こんな方に
- スポーツが好きな方
- スポーツもノンフィクションも大好きという方
- スポーツを題材にしたノンフィクションを探している方
こんな方におすすめのスポーツを題材にしたノンフィクションをご紹介します。
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野球
『オリックスはなぜ優勝できたのか 苦闘と変革の25年』喜瀬 雅則〔2021〕
ファン以外でも見応えがあって記憶に残る名勝負となった2021年の日本シリーズ。そのパリーグの覇者が25年ぶりにリーグ優勝したオリックスです。
震災、球団合併など幾多の浮き沈みを経験したチームの歴史を仰木監督時代から歴史を辿り、歓喜の優勝までの要因を紐解いていきます。
歴代の監督やスタッフなどに丁寧に取材し、イチロー時代に日本一になって以降、常にダークホースと言われながら勝てなかった理由とスカウト革命やキャンプ地移転、そしてなんといっても中嶋監督の手腕によって見事に変革を成し遂げた過程がよくわかる一冊です。
『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』鈴木 忠平〔2021〕
新庄剛志さん顔負けの球界の常識を破り続けた異色の監督といえば、落合博満さんも負けていないと思います。
マスコミに対しても手の内を明かさず、選手やコーチに対しても時に非情ともいえるような決断を下し、勝つことだけに徹する姿は、時につまらない野球だと批判もされたりもし、世間に嫌われていたイメージがあります。
本作は、落合さんが監督になってからずっとチームの番記者として、長年近くで取材してきた著者から見た落合さんの姿を、選手やコーチの視点を交えながら、その裏に隠された想いや真相に迫っていきます。
まるで、落合さんの投げかける謎を解くミステリー小説を読んでいるかのような傑作です。
『詰むや、詰まざるや 森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間』長谷川 晶一〔2020〕
球史に残る名勝負、それが1992、93年の常勝・西武対ID野球・ヤクルトの2年連続の日本シリーズ対決です。西武・森、ヤクルト・野村の元キャッチャー出身の知将によるたぬきときつねのばかし合いと言われ、2年連続で7戦までもつれる壮絶な戦いを全試合振り返ります。
両軍関係者合わせて50人以上による取材によって当時の心境や真相を交えた構成なので、まるで一試合一試合を映像で観るかのように記憶が蘇ります。
もちろん野村さんの生前の取材もしっかり刻まれているし、追悼の章もあり、読んでいると込み上げてくるものがあります。
著者は学生時代からのヤクルトファンで、12球団のファンクラブにすべて入会していて「12球団ファンクラブ評論家」としても活動するノンフィクションライターです。
自転車ロードレース
『ただマイヨ・ジョーヌのためでなく』ランス・アームストロング〔2000〕
自転車ロードレースを知らなくても世間に名前が知られている人はこの人ぐらいではないでしょうか。
トップ選手でありながら、膀胱癌をわずらい肺と脳に転移。まさに末期の状態から復活を果たし、その後ツール・ド・フランスで7年連続で総合優勝した男の自伝です。
でも実はこの方2011年にドーピングが発覚し、輝かしい栄光はすべて剥奪されてしまいます。この作品は、そんな未来を知るよしもない2000年の作品で、もちろん本作品中ではその疑惑を否定しているところがなんとも切なく、どこまでが真実なのか疑わしくなってしまいます。
それでもそんなレースの偉業よりも、癌の闘病期として読む価値があり、セカンドオピニオンの大切さや病気について熱心に学び、あきらめない気持ちを持つことの大切さを痛感させられます。
プロレス・格闘技
『2000年の桜庭和志』柳澤 健〔2020〕
UWF、プライド、そしてグレイシー柔術まで桜庭を通して流れが掴める
柳澤健さんといえば、『○○年の誰々』シリーズで、プロレスや格闘技のノンフィクションを数多く書いてきていますが、本書は桜庭和志さんにスポットを当てた作品です。
ただ桜庭さんの歴史を描くだけでなく、プロレスからプライドまでの流れ、そしてグレイシー柔術とは何かまで、しっかり描かれています。
もちろん桜庭さんのハイライトといえば、『PRIDE GP 2000』の2回戦のホイス・グレイシー戦で、その心理状況や裏側まで、読み応え十分です。
『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』増田 俊也〔2011〕
歴史ある柔道史の中でも一際際立った強さを誇り、引退まで無敗、さらにはブラジルに遠征してホイス・グレイシーの父、エリオと戦い、彼の腕を「キムラロック」という技で骨折させたという総合格闘技の父ともいえる男、それが木村政彦です。
