こんな方に
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- 邦画が好きな方
- ヒューマンドラマが好きな方
- 感動するような傑作を知りたい方
こんな方におすすめの邦画のヒューマンドラマ映画をご紹介します。
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2020年代
メタモルフォーゼの縁側〔2022〕
女子高生と老婦人の好きなものを通じてつながるヒューマンドラマの傑作
この作品は地味ですが、夢中になれる趣味を持つ人にはもちろん、そうでない人にも趣味を持ちたいと思わせてくれる、ほっこり刺さりまくる傑作です。
75歳の老婦人の雪は、ふと訪れた本屋で表紙の絵柄を気に入り、どんな漫画かもわからず購入。
それはBLの漫画でしたが、すっかり男子の恋物語に魅了されます。
続きを気になり続巻をまた買いにいくも在庫切れで、手配してくれたのが17歳の高校生バイトでひそかにBL漫画を愛するうららでした。
そうして、意気投合した二人は、歳の差を超え、友情を育んでいき、ふたりはある挑戦を決意することになります。
無理に泣かせようとするような感じではなく、自然と心を動かされる素晴らしい作品です。
主演の芦田愛菜さんと宮本信子さんは、『阪急電車 片道15分の奇跡』でも幼い孫とおばあちゃんの関係で共演していますが、今度は歳の差を超えた友達として共演していることに感慨深いものがあります。
監督 | 狩山俊輔 | |
脚本 | 岡田惠和 | |
原作 | 鶴谷香央理『メタモルフォーゼの縁側』 | |
公開年 | 2022年 | |
出演者 | 芦田愛菜 / 宮本信子 / 高橋恭平 / 古川琴音 / 光石研 他 |
ある男〔2022〕
離婚して子供を連れて故郷に帰った里枝は実家の文房具屋で働いていました。
そこに客としてやってきた谷口大佑という男と気があい再婚し、暮らしていましたが大佑が事故で他界してしまいます。
疎遠になっていた大佑の兄が、葬式後に仏壇の遺影を見ると、それは別人であると判明します。
里枝から依頼された弁護士の城戸は大佑の本当の正体を追い、驚きの真実にたどり着くこととなります。
自分は何も変わらなくても、名前や出生にまつわることだけで、世間から判断されてしまうという不条理さを描いたヒューマンミステリーです。
監督 | 石川慶 | |
脚本 | 向井康介 | |
原案 | 平野啓一郎『ある男』 | |
公開年 | 2022年 | |
出演者 | 妻夫木聡 / 安藤サクラ / 窪田正孝 / 清野菜名 / 柄本明 他 |
さかなのこ〔2022〕
唯一無二の存在、さかなクンの自伝をもとに描いた笑って感動できる作品
子供の頃からずっとお魚が好きなミー坊は、そのことを否定することなく背中を押してくれる母親のもと、周りに心配されようと魚のことばかり考えて過ごしていきます。
高校生になっても大人になっても魚を好き続けていたミー坊がさかなクンに成長するまでの過程をユーモラスに描いています。
主演をつとめる中性的な魅力を持つのんさんだからこそのハマり役で、周りを囲む俳優陣も素晴らしいです。
究極の“好きこそ物の上手なれ”を体現する唯一無二の存在、さかなクンの自伝をもとにした笑って感動できる作品です。
監督 | 沖田修一 | |
脚本 | 沖田修一 / 前田司郎 | |
原作 | さかなクン『さかなクンの一魚一会 〜まいにち夢中な人生!〜』 | |
公開年 | 2022年 | |
出演者 | のん / 柳楽優弥 / 夏帆 / 磯村勇斗 / 岡山天音 / さかなクン / 井川遥 他 |
