1990年代
5. Blood Sugar Sex Magik〔1991〕
長きに渡るリック・ルービンプロデュースの最初の作品
サウンドとしては前作から踏襲されている部分とジョンの個性を前面に出した部分が絶妙なバランスで組み合わさっていて、驚かされるのがボリュームと質です。
カヴァーもありますが、全17曲収録されていて、これまでになかったようなメロディアスな曲やバラード調の曲もあり、ギター・プレイが美しい“I Could Have Lied”や“Under the Bridge”は聴きどころのひとつです。
また、代表曲“Give It Away ”はバンド初のグラミー賞を獲得しました。
このアルバムから後の『I'm With You』までの長きに渡るプロデュースを手がけるのが、ビースティ・ボーイズやRun.D.M.Cらのヒップホップをメジャー・シーンに押し上げ、メタリカからアデルにいたるまでヒット作を多数世に送り出してきたリック・ルービンがつとめています。
初期と後期をつなぐターニングポイントともいえる名盤ですが、このアルバムの翌年、ジョンがヘロイン中毒とうつ病によって、バンドを脱退してしまいます。
ボーカル | アンソニー・キーディス | |
ベース | フリー | |
ドラム | チャド・スミス | |
ギター | ジョン・フルシアンテ | |
プロデュース | リック・ルービン |
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6. One Hot Minute〔1995〕
ハードロック色が強い、隠れた傑作
ジョンが脱退したことによって、ギタリストのオーディションを繰り返しますが、なかなか定着するような人材がいない中、選ばれたのが元ジェーンズ・アディクションのデイヴ・ナヴァロです。
ジェーンズ・アディクションはニルヴァーナに並ぶオルタナ系バンドで、レッチリとは通じるものがあるので、加入には驚かされましたが相性は悪くありません。
このアルバムはファンク色が薄れて、よりハードロック色が強いためか、世間的な評価は少し低めではありますが、個人的にはそれほど悪いとは思いませんし、メタルやハードロック好きにはむしろ好印象を受ける作品だと思います。
しかし、そのデイヴもツアー後に方向性の違いから脱退してしまいます。
ボーカル | アンソニー・キーディス | |
ベース | フリー | |
ドラム | チャド・スミス | |
ギター | デイヴ・ナヴァロ | |
プロデュース | リック・ルービン |
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7. Californication〔1999〕
このアルバムで、なんと薬物のリハビリから立ち直ったジョンが復活します。
しかも、その存在感は強く増して、よりメロディアスな側面をもたらします。
“Around the World”は映画『BECK』のオープニングテーマーに起用、“Scar Tissue”は2度目のグラミー賞を獲得し、名実ともにモンスターバンドの仲間入りを果たしたと言える傑作だと思います。
ボーカル | アンソニー・キーディス | |
ベース | フリー | |
ドラム | チャド・スミス | |
ギター | ジョン・フルシアンテ | |
プロデュース | リック・ルービン |
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2000年代
8. By the Way〔2002〕
前作では、まだ染まり切っていなかったのが、この作品ではほぼ完全にジョンの色に染まったと言えるレッチリ史上最もポップでメランコリックな作品です。
ジョンがソロでヴォーカルとしても通用するようになっていることから、ヴォーカルハーモニーとしても存在感が増しています。
その中でもファンクさと泣きのメロディでライブで欠かせない曲“Can't Stop”や美しいメロディの“Dosed”や牧歌的な“Cabron”など、まさにレッチリとしての新境地ともいえる作品です。
ボーカル | アンソニー・キーディス | |
ベース | フリー | |
ドラム | チャド・スミス | |
ギター | ジョン・フルシアンテ | |
プロデュース | リック・ルービン |
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9. Stadium Arcadium〔2006〕
ボリュームといい楽曲の振り幅といい、これまでの集大成とも言えるような作品です。
かつてのファンク色は前のアルバムの流れ同様、やや薄めではありますが、それを補ってあまりあるバラエティさが全28曲に詰まっています。
日本でもオリコンアルバムチャートで1位を獲得するという洋楽アルバムとしては快挙を達成していて、驚かされます。
ただジョンはソロとしても創作意欲が旺盛で、「自身の音楽を探求したい」という理由で、2009年に今回は円満に脱退をすることになりました。
ボーカル | アンソニー・キーディス | |
ベース | フリー | |
ドラム | チャド・スミス | |
