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こんな方に2010年代の邦画の傑作をご紹介します。
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2010年
告白〔2010〕
原作は本屋大賞を受賞した湊かなえさんの同名小説です。
中学生に娘を殺された女教師が生徒に復讐するというストーリーで、その教師、生徒、犯人の親など複数の視点で描かれています。
今をときめく俳優たちが生徒に名を連ねていて、さらに芦田愛菜さんがまだまだ幼かい様子に時の早さが感じられます。
ストーリーの素晴らしさもさることながら、斬新な映像と主題歌のレディオヘッド「Last Flowers」をはじめとする音楽も全編にわたって効果的に盛り上げる演出に効いていて観ていて惹きつけられます。
監督 | 中島哲也 | |
脚本 | 中島哲也 | |
原作 | 湊かなえ | |
公開年 | 2010年 | |
出演者 | 松たか子 / 岡田将生 / 木村佳乃 / 橋本愛 他 |
今度は愛妻家〔2010〕
観終わった後はパートナーに対して日々の行いを反省してしまいます
中谷まゆみさん作の戯曲を映画化した作品です。
カメラマンである夫の世話を焼き、明るく振舞っていた妻のさくらですが、夫から酷いことばを投げつけられて愛想を尽かして一人で旅立ってしまいます。
そんな彼の前に、ある日「離婚する前に写真を撮って」と、思いがけずさくらが帰ってくるのですが。
豊川悦司さん演じる北見俊介が本当にどうしようもない男で観ていて、ひどい奴だなあと呆れてしまいますが、映画の始まりと終わりで、見方がガラリと変わっちゃう衝撃のストーリーです。
監督 | 行定勲 | |
脚本 | 伊藤ちひろ | |
原作 | 中谷まゆみ | |
公開 | 2010年 | |
出演者 | 豊川悦司 / 薬師丸ひろ子 / 水川あさみ / 濱田岳 / 石橋蓮司 他 |
ゴールデンスランバー〔2010〕
仙台市で行われていた金田首相の凱旋パレードで起こった暗殺事件。
その首相暗殺の濡れ衣を、かつてアイドルを仕事中に群然助けたことにより時の人となっていた青柳雅春は着せられてしまいます。
初動の捜索や次々と犯人である証拠が上がりなど仕組まれていて、それはまさにケネディ暗殺事件のオズワルドに仕立てあげられようとしています。
ビートルズの同名楽曲“ゴールデンスランバー”になぞらえながら、大学時代の仲間とのつながりや信頼の大切さを描いています。
ラストで冒頭の伏線回収も見事。
2008年本屋大賞受賞、第21回山本周五郎賞受賞、『このミステリーがすごい!』2009年版1位と賞を総ナメした伊坂幸太郎の代表作でもある傑作サスペンスです。
監督 | 中村義洋 | |
脚本 | 中村義洋 / 林民夫 / 鈴木謙一 | |
原作 | 伊坂幸太郎 | |
公開年 | 2010年 | |
出演者 | 堺雅人 / 竹内結子 / 吉岡秀隆 / 劇団ひとり / 香川照之 / 濱田岳 他 |
サヨナライツカ〔2010〕
舞台は1975年のバンコクで、航空会社のアジア支社で働く豊は、仲間の彼女で謎の美人、真中沓子と惹かれあいます。
日本で婚約が決まっていた豊は仕事を忘れるほど逢瀬を重ね、溺れていきます。
お互い愛し合っていたものの、結婚するために別れますが、その25年後運命の再会を果たしますが、切ない現実が待っています。
辻仁成さんの原作作品で、監督は不朽の名作『私の頭の中の消しゴム』が代表作の韓国のイ・ジェハンが勤めています。
「死ぬ時に愛したことを思い出すか、愛されたことを思い出すか」という質問は自分ならどちらかと考えてしまうのではないでしょうか。
当初、2002年に中山美穂と大沢たかおの主演で行定勲監督で予定されていたものの監督の降板で白紙となった経緯のある作品でもあります。
監督 | イ・ジェハン | |
脚本 | イ・ジェハン / イ・シンホ / イ・マニ | |
原作 | 辻仁成 | |
公開年 | 2010年 | |
出演者 | 中山美穂 / 西島秀俊 / 石田ゆり子 他 |
君に届け〔2010〕
いじめ、恋愛、友情、学生要素が盛りだくさんの青春ラブストーリー!
