも輝いた、人間の尊厳を深く考えさせられる傑作。

    監督 早川千絵
    脚本 早川千絵
    公開年 2022年
    出演者 倍賞千恵子 / 磯村勇斗 / たかお鷹 / 河合優実 / ステファニー・アリアン 他

     

     

    とんび〔2022〕


    男親と子の半生を描いた感動作

    原高度経済成長真っ只中の昭和37年、広島県備後市で運送会社に勤務するヤスと美佐子の間にアキラが生まれます。

    ある日、ヤスの勤務先に美佐子と幼いアキラを連れて行った際、荷物が崩れてアキラをかばった美佐子が命を落とします。

    不器用な男・ヤスとアキラが周りの人に助けられながら成長していく半生を描いています。

    2度ドラマ化もされていて、それに比べると2時間弱におさめるにはあまりにダイジェスト感は否めませんが、その分感動がギュッと凝縮されています。

    原作者・重松清さんの自伝的要素も盛り込まれていて、人情味あふれる感動作です。

    監督 瀬々敬久
    脚本 港岳彦
    原作 重松清
    公開年 2022年
    出演者 阿部寛 / 北村匠海 / 杏 / 安田顕 / 麻生久美子  / 薬師丸ひろ子他

     

     

    死刑にいたる病〔2022〕


    連続殺人死刑囚の1件の冤罪の真実とは

    人の良さそうな雰囲気で町に溶け込んでいた連続殺人鬼、榛村大和は逮捕され、罪は認めていたもののその1件だけは冤罪であると、知り合いだった大学生の筧井雅也にそれを調べてほしいと依頼します。

    筧井もまた大学で鬱屈とした日々を送る中で、調査していくうちに榛村の狂気に取り憑かれていき、自分の出生の秘密にも疑問を感じるようになっていきます。

    櫛木理宇さんの小説を原作とした作品で、白石和彌監督がノンフィクション作品を監督した『凶悪』を彷彿とさせる内容となっています。

    正直殺害シーンが目を背けたくなるほどあまりにグロいので、苦手な方は注意した方がいいかもしれません。

    監督 白石和彌
    脚本 高田亮
    原作 櫛木理宇
    公開年 2022年
    出演者 阿部サダヲ / 岡田健史 / 岩田剛典 / 中山美穂 他

     

     

    異動辞令は音楽隊!〔2022〕


    パワハラ刑事が左遷された警察音楽隊で人生を見つめ直すエンタメ作品

    パワハラ体質で刑事畑30年の中年・成瀬は、コンプライアンスに反する行動を続けた結果、警察音楽隊への異動を命じられます。

    音楽なんかをやるために刑事になったんじゃねえと、最初は反発していたものの、仲間との交流の中で大切なことに気づき始めていきます。

    そんな警察内における音楽隊の存在意義を問いながら、その活動と並行して、強盗詐欺事件の捜査の行方も気になります。

    阿部寛さんのドラムをはじめとする演奏も見事です。

    監督 内田英治
    脚本 内田英治
    原案 内田英治
    公開年 2022年
    出演者 阿部寛 / 清野菜名 / 磯村勇斗 / 倍賞美津子 他

     

     

    前科者〔2022〕


    加害者と被害者の生きる意味を問う悲しみの物語

    原作は『ビッグコミックオリジナル』に連載されている香川まさひとと作画、月島冬二による漫画で、WOWOWでドラマ化された続編の劇場版で完全オリジナルストーリーです。

    コンビニでバイトしながら無報酬の保護司をする阿川佳代(有村架純)が主人公で、出所して保護観察中の更生を助けています。

    その中の一人の工藤誠(森田剛)はまじめに働き、もうまもなく保護観察終了目前でしたが、最後の面談に現れません。

    なぜ社員登用と保護観察終了を棒にふるようなことになってしまったのか?