とんび〔2022〕
原高度経済成長真っ只中の昭和37年、広島県備後市で運送会社に勤務するヤスと美佐子の間にアキラが生まれます。
ある日、ヤスの勤務先に美佐子と幼いアキラを連れて行った際、荷物が崩れてアキラをかばった美佐子が命を落とします。
不器用な男・ヤスとアキラが周りの人に助けられながら成長していく半生を描いています。
2度ドラマ化もされていて、それに比べると2時間弱におさめるにはあまりにダイジェスト感は否めませんが、その分感動がギュッと凝縮されています。
原作者・重松清さんの自伝的要素も盛り込まれていて、人情味あふれる感動作です。
監督 | 瀬々敬久 | |
脚本 | 港岳彦 | |
原作 | 重松清 | |
公開年 | 2022年 | |
出演者 | 阿部寛 / 北村匠海 / 杏 / 安田顕 / 麻生久美子 / 薬師丸ひろ子他 |
PLAN 75〔2022〕
架空の現代、高齢化問題の解決策として、75歳以上の高齢者に安楽死する権利(プラン75)が認めらている日本が舞台となっています。
ホテルの客室清掃員として働く78歳の角谷ミチは、身寄りのない未亡人で身体は元気なものの高齢を理由に解雇されてしまいます。
仕事も見つからず、住む場所も失いそうになった彼女はプラン75を検討し始めます。
一方、プラン75の職員の青年・岡部ヒロムは、叔父がプラン75に申し込みにきたことによって、動揺します。
それぞれが思いを抱えて最後に見出した答えとは。
架空とはいえ、あまりにリアルなストーリーに切なさがこみあげてきてやるせない気持ちになります。
第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門 カメラ・ドール特別表彰にも輝いた、人間の尊厳を深く考えさせられる傑作。
監督 | 早川千絵 | |
脚本 | 早川千絵 | |
公開年 | 2022年 | |
出演者 | 倍賞千恵子 / 磯村勇斗 / たかお鷹 / 河合優実 / ステファニー・アリアン 他 |
20歳のソウル〔2022〕
ノンフィクション小説をもとにした市立船橋高校吹奏楽部の青年の人生を描いた感動作
市立船橋高校吹奏楽部に所属し、トロンボーンを担当する浅野大義。
活発で優しく、部員の中心として慕われていた彼は、野球部の応援のためにオリジナル応援曲「市船soul」を作り、それはいつしか演奏するとたちまち得点を呼ぶ神応援曲として受け継がれていきます。
顧問の先生を尊敬し、将来は教師を目指すために音楽大学へ進学するものの、ある日大義の身体に異変が襲い、診断の結果癌に侵されていたことがわかります。
青春の煌めきと胸を締め付けられるようなストーリーで、脇を固める役者陣の抑えた演技も素晴らしく、涙がとまりません。
ノンフィクションだからこそ感じられる感動があります。
監督 | 秋山純 | |
脚本 | 中井由梨子 | |
原作 | 中井由梨子『20歳のソウル 奇跡の告別式、一日だけのブラスバンド』 | |
公開年 | 2022年 | |
出演者 | 神尾楓珠 / 尾野真千子 / 福本莉子 / 佐藤浩市 他 |
前科者〔2022〕
原作は『ビッグコミックオリジナル』に連載されている香川まさひとと作画、月島冬二による漫画で、WOWOWでドラマ化された続編の劇場版で完全オリジナルストーリーです。
コンビニでバイトしながら無報酬の保護司をする阿川佳代(有村架純)が主人公で、出所して保護観察中の更生を助けています。
その中の一人の工藤誠(森田剛)はまじめに働き、もうまもなく保護観察終了目前でしたが、最後の面談に現れません。
なぜ社員登用と保護観察終了を棒にふるようなことになってしまったのか?
