1995年
『(What's the Story) Morning Glory』オアシス - Oasis〔1995〕
P「まさにデビュー当時は「ビートルズの再来」と謳われ、衝撃の1stからたった1年でリリースされた驚きの完成度を誇る2ndアルバム」
W「普通は名曲が1、2曲あればいいところを、もうベストアルバムかというぐらい満載。ミディアムテンポの曲とバラード調の曲がバランスよく仕上がっています」
『Stanley Road』ポール・ウェラー - Paul Weller〔1995〕
P「元ザ・ジャム、スタイル・カウンシルのヴォーカルによるソロ3rdアルバム」
W「スティーブ・ウィンウッドやノエル・ギャラガーもゲスト参加。さらにビートルズの『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』のアートワークを手がけたピーター・ブレイクがジャケット・デザインを手がけるなど、まさに豪華な一枚」
『Fight for Your Mind』ベン・ハーパー - Ben Harper〔1995〕
P「ベン・ハーパーといえば、近年では無名時代のジャック・ジョンソンを見出したという点でも語られることも多いですが、若い頃の2ndアルバムです」
W「スライドギターの名手で、無駄な音を削ぎ落とし、フォーク、ブルース、ファンク、レゲエを取り混ぜたソリッドなアコースティック・サウンドに、力の抜けた語りかけるような歌声が沁みます」
『Mellon Collie and the Infinite Sadness』スマッシング・パンプキンズ - The Smashing Pumpkins〔1995〕
P「グランジ・ブームの最中にデビューしたアメリカのロックバンドによる3rdアルバム」
W「2枚組の大作で、タイトルが示すとおり、叙情感あふれるメランコリックな曲調と激しい曲はどこまでも激しくという、そのバランスが絶妙。ビートルズの『ホワイト・アルバム』にインスパイアされたところもあるとのことで、雑多なところもありますが、バラエティに富んだ作品」
『The Charlatans』ザ・シャーラタンズ - The Charlatans〔1995〕
P「ブリット・ポップ・ムーブメントから飛び出し、存在こそ多少地味な印象を受けますが、いぶし銀のようなバンドによる4thアルバム」
W「本作はエンジニアとともに自らプロデュースを手がけたということで、その出来にメンバーも納得のいく仕上がり。ハモンドオルガンを効果的に多用したグルーヴィなサウンドで、彼らの持ち味が発揮された今聴いても色褪せない素晴らしい作品」
『Tomorrow the Green Grass』ザ・ジェイホークス - The Jayhawks〔1995〕
P「カントリーやフォークのエッセンスを取り入れたオルタナ・カントリー・ロックバンドの傑作アルバム」
W「先人の流れを汲みカントリーやフォークのエッセンスを取り入れたアメリカン・ロックサウンドで、大名曲“Blue”をはじめ、全曲みずみずしいコーラスワークが冴え渡り、いま聴いても懐かしさと同時に新鮮な気持ちを与えてくれる、まさに名盤です」
『Post』ビョーク - Björk〔1995〕
P「アイルランド出身で、11歳でソロアルバムをリリースした90年代の歌姫の3rdアルバム」
W「後にどんどん芸術性が高くなっていき少しついていけなくなる部分もあったりしますが、このアルバムはその過渡期ともとれる作品です。ネリーフーパーやトリッキーも参加してトリップホップやハウスを取り入れたサウンドはバランスがちょうどよく、今聴いてもかっこいいです」
『A Certain Smile, A Certain Sadness』ロケットシップ - Rocketship〔1995〕
P「アメリカのインディー・ポップバンドの傑作アルバム」
W「疾走感あふれるギターとキーボードサウンド、男女のツインボーカルによるハーモニーがすばらしく、時にマイブラやステレオラブを思わせるスペイシーで浮遊感漂うシューゲイザー的な轟音サウンドもまじえ、全曲捨て曲がありません。1曲目の“I Love You Like The Way That I Used To Do”から持っていかれます」
『Balance』ヴァン・ヘイレン - Van Halen〔1995〕
P「1978年から活動し、「ライトハンド奏法」を広く知らしめたエドワード・ヴァン・ヘイレン率いるアメリカのハードロック・バンドの傑作」
