【おすすめ名著】読んでためになった! 定番からちょっと独自で選ぶ15冊+α

2021年4月13日

こんな方に

  • 読むとためになる本が知りたい方
  • いわゆるかための名著意外の本を探している方

こんな方に私が読んでよかったおすすめの本をご紹介します。

 

ペディ
ペディ
名著って人にとって感じ方が違うと思うけど

そうだね。ここでは個人的に読んでためになったとか、読んで刺さったなと実感した本をご紹介します
ウィック
ウィック

(以下ウィックはW、ぺディはP

※本ページはプロモーションが含まれています

 

ルポルタージュ / エッセイ

もの食う人びと / 辺見 庸


『ハイパーハードボイルドグルメリポート』の原点ともいえる本

どんな本?

世の中にはそこに行ってみないことには一生わからない場所がありますが、行きたくても一生行けない場所もたくさんあると思います。

さらに、そこで暮らしている人はどんな食事をしているかなどは知る由もありません。

そんなちょっと特殊で、危険だったりする場所に取材に行くという番組が、テレ東で奇跡的に放映されていた「ハイパーハードボイルドグルメリポート」ですが、その番組の企画にもおそらく多大な影響を与えたであろう本、 それがノンフィクションの傑作、辺見庸さんの『もの食う人びと』です。

読みどころ

本書は90年代前半、日本は飽食時代ながら、世界中の人々は生きるために何を、どんな顔をして食べているのかというのを追った食レポリポートです。

食レポといえば、軽く聞こえるかもしれませんが、アジアの貧困、ドイツや東欧などいわゆる紛争や政治色の強い影響、アフリカの飢餓や内戦、ロシアや韓国などさまざまな事情を抱えた国々の状況を追った30編の内容となっています。

知らずに食べた残飯の再利用ご飯から収容所のご飯、エイズの村のご飯や放射能汚染食品など、まさに体を張った壮絶なリポートの数々。

それにしてもよく許可をとることができたなという場所が目白押しです。

 

旅をする木 / 星野 道夫


人間力の大切さを強く考えさせられる本

どんな本?

本がいつも教訓的なものでなければいけないということは全くないと思います。

ただそれを読んで、感じ入るものがあれば、もうそれだけで読む価値があるのではないでしょうか。

この本は、自分が紹介するまでもないほど名著として名高いですが、探検家でカメラマンの星野道夫さんが書いたエッセイです。

まず、星野さんの文章の美しさと、人間力の大きさのようなものが強く感じることができます。

そして、もちろんアラスカという自然に想いを馳せることもできるでしょう。

読みどころ

この本を読むと、星野さんの行動力に本当に驚かされます。

16歳で抑えきれない衝動からアメリカを2ヶ月も一人旅し、19歳の時は写真集のたった1枚の写真を見て、アラスカの場所も地名もわからないところへ手紙を送り、ホームステイをとりつけたり。 そして極め付けは、26歳でアラスカへ渡り、アラスカ大学を受験したものの、30点足りずに不合格。それでも納得がいかず、学部長へ直談判し入学をとりつける、などなど。ものすごい、バイタリティです。

その中でも、私的に一番心に残る部分が、 ‘バスを一台乗り遅れることで、全く違う体験が待っているということ’という部分。

「十六歳の時」という一編で、多くの選択があったはずなのに、なぜAではなくBの道を歩いているのかと過去振り返った時の一節です。

著者がその時の想いや過去を振り返ったり、静かだけど心を動かされる味わい深い33編のエッセイが収められています。

 

生物と無生物のあいだ / 福岡 伸一


生物に興味がわく一冊

どんな本?

2008年に第1回新書大賞を受賞して大ベストセラーとなった1冊。

福岡さんが研究者としてNYでどのように活動していたかから始まり、過去のDNAやウイルスの発見など歴史的な研究成果を辿っていき、ご自身の研究テーマにまで、各章ごとに一連のストーリーとして、わかりやすく綴られています。

自分は学生時代、理数系や社会の暗記などがとにかく苦手でした。 でも、こういうのを学生時代に読んでおけば、もっと勉強も楽しかったのかもと思わせてくれます。

読みどころ

この本の魅力はまず、なんといっても福岡さんの文体が美しいということです。

教科書で読んだいたら個人的にはまったく何をいっているのかわからないような話の数々ですが、この本で読むとなんだかちょっと理解できた気になり、そして生物学に興味もわきます。

小さな頃から虫や植物を愛で、その興味を持ち続けた著者にとって生物学だっただけで、興味のあるものを伸ばしていくきっかけに、この本はお手本になるのでないでしょうか。

 

世界は「使われなかった人生」であふれている / 沢木 耕太郎


映画で人生を考えさせてくれる本

どんな本?