悲しい物語の真相とともに、阿川がなぜ保護司になったのか過去が明かされます。
監督 | 岸善幸 | |
脚本 | 岸善幸 | |
原作 | 香川まさひと / 月島冬二 | |
公開年 | 2022年 | |
出演者 | 有村架純 / 森田剛 / 磯村勇斗 他 |
そして、バトンは渡された〔2021〕
父親を森宮さんと呼ぶ高校3年生の優子と、梨花という新しい母親がやってくる小学生のみぃたんと呼ばれる女の子のストーリーが交互に描かれていきます。
優子は笑顔をふりまくもののクラスでは浮いた存在で、合唱のピアノ奏者を押しつけられるようなところがあります。
一方のみぃたんは父親がブラジルに移住するといいだし、梨花を選んで日本に残ることに決めます。
そんな二人の人生がつながった時、想いもよらないような事実が浮かび上がってきます。
原作を読んでいない人にはある種のどんでん返しのような展開を楽しめますし、読んでいる人も見事な構成になっているので、号泣間違いなしの傑作です。
監督 | 前田哲 | |
脚本 | 橋本裕志 | |
原作 | 瀬尾まいこ | |
公開年 | 2021年 | |
出演者 | 永野芽郁 / 田中圭 / 岡田健史 / 石原さとみ 他 |
キネマの神様〔2021〕
松竹映画100周年記念作品として制作された、映画製作に対する愛が詰まった作品です。
借金と酒に溺れる父・円山郷直(ゴウ)のせいで娘の歩のもとに借金催促の連絡がくるようになります。
妻の淑子と歩はキャッシュカードを取り上げ、酒も競馬も禁止し、昔製作に携わっていた映画鑑賞を趣味としてすすめます。
若き日に監督を目指していたゴウと淑子の出会いを描いたパートと現在のパートを交錯させて描いた感動の物語です。
コロナ禍の影響で主演を務めるはずだった志村けんさんが亡くなり、そのコロナの様子がまるでドキュメンタリーのようにストーリーに反映され、また志村さんを偲ぶ演出もなされています。
原作とは大幅にストーリーや設定が改変されていて、原作とはまた違った魅力が詰まっています。
監督 | 山田洋次 | |
脚本 | 山田洋次 / 朝原雄三 | |
原作 | 原田マハ | |
公開年 | 2021年 | |
出演者 | 沢田研二 / 菅田将暉 / 永野芽郁 / 寺島しのぶ / 小林稔侍 / 宮本信子 他 |
ミッドナイトスワン〔2020〕
トランスジェンダーの光と影、青春の希望と絶望を見事に描いた大傑作
草彅剛さん演じるトランスジェンダーの凪沙は新宿のショーパブで働いて、ダンスを踊っています。
ある日広島に住む親戚の娘・一果が虐待のおそれから保護されたため、実家から凪沙のもとでしばらく預かってほしいということになり生活することに。
心を閉ざしている一果でしたがバレエに興味があり、凪沙に無断でバレエを習い始めます。最初は反対した凪沙も才能に気付き、やがて応援することに。
草薙さんの演技がかつてないほどのハマり役で、トランスジェンダーの光と影を見事に演じ切っています。また、一果のバレエも本物で美しく、すばらしいです。
ここ近年でもっとも魂を揺さぶれれた、感動というにはあまりに悲痛だけど、希望もあるラストに号泣を止められません。
監督 | 内田英治 | |
脚本 | 内田英治 | |
公開年 | 2020年 | |
出演者 | 草彅剛 / 部樹咲 / 水川あさみ / 真飛聖 他 |
朝が来る〔2020〕
栗原佐都子と清和夫婦は不妊治療をしていたものの子供を諦めざるをえませんでした。
ある日テレビを見ていて、妊娠したものの子供を手放さなければいけない母親と子供に恵まれない親をつなぐ特別要支縁組を知り、その制度を利用します。二人の子の親は中学生で妊娠したひかりという子でした。
そして6年たったある日、「子供を返してほしいんです。」という電話がかかってきます。平凡な家庭をおびやかすこの女はいったい何者なのか。
河瀬監督らしいドキュメンタリータッチで、養子縁組という制度の光と影を栗原夫婦、ひかり双方の苦悩と葛藤を通して見事に描かれています。