    悲しい物語の真相とともに、阿川がなぜ保護司になったのか過去が明かされます。

    監督 岸善幸
    脚本 岸善幸
    原作 香川まさひと / 月島冬二
    公開年 2022年
    出演者 有村架純 / 森田剛 / 磯村勇斗 他

     

     

    さがす〔2022〕


    どんでん返しが見事なダークサスペンス作品

    懸賞金300万円かかった男を見かけたという中年男性の原田智が男を探しに行ったところ行方不明となり、その娘が父親を探しに行く。

    そして出会ったのが彼の父の名を騙って働いている男だった。果たして父親と犯人の関係とは。

    障害を抱えている方や自殺幇助などセンシティブな題材を扱っているので、評価はおそらく激しくわかれると思われますが、どんでん返しを含むサスペンスとしてとても面白い作品。

    スター俳優がいない分、演技派の面々が物語を引き締めていると思います。

    特に清水尋也さんの優しさと狂気的な2面を演じ分ける個性は、得難い存在感を発揮しています。

    監督は『パラサイト 半地下の家族』でアカデミー賞を受賞したポン・ジュノのもとで助監督も務めたことがある方で作風にも濃い影響が感じられます。

    監督 片山慎三
    脚本 片山慎三 / 小寺和久 / 高田亮
    公開年 2022年
    出演者 佐藤二朗 / 伊東蒼 / 清水尋也 他

     

     

    アキラとあきら〔2022〕


    銀行に同期入社の同じ名を持つ二人の男のドラマ

    幼少期に父の会社の倒産によって人生を翻弄された山崎瑛と大企業の御曹司の長男に生まれながら次期社長を拒絶して銀行に就職した階堂彬。

    運命で結ばれた同期入社の二人の「あきら」は、優秀なバンカーとして将来を嘱望されていました。

    人情に熱い山崎瑛は信念に従うも左遷させられてしまい、階堂彬もまた親族同士の骨肉の争いにに巻き込まれていきます。

    二人の運命が何度も交差する大人気作家、池井戸潤さん原作のヒューマンドラマです。

    監督 三木孝浩
    脚本 池田奈津子
    原作 池井戸潤
    公開年 2022年
    出演者 竹内涼真 / 横浜流星 / 髙橋海人 / 上白石萌歌 / 江口洋介 他

     

     

    マイ・ブロークン・マリコ〔2022〕


    心を掻きむしられるようなヒリヒリ感がたまらない遺骨と旅するロードムービー

    「このマンガがすごい!2021オンナ編第4位」となった平庫ワカさんの同名漫画を原作とした作品。

    ブラック企業で働くシイノトモヨを襲った親友の自殺という衝撃。

    親友のマリコは幼い頃から毒親や彼氏に暴力を振るわれ、人生を奪われていました。

    そんなマリコの遺骨が毒親の手に渡ったと知り、いてもたってもいられなくったシイノは家に乗り込み遺骨を強奪します。

    そしてマリコがかつて行きたがっていた海に、遺骨を抱えてふたり旅に出かけます。

    過去のフラッシュバックと現在の様子が混じり合い、ヒリヒリするような内容に心を掻きむしられます。

    監督 タナダユキ
    脚本 向井康介 / タナダユキ
    原作 平庫ワカ
    公開年 2022年
    出演者 永野芽郁 / 奈緒 / 窪田正孝 / 尾美としのり / 吉田羊 他

     

    恋は光〔2022〕


    恋を論理的に考える恋愛ファンタジーの傑作

    恋する人が光って見えるという特異体質の大学生の西条は、恋を知りたくて本を読むという浮世離れした東雲に出会い、一目惚れし、恋の定義について交換日記をすることになります。