原作は椎名軽穂さんの大ヒットコミックで、高校を舞台にした恋愛と友情を描いたラブストーリーです。
ストーリーは、見た目が暗く、長い黒髪のせいでクラスで「貞子」とあだ名をつけられているけど、一日一膳を心がけるまっすぐで正直な女の子と、クラス一の人気者との恋の行方を描いています。
恋愛だけでなく、いじめや友情なども描かれていて、奥深い青春ラブストーリーです。
キャストは主演の2人以外にも、蓮佛美沙子や桐谷美玲、夏菜など豪華な顔ぶれが脇を固めています。
原作は読まずに観ましたが、ぜんぜん楽しめる作品です。
監督 | 熊澤尚人 | |
脚本 | 根津理香 / 熊澤尚人 | |
原作 | 椎名軽穂『君に届け』 | |
公開 | 2010年 | |
出演者 | 多部未華子 / 三浦春馬 / 蓮佛美沙子 / 桐谷美玲 / 夏菜 他 |
半分の月がのぼる空〔2010〕
肝炎で入院していた裕一は、退屈な入院生活に無断で病院を抜け出しては看護婦の亜希子さんに怒られていました。
その罰として、孤独な入院生活を送っていた里香と友達となるように命じられます。里香は心臓の病気で、手術しないと余命がわずかという状態でした。
そんな里香は裕一に無理難題をお願いし、裕一はそれに応え、二人はだんだん惹かれあっていきます。
その一方、二人が入院する医師は里香と同じ病気で最愛の妻を亡くし、メスが握れなくなっていました。果たして、若い二人と医師の行方は。
すべてが明らかとなった時、切なくも感動のラストが待っています。
原作は橋本紡さんのライトノベルで、キャスティングが見事にハマっている傑作です。
監督 | 深川栄洋 | |
脚本 | 西田征史 | |
原作 | 橋本紡 | |
公開年 | 2010年 | |
出演者 | 池松壮亮 / 忽那汐里 / 大泉洋 / 濱田マリ 他 |
アウトレイジ〔2010〕
関東一円の極道界を支配する巨大暴力団・山王会。
その傘下の池元組が麻薬を扱う村瀬組と兄弟杯を交わして親密になっていることを快く思わない山王会会長の関内は、この2つの組を仲違いさせようと画策します。
ピラミッド型に連なる序列関係の中で生き残りをかけた下剋上の戦いが繰り広げられます。
出てくる人全員がなんらかの悪事を働いていて、善人は本当に一人も出てきません。
かなりエグい描写や想像を掻き立てる描写などがあり、バイオレンスものが苦手な人にはおすすめできませんがヤクザ映画好きには間違いなしの傑作です。
監督 | 北野武 | |
脚本 | 北野武 | |
公開年 | 2010年 | |
出演者 | ビートたけし / 椎名桔平 / 三浦友和 / 國村隼 / 杉本哲太 / 小日向文世 / 北村総一朗 他 |
RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語〔2010〕
会社員として順風満帆だった主人公・筒井肇が、故郷に住む母が倒れたことや、親しかった会社の同僚のことなどがきっかけで、人生を見つめ直します。
子供の頃の夢だった「一畑電車の運転士」になるべく会社を退職し、中途入社します。
肇とともに運転士となった同僚に、肘の故障でプロ野球入りの夢を断たれた青年・宮田もいました。
現実はそんなに甘くないので、誰もが夢を叶えられるものではないと思いますが、挑戦する気持ちと地位やお金じゃない、自分にとって何が大切かを思い出させてくれる作品です。
前半の会社員時代のギスギスしてすり減っていく感じを見ていると自分と重ね合わせてつらくなる人もいるのでは。
監督 | 錦織良成 | |
脚本 | 錦織良成 / ブラジリィー・アン・山田 / 小林弘利 | |
公開年 | 2010年 | |
出演者 | 中井貴一 / 高島礼子 / 本仮屋ユイカ / 三浦貴大/ 奈良岡朋子 他 |
ソラニン〔2010〕
浅野にいおさん原作漫画による青春とロックな作品です。
大学時代からバンドを続ける種田と彼女の芽井子。二人は同棲していますが、社会に出て鬱屈した気分で関係も不安定です。
アルバイトを辞め、バンドに力を入れてデモCDを作成するなどしたものの思うようにいかず、そんな時種田が事故で亡くなります。
