1993年
『Get a Grip』エアロスミス - Aerosmith〔1993〕
P「まさに捨て曲一切なし、アルバム1枚に1曲あれば最高というような名バラードが、3曲も入っている名盤中の名盤」
W「飛ぶ鳥を落とす勢いとはこのことをいうのでは。レーベルをゲフィン・レコードに移籍してからの彼らの絶頂ともいえる4作目」
『The 30th Annivarsary Concert Celebration』ボブ・ディラン - Bob Dylan〔1993〕
P「ものすごいメンツがあつまったボブディランのレコード・デビュー30周年を記念して、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンにて行われたトリビュートコンサートの2枚組」
W「ボブ・ディランの曲は、本人が歌うよりも他の人が歌った方がその曲の良さを実感できるという不思議な現象がありますが、このコンサートはまさにそれを物語っていると思います」
『River Of Dreams』ビリー・ジョエル - Billy Joel〔1993〕
P「現時点ではラスト・アルバムとなっているニューヨーク出身のピアノマンによる90年代に残した名盤」
W「ダニー・コーチマーをプロデュースに迎えた今作で際立つのが、バラードの出来。“Lullabye (Goodnight, My Angel)”、“Two Thousand Years”は本当に素晴らしい。また、ハードなロック調の“No Man's Land”や“Shades Of Grey”などバラエティにとんだ内容は、今もまったく色褪せません」
『August & Everything After』カウンティング・クロウズ - Counting Crows〔1993〕
P「日本での知名度はイマイチですが、本国アメリカでは抜群の人気を誇っているバンドの1stアルバム」
W「元々はアコースティック・デュオだったということもあるのか、このアルバムはバンドサウンドはどちらかというと控えめ。楽曲がシンプルなため、よりギターの音色も際立ち、アダム・デュリッツの熱唱系のヴォーカルが、本当にかっこよく胸を打ちます。1曲目の“Round Here”をはじめ、大ヒットした“Mr. Jones”など名曲が多数収録」
『Frosting on the Beater』ザ・ポウジーズ - The Posies〔1993〕
P「ジョン・オウアとケン・ストリングフェロウを中心に結成されたアメリカ・ワシントン出身のロック・バンドの3rdアルバム」
W「キャッチーで美しいメロディに、ノイジーで憂いのあるギターサウンドというまさに、ギターポップのお手本のようなアルバム。その辺のギターポップバンドと違うのは、ジャム的にアドリブで弾いている曲もあり、ギター好きにも聴きどころが満載なところ」
『Republic』ニュー・オーダー - New Order〔1993〕
P「ポストパンクの代表的なバンドで知られるジョイ・ディヴィジョンを前身とするマンチェスターにて結成されたテクノ/エレクトロ・ロック・バンドの6thアルバム」
W「制作の段階からバーナード・サムナーと他の3人が対立し、解散直前までいったといういわくつきのアルバムで、バーナード・サムナーがほとんどひとりで苦しみながら作り、なんとかリリースにはこぎつけた作品。サウンド的にはテクノとロックが融合したデジタルビートが心地よい“Spooky”やキャッチーな1曲目“Regret”が最高」
1992年
『Honey's Dead』ジーザス・アンド・メリーチェイン - The Jesus And Mary Chain〔1992〕
P「イギリス・スコットランドのシューゲイザーバンドの名盤『Psychocandy』と人気を二分する4枚目のアルバム」
W「お家芸ともいえるシューゲイザー・サウンドにデジタルビートを取り入れたりと変化も見せ、ノイズに埋もれたメロディセンスに、一度ハマるとクセになる中毒性があります」
『Keep The Faith』ボン・ジョヴィ - Bon Jovi〔1992〕
P「アメリカを代表するモンスターバンド。80年代の疲労とストレスからメンバー間の軋轢が生じ、一時は解散というところまでいきましたが、それを乗り越えた復活の5thアルバム」
W「以前のきらびやかな楽曲とは趣が異なり、ソリッドで渋いぐらいの仕上がりで、さらには代名詞とも言える名バラードも数曲収録され、バランスのいい構成となっています」
『Dirty』ソニック・ユース - Sonic Youth〔1992〕
P「オルタナ・USインディー・シーンの元祖カリスマによる傑作アルバム」
W「ニューヨーク出身のアートに造詣の深いメンバーによるサウンドは、時に難解で聴く人を選ぶかもしれませんが、この格好良さにハマると抜け出せません。3人がヴォーカルというスタイルで、パンキッシュでとがったギターサウンドに、ノイズにつつまれたサウンドは独特で、まさにクールの一言」
『Check Your Head』ビースティ・ボーイズ - Beastie Boys〔1992〕
P「ヒップホップの部分にばかり気をとられがちですが、実は本当に懐が深いバンドで、幅広い音楽への造詣の深さに感心してしまいます」
W「彼らが生楽器による演奏したアルバムで、パンクであり、ファンクであり、どこかプログレッシブ・ロックを思わせたり、さらにはチープトリックやボブ・ディランをサンプリングしたりと、聴いていていつも新たな発見を与えてくれる、ロック好きにこそあらためて聴いてほしいアルバム」
『Automatic For The People』R.E.M.〔1992〕
P「メッセージ性の高い楽曲とアート性からU.S.カレッジチャートで火がついたアメリカのオルタナティブ・ロックバンドの名盤」
W「日本では人気が今ひとつな感じはありますが、ミュージシャンズ・オブ・ミュージシャンともいえる存在で、ニルヴァーナのカート・コバーンが、死ぬ間際に聴いていたのがこのアルバムだと言われています。アコースティック・サウンドを中心にしつつ、歌詞とともにどこか陰鬱なサウンドですが、それらがただ暗い感じかというとそんなことはなく、どこか希望を感じさせるマイケル・スタイプの伸びやかなヴォーカルは神々しさすら感じさせ、“Everybody Hurts”、“Nightswimming”は必聴の名曲です」
『Bringing Down The Horse』ザ・ウォールフラワーズ - The Wall Flowers〔1992〕
P「本作は親の七光りとは言わせない傑作で、グラミー賞の2部門を獲得し、名実ともに評価された2ndアルバム」
W「ボブ・ディラン的というよりは、トム・ペティやブルース・スプリングスティーンに近い匂いを感じます。奇をてらうことのない、ストレートなアメリカン・ロックで、「One Headlight」や「Josephine」など聴きどころ満載です」