多彩な作風で傑作を世に送り出している辻村深月さんの原作作品で、原作の良さ以上に仕上がった傑作です。
監督 | 河瀨直美 | |
脚本 | 河瀨直美 / 髙橋泉 | |
原作 | 辻村深月『朝が来る』 | |
公開年 | 2020年 | |
出演者 | 永作博美 / 井浦新 / 蒔田彩珠 / 浅田美代子 他 |
浅田家!〔2020〕
写真が知らない人も一度は目にしたことがあるかもしれない写真界の芥川賞に匹敵する木村伊兵衛写真賞を受賞している『浅田家』という写真集。
家族でコスプレをしたりしてユーモアあふれる作品ですが、この映画はその写真家でもある主人公とちょっと変わった家族の物語です。
二宮和也さん演じる浅田政志が、なぜそんな写真を撮り始め、その作品が受賞するまでが前半で、後半は写真家として活動していくなかで生まれた出会いによる東日本大震災とのかかわりを描いています。
キャスティングが素晴らしく、冒頭のつかみからラストの意外性まで楽しめる作品です。
監督 | 中野量太 | |
脚本 | 中野量太 / 菅野友恵 | |
原案 | 浅田政志『浅田家』『アルバムのチカラ』 | |
公開年 | 2020年 | |
出演者 | 二宮和也 / 妻夫木聡 / 黒木華 / 菅田将暉 / 風吹ジュン / 平田満 他 |
2010年代
泣くな赤鬼〔2019〕
原作は重松清の『せんせい。』に所収されている短編小説です。
才能がありつつも努力することができず、野球部をやめてしまった少年とその当時の監督で担任だった先生が大人になって病院で出会うところから物語は始まります。
高校時代の回想と現在を行き来しながら進行しますが、野球部を辞めてしまった経緯は昔気質のほめずに、理由を言わないような監督に反発を覚えるという、わりかし経験した人も多いと思いますが、やはり全う出来なかったことは大人になって心残りになってしまうものです。
そんな病気になり死期の近くなってやり残したことを叶えようとする先生とのやりとりに、ラストは号泣です。
監督 | 兼重淳 | |
脚本 | 上平満 / 兼重淳 | |
原作 | 重松清『せんせい。』所収「泣くな赤鬼」 | |
公開年 | 2019年 | |
出演者 | 堤真一 / 柳楽優弥 / 川栄李奈 / 竜星涼 他 |
今日も嫌がらせ弁当〔2019〕
ブログで人気を博し、後に出版されたエッセイが原作で、反抗期の娘に高校の入学から卒業まで、3年間キャラ弁などによる「嫌がらせ弁当」を作り続けた実話をもとにした作品です。
舞台は八丈島で、シングルマザーの篠原涼子さんが役柄にマッチしています。
継続することは本当にすごいことで、集大成ともいえるラストの弁当はまさに圧巻。
感動すること間違いなしの作品です。
監督 | 塚本連平 | |
脚本 | 塚本連平 | |
原作 | Kaori(ttkk)『今日も嫌がらせ弁当』 | |
公開年 | 2019年 | |
出演者 | 篠原涼子 / 芳根京子 / 松井玲奈 / 佐藤隆太 他 |
万引き家族〔2018〕
表向きは独居老人の初枝の家で家族のように暮らす同居人。
初枝の年金とそれぞれの細々とした仕事に加え、万引きによって暮らしを立てています。
それに加え、虐待されている子を保護してあげるなど貧しい暮らしの中でもお互いが必要としあい、本当の家族のように過ごす様子はささやかな幸せを感じられます。
それでも世間的には悪であり、真実は見過ごされてしまいます。
本当の善悪とは何か心を揺さぶられるカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した傑作。
監督 | 是枝裕和 | |
脚本 | 是枝裕和 | |
原案 | 是枝裕和 | |
公開年 | 2018年 | |
出演者 | リリー・フランキー / 安藤サクラ / 松岡茉優 / 樹木希林 他 |
しゃぼん玉〔2017〕
市原悦子さんの遺作でもある強盗傷害犯と老婆の交流を描いたヒューマンドラマ
女性や老人ばかりを狙って強盗傷害を繰り返していた青年は逃亡途中に怪我をして倒れていた老婆を助け、彼女の家に世話になることになります。