そんな彼はプロレス創成期にプロレスに転向し、あの力道山と戦っています。
そんな彼の辿ってきた人生と力道山戦の裏切られた敗北の裏側、そして許せなかった力道山に対する殺意の真相に迫る大作です。
サッカー
『オシムの言葉 フィールドの向こうに人生が見える』木村 元彦〔2005〕
イビチャ・オシムとはサッカーの元旧ユーゴスラビア代表の最後の監督をつとめ、日本でもジェフユナイテッド市原・千葉や日本代表の監督をつとめた名将です。
ジーコ監督の後を受けて日本代表監督になったものの脳梗塞で倒れ、監督をわずか1年弱で退任してしまいましたが、あのままオシムサッカーが続いていれば、また違った日本代表の姿が見られたかもしれません。
本作は、その代表監督になる前の作品で、ユーゴ内戦の中での元旧ユーゴスラビア代表の監督時代からジェフ・ユナイテッド市原・千葉を優勝争いできるまでに育てあげた手腕と哲学、そして心に響く言葉が満載です。
『ディナモ―ナチスに消されたフットボーラー』アンディ ドゥーガン〔2004〕
第二次世界大戦下に命をかけたサッカーの試合があった
1941年、ナチス・ドイツがソ連に攻め込むために真っ先に標的にしたのが、交易の要衝でもあるウクライナでした。
占領によって名門サッカークラブ、ディナモ・キエフの選手たちも当然、キエフを離れたり、市内にとどまって戦ったりとサッカーどころではなくなりましたが、パン工場で働く元選手たちチームを結成し、ひょんなことから枢軸国のチームらと試合をすることになります。
快進撃を続け、評判になるとドイツの駐屯部隊のチームが名乗りをあげます。勝っても命があやうくなり、負けてもプライドが許さない選手たちの取った行動とその後に待ち受けていた現実は?
ウクライナの辿った歴史とともに、戦争の理不尽さと悲惨さを思い知らされる作品です。
『28年目のハーフタイム』金子 達仁〔1997〕
1996年アトランタオリンピック。日本がまだワールドカップの出場経験がなかった時代に世界一のチームブラジルを破りマイアミの奇跡と言われた試合がありました。
2勝1敗という好成績を残しながら予選敗退となってしまうという悔しい結果でしたが大健闘だったかと思いきや、実はその裏でチームは崩壊していたというのです。
特定の選手だけを持ち上げるマスコミ、攻撃陣と守備陣の確執、監督の采配に物申す選手など、知られざる裏側に迫っています。監督西野、中田や川口の証言、そしてキャプテン前園などの苦悩など当時の様子が浮かび上がってくる傑作です。
『狂気の左サイドバック』一志治夫〔1994〕
“ドーハの悲劇”にはたくさんの「たられば」がありますが、その中でもアジアナンバー1の左サイドバックとうたわれていた都並敏史さんの怪我がなければもっと違った形になっていたのではないかと思います。
都並さんと言えば、守備だけでなくオーバーラップをはじめとする攻撃にも参加できるサイドバックとして先駆的な選手で、日本代表の中でも替えのきかない選手でした。
その都並さんが1994年開催のワールドカップ・アメリカ大会のアジア地区最終予選の前に疲労骨折をしながらも、その事実を世間に隠して代表選手として帯同し、試合に出ようと模索した苦悩と葛藤を描いています。
骨折をしているのに試合に出ようとするまさに狂気とも言える精神状態がひしひしと伝わってくるドーハの悲劇の裏側に迫った作品です。
オムニバス
『破れざる者たち』沢木 耕太郎〔1976〕
今やノンフィクションといえば、沢木さんといえるほど素晴らしい作品を数多く世に出していますが、この作品は20代の頃の原点ともいえる作品です。
題材は、ボクシング、野球、競馬、マラソンなどの6編で、タイトルにある通り、勝負の世界で敗れ、燃え尽きていった者たちに光をあてています。
カシアス・クレイ(モハメド・アリ)のようになれなかったカシアス内藤や長嶋茂雄さんの影で三塁手のレギュラーをとれなかった男たちや、自殺した円谷幸吉など、影のある人にほど心惹かれるドラマがあると思わせてくれる名作です。
『スローカーブを、もう一球』山際 淳司〔1981〕
『江夏の21球』を収録したノンフィクション作家の地位を確立した傑作
『Sports Graphic Number』の創刊号に掲載された作品が本書に掲載されている『江夏の21球』です。
1979年の広島対近鉄の伝説の日本シリーズ第7戦の9回を臨場感たっぷりに描いた作品で、広島のストッパー、江夏豊の想いや相手打者その時の心理状況を細かく描写しています。
他に、高校野球、スカッシュ、競艇、ボクシング、棒高跳びなど、割とマイナースポーツにも光をあてた全8編の作品です。
まとめ
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