ギター | ジョン・フルシアンテ | |
プロデュース | リック・ルービン |
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2010年代
10. I'm with You〔2011〕
前作からこれまでで最大期間となる5年ぶりとなったアルバムで、ジョンの穴を埋めるべく選ばれたのが、『Stadium Arcadium』のツアーの途中から、サポートミュージシャンとして参加したり、ジョンのソロでも共作していたジョシュ・クリングホッファー(Josh Klinghoffer)です。
前作までと比べると若干薄味には感じますが、いい意味で、きっと民主的にアルバムが作られたであろうことが窺われる肩の力が抜けた佳曲が詰まっています。
ボーカル | アンソニー・キーディス | |
ベース | フリー | |
ドラム | チャド・スミス | |
ギター | ジョシュ・クリングホッファー | |
プロデュース | リック・ルービン |
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11. The Getaway〔2016〕
プロデューサーを変更した意欲作
4枚目の『Mother’s Milk』から前作までの7枚にわたってアルバムを手がけたリック・ルービンと離れ、ゴリラズやザ・ブラック・キーズ、ベックらも手がけたデンジャー・マウスがプロデュースを務めています。
またミックスはベック、レディオヘッド、R.E.M.らを手がけたナイジェル・ゴドリッチが担当しています。
正直、一言で言うなら今までと比べると地味と言わざるをえませんが、ミドルテンポの楽曲が中心で、肩肘をはらずに聴けるメロウさには好感が持てます。
サウンド的にはこれまでのレッチリにはない新しさが感じられる意欲作であることは間違いありません。
ボーカル | アンソニー・キーディス | |
ベース | フリー | |
ドラム | チャド・スミス | |
ギター | ジョシュ・クリングホッファー | |
プロデュース | デンジャー・マウス |
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2020年代
12. Unlimited Love〔2022〕
2019年にジョシュ・クリングホッファーが脱退し、ジョン・フルシアンテが再加入しました。
ジョンなき後を支えたジョシュのことを思うと切なくなりましたが、それ以上にジョンの復活はうれしいニュースとなりました。
そして、前作から実に6年ぶりとなる新作です。
プロデューサーにはジョンとともに黄金期を支えたリック・ルービンも復活。
作品内容は、タイトルの“無限の愛”というように全般的にメロウで穏やかな楽曲が中心となっています。
キラーチューンこそ少なめな印象ですが、その中でもシングル曲の“Black Summer”や“The Great Apes”のギタープレイは胸アツですし、“These Are The Ways”は盛り上がること間違いなしの一曲となっています。
他にも細かいエッセンスが散りばめられていて、練りに練られたという印象の全17曲(+ボーナストラック)とボリュームも満点。
バンドの成熟感を感じさせる待ちに待った良盤といえます。
ボーカル | アンソニー・キーディス | |
ベース | フリー | |
ドラム | チャド・スミス | |
ギター | ジョン・フルシアンテ | |
プロデュース | リック・ルービン |
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13. Return Of The Dream Canteen〔2022〕
前作からわずかな期間をおいてリリースされた13枚目のアルバムです。
2022年で2枚目というだけでも驚きですが、それが17曲というボリュームで、前作をしのぐほどのクオリティで制作されていることに感動させられます。
プロデューサーは前作に続いてリック・ルービンがつとめていて、サウンド的には前作の延長線上にあると言えます。
全体的な印象としては時にファンクで、メロウなミディアム調の曲が目立ちますが、そんな中でも熱いプレイが光っています。
特に先行シングルともなった“Tippa My Tongue”はスライ&ザ・ファミリー・ストーンを彷彿とさせるようなファンキーな曲ですし、亡くなったエディ・ヴァン・ヘイレンに捧げた曲“Eddie”はエモーショナルでギターソロもむせび泣くように感動的です。
アルバムの後半に行くに連れてダンサブルな曲やブルージーな曲など楽曲の幅が広がっていき聴きどころ満載です。
ボーカル | アンソニー・キーディス | |
ベース | フリー | |
ドラム | チャド・スミス | |
ギター | ジョン・フルシアンテ | |
プロデュース | リック・ルービン |
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まとめ
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