茫然自失となった芽井子は彼の意志を受け継ぐかのようにバンドで彼のギターとヴォーカルをつとめることに。
ドラムは桐谷健太、ベースはサンボマスターの近藤洋一さんがつとめ、アジアン・カンフー・ジェネレーション作の劇中曲の熱い演奏は胸が熱くなります。
監督 | 三木孝浩 | |
脚本 | 高橋泉 | |
原作 | 浅野いにお | |
公開年 | 2010年 | |
出演者 | 宮崎あおい / 高良健吾 / 桐谷健太 / 近藤洋一 他 |
BECK〔2010〕
ハロルド作石さんの大人気ロック漫画を原作とした青春ロック映画です。
田中幸雄(コユキ)はパシリにされたり何も生きがいのない高校生活を送っていました。
ある日、ニューヨーク帰りの天才ギタリスト南竜介に出会い、人生が一変します。竜介は元いたバンドを辞め、世界に通用する新しいバンドを結成しようとしていました。
コユキは竜介から借りたギターを練習し、バンドのメンバーに迎え入れられますが、彼には非凡なボーカルの才能があり注目されるようになっていきます。
このコユキの誰もが聞き惚れる非凡なボーカルが、まさかの無音処理という大胆な手法で表現されていて、良くも悪くも想像力を掻き立てる効果を担っています。
オープニングにレッド・ホット・チリ・ペッパーズ、エンディングにオアシスの名曲を据え、バンド自体もオアシスやレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンを彷彿とさせる演奏がかっこよく仕上がっています。
監督 | 堤幸彦 | |
脚本 | 大石哲也 | |
原作 | ハロルド作石『BECK』 | |
公開年 | 2010年 | |
出演者 | 水嶋ヒロ / 佐藤健 / 桐谷健太 / 忽那汐里 / 中村蒼 / 向井理 他 |
十三人の刺客〔2010〕
江戸時代後期、明石藩主松平斉韶に将軍の意によって老中就任が内定していることが決まったという。
ただ、この斉韶は暴虐で悪行が評判な暴君で、このまま老中に加わると必ず民に災いが起こるであろうと、太平の世に侍として死に場所を求めていた島田新左衛門はじめ侍たちが立ち上がります。
いろいろな策を用いて、13人対200人以上の闘いに挑みますが、その戦闘シーンは圧巻。
通常の時代劇の想像を超えるほどヴァイオレンス味の強さは三池監督ならでは。
1963年の片岡千恵蔵主演、工藤栄一監督作品のリメイク作品です。
監督 | 三池崇史 | |
脚本 | 天願大介 | |
公開年 | 2010年 | |
出演者 | 役所広司 / 松方弘樹 /山田孝 |
最後の忠臣蔵〔2010〕
赤穂浪士の足軽で伝令役を務めていた寺坂吉右衛門は大石蔵之助から事件の真実を後世に伝え、浪士の遺族に援助するために生きることを命じられていました。
16年かけようやくすべての遺族をまわった時、盟友・瀬尾孫左衛門を偶然見かけます。
彼は討ち入り前に逃亡し汚名を着せられていた一人でしたが、彼が生き延びたのにはある使命がありました。
歴史的にも名高い忠臣蔵ですが、その後日譚を描いた池宮彰一郎さんの小説が原作です。
16年という歳月を思うとあまりに切なく、感動的な終盤とタイトルに込められたラストを思うと胸が張り裂けそうな思いにきっとなるでしょう。
監督 | 杉田成道 | |
脚本 | 田中陽造 | |
原作 | 池宮彰一郎 | |
公開年 | 2010年 | |
出演者 | 役所広司 / 佐藤浩市 / 片岡仁左衛門 / 桜庭ななみ 他 |
2011年
八日目の蟬〔2011〕
原作は角田光代さんによる小説で、幼児誘拐事件を描いた作品です。
愛人だった人の幼児を誘拐したのは、自分が堕胎しその子を我が子のように育てたかったためでした。
大人になった主人公の生活と、幼児だった頃の逃亡しながらの4年間の生活が交互に描かれていて、絆が奪われてしまった家族は本来あるべきの普通の家族には戻れず、本人も心を閉ざしたまま成長することになってしまいます。
許されることではないものの愛情いっぱいに育てられたことは心の中に残っていて、それがさらに葛藤を募らせ、自分も不倫関係から妊娠し、誘拐した女と同じ道を辿る運命に。
監督 | 成島出 | |