子供の頃は、人生は一度しかないと頭ではわかっていても、どこか他人事で、ダメなら別の生き方でやり直せるんじゃないかと漠然と思っていました。

でも人生も半ばをむかえると、仕事にしても恋愛にしても、別の生き方があったのでは、と後悔してみても人生って本当に一度きりなんだなという現実を痛感させられます。

この本は、タイトルからそんなことを考えさせるような素晴らしさがありますが、「暮らしの手帖」で連載されていたものを一冊にまとめたもので、映画にまつわるエッセイです。

読みどころ

この本では、三十編の映画をとりあげ、その中で、ありえたかもしれない人生や使われなかった人生を映画の中から考察していくというもので、いわゆる映画評とは異なる沢木さん独特な視点で書かれていて観た映画も観ていない映画も本当に観たくなります。

映画は、本と同様、一度しかない人生の中で、ありえるかもしれない別の人生を疑似体験できるものですし、いい映画をたくさん観るとそれだけで感受性も豊かになれると思います。

刊行自体が少し古いので、映画も当然その当時のものが主ですが、この他にも、続編、『「愛」という言葉を口にできなかった二人のために』や朝日新聞で連載していたものをまとめた『銀の森へ』『銀の街から』というものもあります。 こちらも同様に素晴らしいのでぜひ。

 

実用書 / ビジネス書

13歳からのアート思考 / 末永 幸歩


40過ぎの自分にも刺さりました!

どんな本?

ちまたによくある『○歳からの〜』というタイトルの本。

小学生時代、「図工」はたいていの人にとって好きな科目だったのに対し、中学の「美術」になった途端、うまく描けないことに対する恥ずかしさだったり、受験に不要ともいえる美術史や作品名の丸暗記だったりと13歳前後で美術嫌いになるという傾向が見られるという。

そんな13歳で美術ばなれした大人こそ「13歳」に戻って、思考OSをアップデートすることを説いています。

アートとはこう見なければいけない、とか、この見方が正解だ、とか絵を見る前に解説を読んでわかった気になってしまうことがよくあると思います。そのような教養自体がもちろん悪いわけではありませんが、アートに答えを求めたり、凝り固まったものの見方をすることは、正しいのだろうか。

そこに「自分なりの視点」は本当にあるのだろうか?という問いを発しています。

読みどころ

「自分なりの視点」の見つけ方を20世紀の革命的なアートを通して、段階的に自分の凝り固まった固定観念を崩してくれます。

どんな作品が題材とされているかは読んでからのお楽しみですが、各授業にエクササイズと呼ばれる課題があり、その作品自体がその課題に対する疑問や答えのような役割を果たしています。課題だけでなく、アートを前にして何を思い、どう考えたかというアウトプットの重要性も説いています。

アート思考とは、決してアートの世界にかぎったことではありません。 ビジネスや自分の趣味の世界においても「花」ばかりでなく、新しい「興味のタネ」や、「探求の根」を見つけ出し、「新しいものの見方」を手に入れるための手がかりとなる一冊となるでしょう。

 

ライフ・シフト(LIFE SHIFT)/リンダ・グラットン


人生戦略をたてるきっかけとなる本!

どんな本?

2016年に発売されベストセラーとなった、固定観念をくつがえしてくれた1冊。

寿命100年時代に突入し、働き方も生き方も何もかも見直されていく時代、それは現代の子供たちが大きくなった頃により顕著になっていきます。

時代とともに淘汰されていく職業もあれば、AIに取って代わられていく職業もあり、一つの職業に固執しない、柔軟性のある生き方を見つけるために何をどう学んでいくべきなのか。

読みどころ

職業だけでなく、時間やお金、私生活など長い人生をよりよく過ごすために必要な考え方や3世代のケーススタディもあり、とても参考になります。

若いうちから先を見据えて人生を選択していくために、この本は大きな指針となってくれるはずです。

100歳になった自分に叱られないためにも、いま将来を見据えたいと考えさせてくれます。

 

会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ――500年の物語 / 田中 靖浩


アートやロックといっしょに楽しめる「会計の世界史」!