W「第1弾シングルとなったキャッチーな“Can't Stop Lovin' You”や胸を打つ名バラード“Not Enough”も収録。サミー・ヘイガーの歌声は本当にグッときます。ギターに関してはメロディ重視で弾きまくるという印象はあまりないものの随所に見せ場は感じられます」
『History: Past, Present and Future, Book I』マイケル・ジャクソン - Michael Jackson〔1995〕
P「キング・オブ・ポップによる2枚組の1枚目が最強のベストで、2枚目がオリジナル新録という過去と未来を併せ持つ、まさにヒストリーな一枚」
W「名曲“Earth Song”や“You Are Not Alone”をはじめ、“They Don't Care About Us”のマイケルソング独特のギターサウンドを堪能。極め付けはビートルズのカヴァー“Come Together”のおまけ付き」
1994年
『Mellow Gold』ベック - Beck〔1994〕
P「2ndの名盤『Odelay』は私的には少々消費されすぎた感がありますので、衝撃のデビューアルバムをチョイス」
W「ヒップホップやブルースなどをいわゆるロックサウンドにごちゃまぜにしたその音楽性は当時ど肝を抜かれました。今聴いても、混沌としたワクワクする感じが色あせていません」
『Voodoo Lounge』 ザ・ローリング・ストーンズ - The Rolling Stones〔1994〕
P「ストーンズといえば、各年代において数え切れない名盤がありますし、その時代時代で新しいジャンルを取り入れて、常に新鮮な驚きを与えてくれます」
W「冒頭の“Love Is Strong”のようにブルージーでストレートなロック・サウンドを中心に、“New Faces”や“Out of Tears”のような瑞々しいとも言える曲もあれば、逆にキースの歌う枯れたフォーキーな“The Worst”などもあり、バラエティにとんだ味わい深さがあります」
『Mezzanine』マッシヴ・アタック - Massive Attack〔1994〕
P「オープニング曲“Angel”のベースラインからドラムが入ってくる瞬間のあの感じ、いつ聴いても鳥肌が立つ傑作3rdアルバム」
W「トリップ・ホップと呼ばれるこのジャンルに触れたとき、ものすごく新しいものに触れた感じがありました。ヒップ・ホップ、レゲエを中心に、ジャズ、ソウル、ロックなど様々なサウンドをミックスした独自の音楽性で、音楽シーンを席巻した作品」
『The Division Bell』ピンク・フロイド - Pink Floyd〔1994〕
P「プログレッシブ・ロックバンドで、ギターでヴォーカルのデヴィッド・ギルモアがリーダーシップを執ったアルバムとしては前作から続いて2作目となる作品」
W「ゆったりとした奥行きを感じさせるサウンドで、情景が浮かぶような美しい楽曲が並び、ギルモアの泣きのギター・サウンドを十二分に堪能できます」
『Second Coming』ザ・ストーン・ローゼズ - The Stone Roses〔1994〕
P「マッドチェスターというイギリス・マンチェスターから生まれたムーヴメントの中心となった名盤1stアルバム『The Stone Roses』を89年にリリースしてデビューした後、長い沈黙の5年の時を経て、ようやくリリースされた2ndアルバム」
W「一聴した時の印象はこれが1stと同じバンドか、というぐらいブルージーにギターを弾きまくっていてギターの音色が一変。オープニングからギターとジャングルのような効果音、ポリリズムな感じにワクワクします」
『Dookie』グリーン・デイ - Green Day〔1994〕
P「パンクのパの字も知らないまわりの人も口ずさむほど浸透した“Basket Case”を含むメジャーデビューアルバム」
W「まだまだ、青さが感じられ、荒削りではありますが、『American Idiot』や『Revolution Radio』への助走と考えれば十分に名盤の価値があると思います」
『Weezer(The Blue Album)』ウィーザー - Weezer〔1994〕
P「スラングで泣き虫という意味の‘weezer’がバンド名。泣き虫がつくる泣き虫たちのためのパワーポップを目指したと言えます」
W「バラードでもないのに、なぜか泣けてくる、そんな感情を揺さぶる名曲がたくさんあります。このアルバムはもちろん、2ndも文句なしの名盤」
『Different Class』パルプ - Pulp〔1994〕
Pitchforkが選んだ「ベスト・ブリットポップ・アルバムTOP50」で1位を獲得した名盤!