脚本 | 奥寺佐渡子 | |
原作 | 角田光代 | |
公開年 | 2011年 | |
出演者 | 井上真央 / 永作博美 / 小池栄子 他 |
ステキな金縛り〔2011〕
古畑任三郎とドリフを足してほっこり具合をブレンドしたような極上コメディ
殺人事件の容疑をかけられた男にはアリバイがあり、無罪を主張する内容とは、その時金縛りにあっていたという。
依頼を受けた三流弁護士の宝生エミはその金縛りの原因でもある落ち武者の幽霊に法廷で証言するように求めます。
見える人と見えない人のいる幽霊に、あの手この手で証言させるその方法が見事。
コメディエンヌとしての実力をフルに発揮した深津さんのキュートさがとにかく魅力的。
一見荒唐無稽なようでしっかり理にかなっていて、古畑任三郎ばりのトリックも用意されている法廷サスペンスコメディの傑作。
監督 | 三谷幸喜 | |
脚本 | 三谷幸喜 | |
公開年 | 2011年 | |
出演者 | 深津絵里 / 西田敏行 / 竹内結子 / 阿部寛 / 中井貴一 他 |
阪急電車 片道15分の奇跡〔2011〕
片道15分、宝塚から西宮北口間の全8駅の阪急電車。
婚約破棄されたOL、暴力的な彼氏に悩む女性、大学受験を控えた高校生、他にも小学生や大学生、中高年の女性と孫など様々な愛や悩みを抱えた人々が偶然乗り合わせた車内で、奇跡的にそれぞれの人生が交わり合います。
キャストも魅力的な方が揃っていて、それぞれの人物が丁寧に描かれています。
一歩踏み出す勇気を与えてくれる感動作です。
監督 | 三宅喜重 | |
脚本 | 岡田惠和 | |
原作 | 有川浩 | |
公開年 | 2011年 | |
出演者 | 中谷美紀 / 戸田恵梨香 / 宮本信子 / 南果歩 / 有村架純 他 |
冷たい熱帯魚〔2011〕
1993年に起こった埼玉愛犬家連続殺人事件をベースにした物語で、最初に言っておくとエログロが苦手な人は決して見ない方がいいほど強烈に気分が悪くなる作品です。
娘と再婚した妻と3人で暮らす主人公社本信行は小さな熱帯魚店を営んでいました。
ある日、娘がスーパーで万引きで捕まり、それを店長と懇意にしていた村田という男に助けられます。
村田は大きな熱帯魚店を経営していて人が良さそうな雰囲気で親しげに社本家族と交流を持っていくようになりますが、驚くような素顔を持っていました。
人が支配されることによって、狂っていく様を吹越さんが見事に演じ、またでんでんさんの怪演があまりにハマりすぎていて、本当に嫌悪感を感じます。観る人を選ぶとは思いますが、狂気をこれでもかと描き切った傑作です。
監督 | 園子温 | |
脚本 | 園子温 / 高橋ヨシキ | |
公開年 | 2011年 | |
出演者 | 吹越満 / でんでん / 黒沢あすか / 神楽坂恵 / 梶原ひかり 他 |
2012年
桐島、部活やめるってよ〔2012〕
桐島はどうしてやめちゃうの?がずっと気になる高校生のリアルを描いた傑作
バレー部で県選抜にも選ばれたキャプテンが突然部活をやめたという報せが広がり、本人は休んだまま。
その事実は桐島の彼女や親友にも知らされていなかった。
その報せをめぐるやりとりの1つのエピソードを帰宅部、運動部、映画部や吹奏楽部などの文化部の生徒それぞれの視点から描いています。
朝井リョウさんのデビュー作を原作とした作品で、結局、タイトルにある桐島が直接登場しないところも斬新。
恋や友情、部活動をやる意義など高校生のリアルな姿を描いていて、高校時代のもやもやした気持ちなどを思い出させてくれます。
ラストの映画部の撮影シーンなど、映画愛も感じさせる傑作です。
監督 | 吉田大八 | |
脚本 | 喜安浩平 / 吉田大八 | |
原作 | 朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』 | |
公開年 | 2012年 | |
出演者 | 神木隆之介 / 橋本愛 / 東出昌大 / 山本美月 / 松岡茉優 他 |
鍵泥棒のメソッド〔2012〕
『半沢直樹シリーズ』で共演前にすでに相性を発揮した堺雅人さんと香川照之さんの主演作。