    西条の小学校の頃からの幼なじみの北代もまた密かに西条に思いを寄せていて、三角関係になっています。

    そんな3人に他人の彼氏を奪いたくなるという悪癖を持つ宿木も絡んでいきます。

    登場人物すべてが魅力的で、恋というものを哲学的に捉えつつ、感情が揺れ動くという様が見ていて楽しく、最終的に誰と恋することになるのかが見どころです。

    秋★枝による「ウルトラジャンプ」で連載された漫画が原作の恋愛哲学ファンタジーの傑作です。

    監督 小林啓一
    脚本 小林啓一
    原作 秋★枝『恋は光』
    公開年 2022年
    出演者 神尾楓珠 / 西野七瀬 / 平祐奈 / 馬場ふみか 他

     

     

    線は、僕を描く〔2022〕


    水墨画を通して人生に向き合う感動ドラマ

    親友から頼まれ展示会搬入の手伝いにいった青山霜介は、水墨画の大家・西濱湖峰になぜか見染められ、弟子になることを誘われます。

    家族のことで失意を抱えていた霜介は、生徒として誘いを受けます。

    湖峰の孫、篠田千瑛もまた才能がありながら壁にぶつかっていました。

    二人の若者が真摯に水墨画に向き合い、霜介の失意から再生していく姿を感動的に描いています。

    キャストが見事にハマっていて、三浦友和さん、江口洋介さんが存在感を放って、映画を引き立てています。

    第17回本屋大賞でも3位となった砥上裕將さん原作作品で、水墨画の魅力に引き込まれることでしょう。

    監督 小泉徳宏
    脚本 片岡翔 / 小泉徳宏
    原作 砥上裕將
    公開年 2022年
    出演者 横浜流星 / 清原果耶 / 細田佳央太 / 江口洋介 / 三浦友和 他

     

     

    2023年

    ロストケア〔2023〕


    殺人か救済か、倫理観が問われるサスペンス

    本作品はサスペンス・ミステリーではありますが、犯人探しが主題ではなく、犯人は割とすぐに特定されます。

    ケアセンターで働く職員、斯波は利用者からもセンターの間でも優しく信頼の厚い人物です。

    そんな彼が3年間で42人もの殺人を犯し、なぜ犯行に及んだのかを問い、それを裁こうとする検事とのやりとりを描いた社会派ミステリーです。

    かなり社会問題の難しいテーマを扱っていると思いますが、これを観た方の意見は当然分かれるでしょうし、当事者と他人事で見え方は違ってくるのではないでしょうか。

    メッセージ性の強い悲しみを含んだ傑作です。

    監督 前田哲
    脚本 龍居由佳里 / 前田哲
    原作 葉真中顕『ロスト・ケア』
    公開年 2023年
    出演者 松山ケンイチ / 長澤まさみ / 鈴鹿央士 / 坂井真紀 / 戸田菜穂 / 柄本明 他

     

     

    シャイロックの子供たち〔2023〕


    小説版と一味違う銀行を舞台にした経済ミステリー

    タイトルのシャイロックとは、シェークスピアの戯曲「ヴェニスの商人」に登場する強欲な金貸しの名前です。

    トップの売り上げ成績をあげる銀行員の滝野は、かつてのしがらみで銀行融資の不正に加担してしまいます。

    それに付随して行内で現金紛失事件が発生し、それらの不正を巡って真相をさぐる経済ミステリーです。

    池井戸潤さん原作をもとに映画独自のオリジナルストーリーとなっていて、小説を読んだイメージといい意味で違っていて、最後まで先の読めない展開となっています。

    金は返せば問題ないということではなく、一度不正を働いてしまえば、回り回って因果が巡ってくるということを描いた傑作ミステリーです。

    監督 本木克英
    脚本 ツバキミチオ
    原案 池井戸潤『シャイロックの子供たち』
    公開年 2023年
    出演者 阿部サダヲ / 上戸彩 / 玉森裕太 / 柳葉敏郎 / 佐藤隆太 / 佐々木蔵之介 他

     

     

     

    まとめ

    ペディ
    ペディ
    いかがでしたでしょうか

    もし観てない作品があったら、ぜひ観てください
    ウィック
    ウィック

     

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