どんな本?

会計に興味がなくても、直接的に必要性を感じていなくても、仕事をしている人なら誰もが関係があって、知ってて損はないテーマ。

会計というと小難しそうなですが、数字や小難しい会計用語もあまり出てきませんし、世界史に詳しくなくても出てくる人物は有名な出来事や人ばかり。

この本は、会計エンタメと謳っていますが、まさにその通りで、会計が生まれた時代から現在の会計のトレンドまで、レオナルド・ダ・ヴィンチやプレスリー、ビートルズなどその時代に関わる人物や出来事に絡めて、会計の歴史におこった9つの革命を章ごとに分けて面白く紹介しています。

読みどころ

会計がいつ、どこで誕生し、どのように広がっていったか。

物語はレオナルド・ダ・ヴィンチが生きる15世紀のイタリアから始まります。

ダ・ヴィンチと会計とは一見無関係にも思えますが、密接な関係があります。 イタリアで生まれた会計は、オランダ、イギリス、アメリカへとさまざまな革命を経て、500年変化し続けています。 そこには、冒険、対立、陰謀、発明や起業と買収などさまざまな物語が展開します。

会計における9つの革命とは「銀行革命」 「簿記革命」 「会社革命」 「利益革命」 「投資家革命」 「国際革命」 「標準革命」 「管理革命」 「価値革命」です。

蒸気機関車や自動車の誕生によって、いかに会計が変わっていったかや、最初に金を発掘した人やコカコーラを作った人は、いったいどれぐらい儲かったのか、ケネディ大統領誕生の秘密や、ビートルズの楽曲がなぜマイケルジャクソンに権利を買われてしまったのかなどなど、面白い話題が盛りだくさん。

目から鱗が落ちること間違いなしです。

 

写真がもっと好きになる。/ 菅原 一剛


写真のテクニックよりもマインドの部分で参考になります!

どんな本?

携帯が普及した今となっては、ほとんどの方の定番趣味に「読書」「音楽鑑賞」にプラス「写真撮影」というのが加わっているのではないでしょうか。

私的にもその口で、どのようにうまく撮れるのか、またはカメラの基礎知識についてなど、参考書的なものは何冊か読んでみました。

この本はそんな中で、テクニカルな部分よりももう少し写真を撮るマインドのようなところをくすぐる、読めば写真が撮りたくなる、そんな一冊です。

著者は写真家の菅原一剛さんで、もともと、この本の元となっているのが、webサイト『ほぼ日刊イトイ新聞』の連載が一冊になったものですので、本の構成もブログのように、一話4ページほどで詩的なエッセイのように、写真にまつわるあれこれが、つづられています。

難しい技術的な話も、語りかけるような文章ですので、とてももわかりやすく理解できます。

読みどころ

帯の糸井重里さんの惹句、

「なんども見たくなる写真。 人に欲しがられる写真。 飾っておきたくなる写真。 そういう写真を撮るために、 知っておいたほうがいいことがある」

きっと写真が好きになる一冊だと思います。

 

ノンフィクション

21 Lessons: 21世紀の人類のための21の思考 / ユヴァル・ノア・ハラリ


全人類必読とまでは言わないけど、読んだ人はきっと視野が広がる

どんな本?

ユヴァル・ノア・ハラリとはいったい何者なんでしょうか。

突然あらわれ、「サピエンス全史」では人類の過去を、「ホモ・デウス」では未来を描いてみせてくれた彼の知識に驚かざるをえません。

イスラエル生まれの歴史学者にして、哲学者。 オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻して2002年に博士号を取得しています。

そんな人類の過去と未来を描いてきた著者が、次に提示してくれたのが現在です。

もともとは雑誌記事などを再編集したものとのことなので、サピエンス全史と内容がかぶる部分もありますが、5つの章から、タイトルの通り21のことについて、現在進行形の人類と世界のさまざまな難問に、会話のような軽妙さで語り尽くしています。

読みどころ

前半は主に、人類が直面している難題について、特にITやバイオテクノロジーに関しては、さまざまなテーマで問題提起されています。

いかに我々が普段目にするニュースや情報からは見えてこない部分や、真実とは異なる部分がたくさんあるかということに気づかされます。

また、グローバルな視点から本質に迫っていくので、遠い世界の話も他人事では済まされない気にさせられます。

本の内容からいくと上から目線でものを言う人かと思いきや、ぜんぜんそんなことはなく、謙虚で押し付けがましくありません。また、イスラエル出身でありながら、祖国のことやユダヤ教に対してもしっかり平等にもの申している点にも感心しました。