監督は『運命じゃない人』や『アフタースクール』などあっと驚かせるストーリー作りで人気の内田けんじさんで、この作品の脚本も抜群。
殺し屋風のなんでも屋が風呂で転び記憶喪失になり、たまたまその場に居合わせた貧乏で死にたいと思っている役者志望の男が彼になり変わってお互い素性を入れ替えて生活するという奇想天外なストーリー。
広末涼子さんもちょっと風変わりな役柄でいい味を出しています。面白さ保証します。
監督 | 内田けんじ | |
脚本 | 内田けんじ | |
公開年 | 2012年 | |
出演者 | 堺雅人 / 香川照之 / 広末涼子 他 |
カラスの親指〔2012〕
タイトルのカラスとはくろうとのことでしろうとの反対を意味します。つまり、詐欺やスリのプロのことです。
ベテランの詐欺師、タケはかつてはまっとうなサラリーマンでしたが、闇金の取り立てで職を失い、借金取りにさせられそれによって相手を自殺に追い込んでしまったという過去があります。
タケはテツという男とふたりで詐欺をしていますが、スリをした少女を助けたことから彼女の姉たちも一緒に奇妙な共同生活することになります。
詐欺師が相手を信用させて、お金を騙し取るコン・ゲームスタイルの作品で、原作は道尾秀介さんの傑作を映画化したものです。
適度な笑いもありますが、スリルがあってハラハラドキドキさせられます。
すべてが伏線で、きっと最後はあなたもやられたと思うことでしょう。
監督 | 伊藤匡史 | |
脚本 | 伊藤匡史 | |
原作 | 道尾秀介 | |
公開年 | 2012年 | |
出演者 | 阿部寛 / 村上ショージ / 石原さとみ / 能年玲奈 / 小柳友 他 |
ALWAYS 三丁目の夕日'64〔2012〕
1964年といえば、東京オリンピックが開催された年。前作から5年後を舞台に描いたシリーズ第3作目です。
子供たちも高校生となり、すっかり成長し、カラーテレビの時代となっています。
六子はやけどで治療してもらった医者の菊池に恋をしています。
茶川家ではヒロミが妊娠し、淳之介は東京大学を目指すも小説家になる夢が捨てきれません。
茶川は『冒険少年ブック』の連載で思わぬライバルが出現し、連載の危機が訪れ、そんな矢先に父の危篤の知らせを受け取ります。
高度経済成長真っ只中でお金落ちになることや出世することを誰もが目指すなか、本当の幸せとは何かを深く考えさせられます。
出会いや別れ、旅立ちを描いた感動作です。
監督 | 山崎貴 | |
脚本 | 古沢良太 / 山崎貴 | |
公開年 | 2012年 | |
出演者 | 吉岡秀隆 / 堤真一 / 薬師丸ひろ子 / 小雪 / 堀北真希 他 |
ツナグ〔2012〕
死者と生者をたった一度だけ合わせてくれることができる「ツナグ」という役割を果たす存在がいます。
それぞれたった一度、一人だけにしか会うことができませんので、選ぶ人も選ばれた人も後悔のないように決めなければいけません。
亡くなった母に土地の権利書のありかを聞きたい男、亡くなった親友に会いたい女子高生、疾走した婚約者に会いたい男の3組の依頼に応えます。
そして、「ツナグ」を祖母から引き継ごうとする男子高校生にも隠された秘密があります。
それぞれ感動の再会というだけでなく、会うことによって受ける悲しみがあったりして、とても奥深いストーリーです。
原作の見事な設定をあますところなく作品化したファンタジー映画の大傑作です。
監督 | 平川雄一朗 | |
脚本 | 平川雄一朗 | |
原作 | 辻村深月 | |
公開年 | 2012年 | |
出演者 | 松坂桃李 / 樹木希林 / 佐藤隆太 / 橋本愛 / 遠藤憲一 他 |
僕等がいた 前篇 / 後篇〔2012〕
女子の3分の2が彼のことを好きになるというクラスの人気者の矢野に高橋七美はやがて惹かれていきます。
そんな矢野にはかつて恋人と死別した過去があり、心を閉ざしていました。
やがて二人は徐々に惹かれあい、両思いになりますが、さまざまな障害が待っています。
前篇は北海道での高校生活、後篇は矢野が高校2年に東京へ引っ越してしまうその後と分かれていて、正直前篇は謎がありつつも甘酸っぱすぎて観ていて恥ずかしく感じてしまう部分もありますが、後篇にぐっとシリアスな展開へと入っていき盛り上がっていきます。