やがて、村の手伝いをすることになり、ある事件をきっかけに村に帰ってきた美知と知り合った彼は、村での生活の中で自分の罪の重さを自覚していくようになっていくというヒューマンドラマです。
市原悦子さんの遺作となった作品でもあり、ほのぼのとした中に、生きていくうえで大事なものは何か、罪を犯した人間の揺れ動く気持ちを描いた傑作です。
監督 | 東伸児 | |
脚本 | 東伸児 | |
原作 | 乃南アサ『しゃぼん玉』 | |
公開年 | 2017年 | |
出演者 | 林遣都 / 市原悦子 / 藤井美菜 / 相島一之 / 綿引勝彦 他 |
湯を沸かすほどの熱い愛〔2016〕
銭湯を営む幸野家は、父が失踪し休業状態。母・双葉はパートしながら娘を育てていたけど、余命2ヵ月と知り、死ぬまでに「絶対にやっておくべきこと」を決め実行していきます。
自身の病気、いじめによる娘の不登校寸前、行方不明の夫を探し出し、銭湯を再建させることなど、すべての問題を解決するために立ち向かっていきますが、不幸のオンパレードでそのいちいちに泣かされます。
不幸の連続のちょっと都合のよさに賛否があるかもしれないけど、それに目をつぶれば、それらに立ち向かう愛の力に感動の涙は避けられません。
宮沢りえさんの母親役が真に迫っていて、胸をうちます。
監督 | 中野量太 | |
脚本 | 中野量太 | |
公開年 | 2016年 | |
出演者 | 宮沢りえ / 杉咲花 / 伊東蒼 / 松坂桃李 / オダギリジョー 他 |
海街diary〔2015〕
派手さはないけど、まさに日記を読むかのようなしみじみした素晴らしい作品
三姉妹のもとに15年前に女と家を出て行った父親の訃報が届き、山形に葬式に行き、そこで腹違いの妹と出会います。
その子も後妻と生活しなければいけなかったことから、一緒に鎌倉で暮らそうと誘い、4人で暮らすことに。
小さな出来事をまさに日記のように淡々とつむぎ、ぎこちなかった関係がだんだん心がつながっていく様子が感動的です。
4姉妹は、まさにこのキャストしかありえないというような素晴らしい4者四様のハマり具合で、脇を固める役者陣も見事。
原作は吉田秋生さんの同名漫画で、じんわりと感動できる4姉妹の物語です。
監督 | 是枝裕和 | |
脚本 | 是枝裕和 | |
原作 | 吉田秋生『海街diary』 | |
公開年 | 2015年 | |
出演者 | 綾瀬はるか / 長澤まさみ / 夏帆 / 広瀬すず 他 |
小さいおうち〔2014〕
大学生の健史の亡くなった大叔母タキは、自叙伝を書き残していた。
タキが生きていた現代の健史とのやりとりと、自叙伝に書いていた昭和10年代の回想でストーリーは展開します。
当時としてはモダンな小さな家に女中として働き、その家族とのやりとりを描いていくのですが、奥様がだんだん不倫に走っていく様に忸怩たる思いを抱いていきます。
ラストでタキの秘められた真実が明かされるのですが、倍賞さんの名演技とともに年月の重さが感じられ、切なさが込み上げてきます。
監督 | 山田洋次 | |
脚本 | 平松恵美子 / 山田洋次 | |
原作 | 中島京子『小さいおうち』 | |
公開年 | 2014年 | |
出演者 | 松たか子 / 黒木華 / 倍賞千恵子/ 吉岡秀隆 / 妻夫木聡 他 |
舟を編む〔2013〕
出版社・玄武書房では『大渡海』という辞書の刊行計画が進められていましたが、定年退職する辞書編集者の代わりがなかなか見つかりません。
そこで白羽の矢が立ったのが、営業をやらせてもまったく役に立たない大学院で言語学を専攻していた変人の馬締でした。
言葉には強い執着心を持つもののコミュニケーション力が低い馬締でしたが、周りの人とのかかわりでだんだん成長していきます。
そんな辞書を作るだけでも大変なのに、恋や会社の経営事情まで絡んできて苦難の連続。
15年に及ぶ刊行までの道のりをドラマティックに描いています。