後半にいくにつれてテーマが哲学的になっていくので、思考のフル回転が必要です。最後の「瞑想」のくだりでは、やはりこの人はただものではないと実感させられました。

今我々が、どう生きなければいけないのか考えさせられる一冊だと思います。

 

サピエンス全史 / ユヴァル・ノア・ハラリ


こちらは全人類必読かも!

どんな本?

最初に前知識もなく読むまでは、古代の人類の謎でも書いた本なのかと思っていましたが、読み始めてそんなものではないことはすぐにわかります。

文明はどうやって起こり、人類はどのように生まれたか。

ホモ(人)属のサピエンス(賢い)という生き物、つまり今生きているすべての人間の歩みとこれからについて書かれた本で、世界史や人類史に止まらず、経済や考古学、宗教学や科学などさまざまな興味への入り口となり、知識欲を全開にくすぐられます。

読みどころ

この本の面白さは、人類と文明の道のりが多岐にわたって展開しているところです。

大きくわけて、第1部「認知革命」、第2部「農業革命」、第3部「人類の統一」、第4部「科学革命」と4部に分かれています。

本書の中でも随所で語られていますが、人類のなりたちは本当のところは諸説ありますし、真実はわからないことだらけです。

世界史の教科書に書かれていることが絶対正しいといいきれるわけでもありませんし、この本が正しいとも言い切れるわけでもありませんが、この本に書かれている内容には説得力がありますし、真実味も感じられます。

今後もいろいろな類書は出てくると思いますが、この本が読みやすさも含め、ひとつの考え方の基準になると思います。

 

ピラミッド最新科学で古代遺跡の謎を解く / 河江 肖剰


ピラミッドの謎はどこまで解けたか?

どんな本?

ピラミッドといえば、世の中の謎の中でもっともロマンが感じられるもののひとつではないでしょうか。

「どのように作ったのか」「なぜ作ったのか」「誰が作ったのか」は永遠の謎です。

その謎ゆえ、宇宙人が作ったのでは?なんていう説がまことしやかに語られますが、この本はそういう説をまっこうから否定しています。

そういう説も個人的には嫌いではありませんが ドローンによる3D計測など最新の技術や調査結果をもとに、現在知り得る事実をまとめた内容となっています。

著者は、カイロ・アメリカン大学エジプト学科を卒業し、ピラミッド研究の第一人者レーナー博士のチームで10年以上にわたってギザの発掘調査に従事しています。

読みどころ

この本を読めば、謎に包まれていたピラミッドというものを、ある程度、現実的なものとしてとらえることができます。

「誰が作ったのか」という点については、それはまぎれもなく人々の手によって作られたであろうということが読むとよくわかります。この本の原題でもあった『ピラミッド・タウンを発掘する』のピラミッド・タウンとは、ピラミッド建設に携わっていた人たちが古代に住んでいたとされている町、ピラミッドの近くでその跡が発見されています。発掘されたものなどから見えてくる人々の暮らしやどのような食生活をしていたかなどを知るにつれ、現代に通じる部分を感じ、かなり親近感が湧いてきます。

「どのように作ったのか」に関しては、もちろん断定はされていませんが、ピラミッドに残された痕跡などから、あくまでも当時に即した技術や道具で検証されています。また、近年唱えられる世界中の斬新な仮説に対しても疑問点などが触れられているので、信ぴょう性が高まります。

「なぜ作ったのか」に関しては、それは王の墓であろうことは定説通りですが、並び立つ3つのピラミッドが初めから計画的に作られたかどうかに関しては否定的です。

知的好奇心がくすぶられ、読むとわくわくがとまらない一冊です。

 

 

学び

文明の生態史観 / 梅棹 忠夫


世界史に革命的な新視点を導入した比較文明論の名著

どんな本?