小畑友紀さんの大ヒット少女漫画の傑作を映画化した作品です。
監督 | 三木孝浩 | |
脚本 | 吉田智子 | |
原作 | 小畑友紀『僕等がいた』 | |
公開年 | 2012年 | |
出演者 | 生田斗真 / 吉高由里子 / 本仮屋ユイカ / 高岡蒼佑 / 比嘉愛未 他 |
テルマエ・ロマエ〔2012〕
古代ローマでも民衆はテルマエつまり大浴場を愛し、皇帝は巨大なテルマエを建設することで民衆の支持を集めていました。
浴場設計技師であるルシウスはアイデアに行き詰まっている途中公衆浴場で溺れてしまい、気が付くと現代の日本の風呂にタイムスリップしてしまいます。
そこで目にした古代ローマ人にとって斬新なアイデアを取り入れて一躍評判になり、皇帝のご指名を受けることになります。
そんな日本の風呂のアイデアがローマの危機を救うコメディ作品です。
阿部寛さんのコミカルな演技がとにかく面白く、ローマ人に扮する日本の濃い顔を一堂に集めたかのようなキャスティングが見事。
ヤマザキマリさんの大人気コミックを原作とした第一作目です。
監督 | 武内英樹 | |
脚本 | 武藤将吾 | |
原作 | ヤマザキマリ | |
公開年 | 2012年 | |
出演者 | 阿部寛 / 上戸彩 / 北村一輝 / 市村正親他 |
悪の教典〔2012〕
表と裏の顔を持つサイコキラー教師のバイオレンスなサイコ・ホラー
さわやかでイケメンで生徒にも人気の高校の英語教師、蓮実聖司は、その裏の顔は周囲の人間を自在に操る他者への共感能力を一切持たないサイコキラーです。
小さな綻びから自分の失敗するためにとった行動はあまりに残酷な大惨劇を巻き起こします。
いい人役のイメージが強かった伊藤英明さんが見事に悪役を演じたハマり役。さらに生徒役は今見直すと主役級をつとめるあまりに豪華な顔ぶれ。
貴志祐介さんのベストセラー作品を三池監督ならではのバイオレンスシーンを炸裂させて描いた、間違いなく胸糞な一本です。
監督 | 三池崇史 | |
脚本 | 三池崇史 | |
原作 | 貴志祐介 | |
公開年 | 2012年 | |
出演者 | 伊藤英明 / 二階堂ふみ / 染谷将太 / 林遣都 / 浅香航大 他 |
2013年
舟を編む〔2013〕
出版社・玄武書房では『大渡海』という辞書の刊行計画が進められていましたが、定年退職する辞書編集者の代わりがなかなか見つかりません。
そこで白羽の矢が立ったのが、営業をやらせてもまったく役に立たない大学院で言語学を専攻していた変人の馬締でした。
言葉には強い執着心を持つもののコミュニケーション力が低い馬締でしたが、周りの人とのかかわりでだんだん成長していきます。
そんな辞書を作るだけでも大変なのに、恋や会社の経営事情まで絡んできて苦難の連続。
15年に及ぶ刊行までの道のりをドラマティックに描いています。
人には向き不向きや、適材適所、天職というものがあると思いますが、若いうちに一生の仕事を見つけられる幸福が描かれています。
誰かとつながりたくて広大な海を渡ろうとする舟、そんな今を生きる辞書を目指して一生を捧げる感動的な物語です。
本屋大賞を受賞した三浦しをんさん原作作品で、松田さん、オダギリさんをはじめとするキャストも見事にハマった傑作。
監督 | 石井裕也 | |
脚本 | 渡辺謙作 | |
原作 | 三浦しをん | |
公開年 | 2013年 | |
出演者 | 松田龍平 / 宮﨑あおい / オダギリジョー / 小林薫 / 加藤剛 他 |
永遠の0〔2013〕
亡くなった祖母には戦争中に亡くなった夫がいることを葬式の時に知った孫は、その過去を知るために調査をします。
戦争で生き残った人たちに聞くと卑怯者で、臆病者、恥さらしだったと口を揃えて言われるなか、彼と深く関わった人たちはまったく違ったことを証言します。
愛する妻と娘のために、戦争中はタブーとされた生きて帰りたいと言っていた男がなぜ特攻で命を落とすことになったのか。
百田尚樹さん原作の感涙の物語です。
監督 | 山崎貴 | |
脚本 | 山崎貴 / 林民夫 | |