人には向き不向きや、適材適所、天職というものがあると思いますが、若いうちに一生の仕事を見つけられる幸福が描かれています。
誰かとつながりたくて広大な海を渡ろうとする舟、そんな今を生きる辞書を目指して一生を捧げる感動的な物語です。
本屋大賞を受賞した三浦しをんさん原作作品で、松田さん、オダギリさんをはじめとするキャストも見事にハマった傑作。
監督 | 石井裕也 | |
脚本 | 渡辺謙作 | |
原作 | 三浦しをん | |
公開年 | 2013年 | |
出演者 | 松田龍平 / 宮﨑あおい / オダギリジョー / 小林薫 / 加藤剛 他 |
永遠の0〔2013〕
亡くなった祖母には戦争中に亡くなった夫がいることを葬式の時に知った孫は、その過去を知るために調査をします。
戦争で生き残った人たちに聞くと卑怯者で、臆病者、恥さらしだったと口を揃えて言われるなか、彼と深く関わった人たちはまったく違ったことを証言します。
愛する妻と娘のために、戦争中はタブーとされた生きて帰りたいと言っていた男がなぜ特攻で命を落とすことになったのか。
百田尚樹さん原作の感涙の物語です。
監督 | 山崎貴 | |
脚本 | 山崎貴 / 林民夫 | |
原作 | 百田尚樹『永遠の0』 | |
公開年 | 2013年 | |
出演者 | 岡田准一 / 三浦春馬 / 井上真央 他 |
そして父になる〔2013〕
大好きな是枝監督作品の中でも特に沁みるのが、この作品です。
エリートの良多にある日病院から連絡が入り、6年間育てた息子は病院内の取り違えられた他人の夫婦の子供だということが判明します。
いったんそれぞれ本当の家族で生活してみて、血か愛した時間か、究極の選択を迫られます。
6年間育ててきた子が、取り違えによって自分の子ではないと知った時、自分ならどうするかついつい考えこんでしまいます。
おそらく子を持つ親目線で見る方とそうではない場合では、感じ方が結構違うのでは。
監督 | 是枝裕和 | |
脚本 | 是枝裕和 | |
公開年 | 2013年 | |
出演者 | 福山雅治 / 尾野真千子 / 真木よう子/ リリー・フランキー 他 |
桐島、部活やめるってよ〔2012〕
桐島はどうしてやめちゃうの?がずっと気になる高校生のリアルを描いた傑作
バレー部で県選抜にも選ばれたキャプテンが突然部活をやめたという報せが広がり、本人は休んだまま。
その事実は桐島の彼女や親友にも知らされていなかった。
その報せをめぐるやりとりの1つのエピソードを帰宅部、運動部、映画部や吹奏楽部などの文化部の生徒それぞれの視点から描いています。
朝井リョウさんのデビュー作を原作とした作品で、結局、タイトルにある桐島が直接登場しないところも斬新。
恋や友情、部活道をやる意義など高校生のリアルな姿を描いていて、高校時代のもやもやした気持ちなどを思い出させてくれます。
ラストの映画部の撮影シーンなど、映画愛も感じさせる傑作です。
監督 | 吉田大八 | |
脚本 | 喜安浩平 / 吉田大八 | |
原作 | 朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』 | |
公開年 | 2012年 | |
出演者 | 神木隆之介 / 橋本愛 / 東出昌大 / 山本美月 / 松岡茉優 他 |
八日目の蟬〔2011〕
原作は角田光代さんによる小説で、幼児誘拐事件を描いた作品です。
愛人だった人の幼児を誘拐したのは、自分が堕胎しその子を我が子のように育てたかったためでした。
大人になった主人公の生活と、幼児だった頃の逃亡しながらの4年間の生活が交互に描かれていて、絆が奪われてしまった家族は本来あるべきの普通の家族には戻れず、本人も心を閉ざしたまま成長することになってしまいます。
許されることではないものの愛情いっぱいに育てられたことは心の中に残っていて、それがさらに葛藤を募らせ、自分も不倫関係から妊娠し、誘拐した女と同じ道を辿る運命に。
監督 | 成島出 | |
脚本 | 奥寺佐渡子 | |
原作 | 角田光代 | |
公開年 | 2011年 | |