この本は、主に梅棹さんがアフガニスタン、パキスタン、インドなどいわゆる東と西にはさまれた国々を学術探検隊として旅行し、気づきを得たことをまとめた論考です。

現在でも西洋と東洋という風に類別した言い方をしますが、西洋から見た東の国々はすべて東洋、日本から見た西の国はすべて西洋か、ということはまったくなく、実は東洋でも西洋でもない地域に住む、梅棹さんいわく「中洋」という地域に住む数億の人々のことについての新しい視点を、50年以上も前に論じています。

読みどころ

冒頭、梅棹忠夫さんも海外を旅行し日本に帰ってきた時、気候の違いを感じ、自分の国についてのあたらしい認識をあたえてくれるものなのだと、旅行の収穫を語っています。

世界と比較することによって日本のことを知り、世界の国々と日本との関係性も考える、そんな知的好奇心をものすごくくすぐります。

ダイバーシティ(多様性)が叫ばれる現代だからこそ、旅はそんな気づきをたくさん与えてくれると思います。

 

横井軍平ゲーム館 / 横井軍平 牧野武文


発想力を鍛えるためにおすすめの本

どんな本?

この本はいわゆるゲーム本ではなく、ゲームに限らず、発想するヒントがいっぱいつまっています。

横井軍平さんという方は、ゲーム好きの方には有名すぎるほど有名ですが、任天堂で数々のおもちゃやゲーム機を発明、プロデュースされた方です。

代表的なものでは、ある年代にはとても懐かしい「ゲーム&ウォッチ」や「ゲームボーイ」、さらには今では当たり前となっているファミコンの十字ボタンの特許もこの方のものです。

もちろんその他にも、ゲーム機以前の数々のおもちゃや、商業的には厳しかったようですが、3Dゲーム機の先駆けのひとつである「バーチャルボーイ」など、数々の制作秘話が時系列に並べられています。

読みどころ

制作にかける考え方、哲学がいくつかあり、そのの一つに「枯れた技術の水平思考」というものがあります。

その代表的な作品が「ラブテスター」というおもちゃです。このラブテスターというのは、実はただの電流計。男女で手をつなぎ、愛情テストをするというもので、原理は嘘発見機のようなもの。つまり、使い古された技術を、まったく異質な分野に投げ込んでみるという発想なのです。

横井さんはこう語っています。 〝先端技術で勝負するな、アイデアでしろ〟と。

小学校でのプログラムの必修化、これに対して賛成も反対も述べるつもりは全くありませんが、ひとつ言えるのは、どう作るかを覚えるよりも、何を作りたいかという動機の方を伸ばすことの方が圧倒的に重要だと個人的には思います。

自分たちの年代にとっては懐かしいと感じるものが、今の子供たちにはある意味、新鮮にうつるのではないでしょうか。

 

まばたきとはばたき / 鈴木 康広


想像力と発想力を刺激してくれる作品集

どんな本?

小さな頃の子供は見立ての天才だと思います。ただ同じ色だというだけで何々といったり、ちょっと形が似ているだけで、それを別のものとして扱ってみたり。

分別がついてくるとそういう視点がどんどん失われがちになっていくと思います。

想像力は大人になっても持ち続けられたら、きっと楽しいだろうし、ものづくりにだって役にたつでしょう。

そういう発想がますます求められていく時代なのではと個人的に思います。

この本は、アーティストの鈴木康広さんの作品写真やスケッチとそのコンセブト解説の書かれた作品集です。

読みどころ

日常にひそんでいるあれとこれが似ているというような小さな気づきを飛躍させた作品の発想が秀逸です。

さらにそのスケッチが、すでに作品といえるほど。 りんごのけん玉や、まばたきの時計など、さらにファスナーの船は、そのアイデアとともに写真の美しさも必見

大人でも創造力を失いたくない人はぜひ読みたい一冊だど思います。

 

そうだったのか! 日本現代史 / 池上 彰


日本現代史がよくわかる!

どんな本?