P「オアシスやブラーより少し上のバンドで、ブリットポップシーンの陰の主役のバンドともいえるバンドの傑作アルバム」
W「ジャーヴィス・コッカーのシアトリカルなヴォーカルスタイルと“Common People”や“Disco 2000”などエレクトロ・ポップな曲もあり、他のブリットポップ勢とは一味違う大人の魅力を堪能できます」
『Dog Man Star』 スウェード - Suede〔1994〕
P「耽美的な音楽性が魅力のイギリスのロック・バンドの2ndアルバム」
W「華のあるヴォーカルのブレッド・アンダーソンとギターのバーナード・バトラーのメロディアスなギターが初期スウェードの魅力。デヴィッド・ボウイやザ・スミスらに影響を受けたその耽美的なサウンドは、ブリットポップ・ブームの先駆けのような存在」
『The People Tree』マザーアース - Mother Earth〔1994〕
P「ポール・ウェラーの肝いりでAcid Jazzレーベルからデビューしたイギリスのバンドの2ndアルバム」
W「そのポール・ウェラーもゲスト参加していて、1stこそアシッド・ジャズっぽかったものの、本作はロック色が強く、ファンキーなオルガンとファズ・ギターを軸にしたサウンドはグルーヴィー。スティーヴ・マリオットの影響を感じさせるヴォーカルのマット・ディトンの歌声もソウルフルで最高です」
『Teenage Symphonies To God』ヴェルヴェット・クラッシュ - Velvet Crush〔1994〕
ティーンエイジ・ファンクラブやマシュー・スイートなどに通じる正統派ギター・ポップ!
P「オアシスやティーンエイジ・ファンクラブと同じクリエイション・レコーズからデビューしたUSインディー・ギター・ポップバンドの2ndアルバム」
W「ハードなロック曲もあれば、4曲目の元バーズのジーン・クラークのカヴァー曲でカントリー調の曲などは完全に彼らのオリジナルのような仕上がり感。まさにギター・ポップの王道のような色褪せない名盤です」
『Dummy』ポーティス・ヘッド - Portishead〔1994〕
P「マッシブ・アタック、トリッキーとともにトリップホップの旗手として知られる、イギリス・ブリストルで結成されたバンドのデビュー・アルバム」
W「ダブ、ヒップホップ、ジャズ、ブレイクビーツとサンプリングを多用したサウンドに、ベス・ギボンズの震えるような美しい歌声と表現力が圧倒的。メランコリックな世界観に吸い込まれます」
『The Return of the Space Cowboy』ジャミロクワイ - Jamiroquai〔1994〕
P「アシッド・ジャズブームの立役者、ジャミロクワイとはソロのように見えるかもしれませんが、ジェイ・ケイを中心としたれっきとしたバンド形態」
W「ジャズ、ファンク、ロック、ポップ、ソウル、エレクトロニカが渾然一体となった独自のグルーブを築いている2ndアルバム。ファンクネス全開の“The Kids”やメロウなキラーチューン“Space Cowboy”が特に好きな曲です」
『Change Giver』シェッド・セヴン- Shed Seven〔1994〕
P「イギリス・ヨーク出身で、ブリットポップのブームの中でもイギリス国内ではだいぶ人気があったバンドの1stアルバム」
W「デビューがオアシスとほぼ同時ということでスケールと音楽性はやや違えど、ビートルズとストーンズに例えられ比較されたほど。荒削りでストレートなロック・サウンドとダンサブルで時にファンキーな感じが最高にかっこよく、歌声も歌い方も、くせになります」
『Grace』ジェフ・バックリィ - Jeff Buckley〔1994〕
P「オリジナルアルバムとしてはたった1枚を残して90年代にこの世を去ったカリスマ・シンガーソングライターの傑作」
W「ティム・バックリィを父に持ち天使の歌声とも称されるその儚さを感じさせる美しい歌声と、エモーショナルなギターテクニックは絶品。気持ちを揺さぶられる“Grace”や“So Real”、“Lover, You Should've Come Over”、レナード・コーエンのカヴァー曲“Hallelujah”は本家を超えてしまうほど、彼の代表曲となりました」