出演者 | 井上真央 / 永作博美 / 小池栄子 他 |
2000年代
沈まぬ太陽〔2009〕
日本航空と実際の社員の体験に基づいて書かれた山崎豊子さん原作の社会派超大作です。
映画の中で描かれる国民航空123便墜落事故の現在とそこから遡る約10年ほど前の労働組合で委員長をつとめる恩地を主人公に物語は行き来して展開していきます。
会社にとって不都合な存在である恩地は不当人事によって、パキスタン・カラチからイラン・テヘラン、ケニア・ナイロビへと約10年にわたって左遷させられます。
そして、墜落事故後は遺族担当として働きますが、会社の体質や政府との兼ね合いで苦闘します。
映画はフィクションとして扱われていますが、安全や社会倫理を思うとやるせなくなる3時間超の骨太な社会派人間ドラマです。
監督 | 若松節朗 | |
脚本 | 西岡琢也 | |
原作 | 山崎豊子 | |
公開年 | 2009年 | |
出演者 | 渡辺謙 / 三浦友和 / 松雪泰子 / 鈴木京香 / 石坂浩二 他 |
おくりびと〔2008〕
第81回アカデミー賞で、日本映画史上初の外国語映画賞を受賞した作品です。
遺体を棺に納める“納棺師”という職業を通して、様々な死と向き合い人生をみつめるヒューマンドラマです。
死」を扱うテーマという、それだけで涙がつきものですが、この物語はそれ以上のものがあります。
物語の中でも語られている通り、偏見の多い職業なんでしょうけど、その認識を大きく変えてくれます。
本木さんの男泣きに、たまらずつられて泣いてしまいます。
監督 | 滝田洋二郎 | |
脚本 | 小山薫堂 | |
公開年 | 2008年 | |
出演者 | 本木雅弘 / 広末涼子 / 山﨑努 / 余貴美子 他 |
東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜〔2007〕
リリー・フランキーさんが母親との半生を綴った自伝的小説を原作とした作品です。
東京タワーの見える病院に入院しているオカンを看病するボクの現在と少年時代の回想を交えながら映画は展開していきます。
福岡県の小倉で生まれ、5歳から筑豊で母と二人で暮らし、高校進学のために15歳から母と離れて暮らすことになります。
その後、大学進学で上京して、15年たち母の病気がきっかけでいっしょに東京で暮らすことになります。楽しく過ごしていましたが、病気が再発することに。
本屋大賞を受賞した作品だけあって、感動することはもちろん、個性的でマルチに活躍するリリー・フランキーさんの赤裸々な内面を覗き見ているような部分もありますが、おそらく誰もが自分の家族への愛を噛み締めたくなるような傑作です。
監督 | 松岡錠司 | |
脚本 | 松尾スズキ | |
現作 | リリー・フランキー | |
公開年 | 2007年 | |
出演者 | オダギリジョー / 樹木希林 / 内田也哉子 / 小林薫 / 松たか子 他 |
かもめ食堂〔2006〕
日本を代表する個性派女優3人によるフィンランドを舞台にしたアットホームな傑作
フィンランドの首都・ヘルシンキで食堂を営む日本人女性サチエ。
オープンして1ヶ月経つも客は誰も訪れず、近所の人々にも不思議がられ敬遠されていました。
ある日、日本かぶれしたフィンランドの若者が初めての客として訪れ、ガッチャマンの歌詞をサチエに尋ねるものの全部はわかりませんでした。
歌詞がわからず悶々としていたサチエは、本屋で出会った日本人女性ミドリに歌詞がわかるか声をかけます。その後親しくなっていき、一緒に食堂を手伝ってもらうようになります。
出てくる日本人は3人だけで、他はすべてフィンランド人です。
独特のほのぼのした世界観の中にも変化球とも言えるような些細な出来事が積み重ねられていき、だんだんお客さんとのふれあいが広がっていく様子は、じんわりとあたたかい気持ちになります。
シュールだけどユーモアがあり、おいしそうな料理と相まってアットホームな魅力が詰まっています。ついついコーヒーを淹れる時に“コピ・ルアック”と唱えたくなります。