日本の歴史はおそらく学校でもしっかり勉強できると思いますが、現代史となると意外にないがしろにされたり、教わったとしてもかけ足だったり、大事なことには触れらなかったりしている場合も多いのではないでしょうか。

そんなことを、わりとバイアスのかかっていない(ゼロではもちろんありませんが)フラットな視点で俯瞰できるのが、この本です。

政治をはじめとして、経済、自衛隊や安保問題、日韓問題など、現在だけを見ていては見誤るようなことを、何が正しいという視点ではなく、できるだけ公平に書かれていて、何がどういう経緯をたどって、おこったのかがわかりやすくまとめられています。

読みどころ

知っていると思っていた事件やできごともそういった意味で、理解していなかったことがあるということに気づかされます。

ある意味、書かれていることが結論となる答えではなく、問題提起だったりします。

公害のような経済活動によってもたらされた問題、加害者側の企業や行政の無責任さなど、いたましいという気持ちでは片付けられない怒りや無念さのようなものもそこにはあります。

また、随所に池上さんが高校時代に感じた感想のようなものも書かれています。 これを読むと、様々なことの今にいたっている経緯が浮き彫りになり、いかに歴史は繰り返され、未来へのヒントとして現在何を考えなければいけないか考えさせれらます。

単行本化が2001年、文庫化が2008年と当然ですが、10年以上たっていますので、内容がその時までですが、日本現代史を知るうえではまずは、十分と言えます。

 

ローマ人の物語 / 塩野 七生


ローマの歴史を十二分に堪能できる!

どんな本?

単行本にして全15巻、文庫本にして全43巻という、そのタイトル通り、ローマ建国から崩壊までの長い長い歴史を順に追っていった超大作歴史書(的小説とも)です。

この本は単純に読みやすく、わかりやすいですし、巻数に怯えることなく読み始めれば、本当に面白く一気に読めると思います。

この長い物語を読みきることができたら、もうそれだけで何か得られるような気がします。

読みどころ

世界史の教科書で何ページさかれているかわかりませんが、そこに記載されているような部分の裏側には、こんなに壮大な歴史のディティールがあるというその事実に気づいてもらえると思います。

そんな背景を知ることによって、歴史って本当に興味深く覚えられるのではないでしょうか。

自分はなんの思い入れも持てず、まったく暗記することができなかったので、余計にそう思ってしまうのかもしれません。

紀元前からのお話なのに、まるで数百年前のことのように感じられたり、こういうことが現代の礎になっているんだなと思えたり、単純に戦記物としても面白いです。

この物語には西洋(アフリカも含め)の成り立ちを知り、現代の問題を読み解くヒントが基礎としてつまっていると思います。

 

哲学

ソクラテスの弁明 クリトン / プラトン


伊坂幸太郎の『逆ソクラテス』と合わせて読みたい。

どんな本?

「無知の知」で有名な哲人、ソクラテス。

では、ソクラテスとは、いつの時代の人で、どんな場面でこの言葉を語ったのでしょうか。 それは、紀元前399年のアテナイ(ギリシャの首都アテナの古名)、不信心にして新しい神を導入し、かつ青年を腐敗させた者として訴えられ、法廷の場で言われた言葉です。

古典的な名著ながら、哲学好きの人以外は、教科書の中で知る程度で、ちゃんと読んだことがある人は実はそれほど多くないのではないでしょうか。 実は私もその1人で、伊坂幸太郎さんの『逆ソクラテス』に触発されて読んでみた次第です。

哲学と聞くと小難しく感じるかもしれませんが、若干50ページ程度の法廷における弁論シーンを描いた「ソクラテスの弁明」と、30ページ弱の刑の執行を待つソクラテスに脱獄を勧めるクリトンとソクラテスの対話「クリトン」が描かれていて、弟子プラトンが法廷で見たままを、記憶を頼りにそのまま描いている一方、「クリトン」は印象深く叙述するために出来事をうまく要約して描いているとのことで、ドラマチックでもあります。

読みどころ

ソクラテスは、法廷で有罪を受け、死刑宣告されてしまいます。

でも、もし許しを請うたり、自分を偽って少しでも自分の考えをまげていれば死刑は免れたかもしれません。でも、有罪をおそれず、自分の信念をまげずにつらぬき通し、その気持ちを弁論します。

老友クリトンに脱獄を勧められるも、それを断る姿や理由にもシビれます。ソクラテスさん、あんたカッコいいよ、と思わず言いそうになるぐらい。

その辺は、巻末の解説を読むとより、知識が深まります。 紀元前の偉人の話とはいえ、本質は今も昔も何も変わらないし、実は私たちと同じ人間なんだということが実感させられます。

読み継がれる古典には、それだけの理由があります。 今の混沌とした世の中だからこそ、正しさとは何かをあらためて考えされられる一冊。

 

 

まとめ

ウィック
ウィック
いかがでしょうか。あなたは何冊読んだことがありますか
ぜひ参考にしてみてください
ペディ
ペディ

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