監督 | 荻上直子 | |
脚本 | 荻上直子 | |
原作 | 群ようこ | |
公開年 | 2006年 | |
出演者 | 小林聡美 / 片桐はいり / もたいまさこ 他 |
明日の記憶〔2006〕
アルツハイマーの発症から進行までを切なくショッキングに描いた感動作
50歳を目前した広告代理店の営業部長は仕事も順調で、娘の結婚も間近に控えていました。
順風満帆だったが、突然、めまいや物忘れがひどくなり、受診してみると若年性アルツハイマーの診断でした。
約束を忘れ、相手の顔を忘れ、道に迷うというままらない仕事。自暴自棄になりながらも、妻の支えで乗り越えていこうとしますが、病状は進行していきます。
思い出されるかつての記憶と消えゆく記憶が交差し、記憶が失われていく様子が切なくショッキングに描かれ胸がしめつけられるようです。
渡辺さん自身の病気と重ね、映画化を熱望し、自らプロデュースに名を連ねて作品化された悲しみだけではなく強いメッセージ性の込められた感動作。
監督 | 堤幸彦 | |
脚本 | 砂本量 | |
原作 | 萩原浩 | |
公開年 | 2006年 | |
出演者 | 渡辺謙 / 樋口可南子 / 吹石一恵 / 坂口憲二 / 及川光博 他 |
フラガール〔2006〕
昭和40年代初頭に福島県いわき市の町興しとして作られた“常磐ハワイアンセンター”の誕生秘話を映画化した感動作です。
炭鉱の閉鎖が迫り、何か町興しの目玉になるようにと北国をハワイに変えようというプロジェクトが持ち上がります。
その目玉として考えたのがフラダンスショーで、東京からダンサーの先生を呼び、素人の少女たちに教えますが、風当たりも強く試練を強いられます。
貧困や友情、圧倒的なダンスパフォーマンスと泣ける要素があふれていて、映画としての完成度も高く、見応えがあります。
ジェイク・シマブクロさんの楽曲も花を添えていて最高です。
監督 | 李相日 | |
脚本 | 李相日 / 羽原大介 | |
公開年 | 2006年 | |
出演者 | 松雪泰子 / 豊川悦司 / 蒼井優 / 山崎静代 他 |
タイヨウのうた〔2006〕
紫外線のアレルギーで太陽を浴びると死んでしまうという少女が主人公です。
彼女は夜だけ出歩き、日が登るまで路上でギターを弾きながら歌います。
家の窓から見えるバス停で見かける高校生に恋をし、お互いが好意を寄せ合うようになって彼女の運命を変えていきます。
彼は彼女の病気を知り、支えになるべくCDを作ろうと提案し、アルバイトを始めます。
いつだって病気ものの映画で涙を誘うのは親の涙。死ぬまで生きると決めた彼女の感動の物語です。
監督 | 小泉徳宏 | |
脚本 | 坂東賢治 | |
原作 | 天川彩 | |
公開年 | 2006年 | |
出演者 | YUI / 塚本高史 / 岸谷五朗 / 麻木久仁子 / 通山愛里 他 |
ALWAYS 三丁目の夕日〔2005〕
舞台はまだ東京タワーが作りかけの昭和33年の東京の下町です。
集団就職列車に乗って青森からやってきた六子。大手の自動車会社に就職できると思っていたら、小さな自動車修理工場でがっかり。
その向かいに住む駄菓子屋を営みながらしがない小説家をやっている茶川は居酒屋の美人店主・ヒロミから酔ったいきおいで、見ず知らずの子供を預かることになってしまい、その子と二人で共同生活することに。
古き良き昭和の懐かしさと人情味あふれる様子は幸福感もありつつ、高度経済成長の悲哀のようなものもあります。
後半のたたみかけるような泣かせる展開は反則級。泣ける映画の代名詞とも言えるヒューマンドラマの傑作。
監督 | 山崎貴 | |
脚本 | 山崎貴 / 古沢良太 | |
原作 | 西岸良平『三丁目の夕日』 | |
公開年 | 2005年 | |
出演者 | 吉岡秀隆 / 堤真一 / 小雪 / 堀北真希 / 薬師丸ひろ子 他 |
まとめ
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