原作 | 百田尚樹『永遠の0』 | |
公開年 | 2013年 | |
出演者 | 岡田准一 / 三浦春馬 / 井上真央 他 |
そして父になる〔2013〕
大好きな是枝監督作品の中でも特に沁みるのが、この作品です。
エリートの良多にある日病院から連絡が入り、6年間育てた息子は病院内の取り違えられた他人の夫婦の子供だということが判明します。
いったんそれぞれ本当の家族で生活してみて、血か愛した時間か、究極の選択を迫られます。
6年間育ててきた子が、取り違えによって自分の子ではないと知った時、自分ならどうするかついつい考えこんでしまいます。
おそらく子を持つ親目線で見る方とそうではない場合では、感じ方が結構違うのでは。
監督 | 是枝裕和 | |
脚本 | 是枝裕和 | |
公開年 | 2013年 | |
出演者 | 福山雅治 / 尾野真千子 / 真木よう子/ リリー・フランキー 他 |
恋の渦〔2013〕
ゲスくてエロくて8割ぐらいは不快だけど、ラストですっきりする恋愛群像コメディ
同棲カップルのコウジとトモコそれぞれの友人を紹介するために開かれた部屋コンに集まった9人の男女。
微妙な空気のままコンパは終了するものの、それぞれの思惑が交錯し、恋心や下心が渦巻いていきます。
パワハラ気質だったり浮気性だったりといろんなクズがいて作品の8割ぐらいは不快な気分にさせられますが、ラストで見事にその気分を払拭させてくれます。
『モテキ』の大根仁監督、演劇ユニット・ポツドールによる撮影日数がわずか4日というインディーズ映画ながら超ロングラン大ヒットを記録した隠れた名作です。
監督 | 大根仁 | |
脚本 | 三浦大輔 | |
原作 | 三浦大輔 | |
公開年 | 2013年 | |
出演者 | 新倉健太 / 若井尚子 / 柴田千紘 / 後藤ユウミ / 松澤匠 他 |
陽だまりの彼女〔2013〕
広告代理店につとめる奥田浩介はクライアントへプレゼンしに行くとそこの社員で中学時代の同級生、渡来真緒と再会します。
真緒は中学時代いじめにあっていて、浩介は彼女を助けてお互いに好意を寄せ合っていましたが、その後転校し離れ離れになっていました。
そんな二人はつきあうようになりますが、彼女は“不思議な秘密”を抱えていました。
この“不思議な秘密”に関してはおそらく賛否両論分かれるのではないかと思いますが、ファンタジーが好きな方にはおすすめです。
真緒が口ずさむビーチ・ボーイズの“Wouldn't It Be Nice(素敵じゃないか)”がストーリーを象徴する曲としてフューチャーされています。
「女子が男子に読んでほしい恋愛小説No.1」と謳った書店のキャンペーンから火がついた大ヒット作を原作としたファンタジー映画です。
監督 | 三木孝浩 | |
脚本 | 菅野友恵 / 向井康介 | |
原作 | 越谷オサム | |
公開年 | 2013年 | |
出演者 | 松本潤 / 上野樹里 / 玉山鉄二 / 北村匠海 / 葵わかな 他 |
2014年
百円の恋〔2014〕
お弁当屋を営む実家に寄生し自堕落な生活を送っていた32歳の一子。
離婚して出戻ってきた妹と大喧嘩をし、家を出て一人暮らしをすることになり百円ショップでアルバイトすることになります。
通りがかりに見かけたボクシングジムでボクサーのことが気になり、小さな恋に発展していき、紆余曲折ののちに自らボクシングを始めることになります。
だらけきった前半の一子は嫌悪感をもよおすほど堕落していますが、ボクシングを始めてからの驚くほどの体型とキレの変化はまさに役者魂そのもの。
ちょっと陰気で猥雑な描写などは好みがわかれそうですが、ラストは必死の姿に応援したくなる安藤サクラさんの転機となった出世作。
監督 | 武正晴 | |
脚本 | 足立紳 | |
公開年 | 2014年 | |
出演者 | 安藤サクラ / 新井浩文 他 |
WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜〔2014〕
大学受験に失敗し、ふと目にとまったパンフレットのモデルに心を奪われ、林業の研修を受けることに。
ケータイの電波も届かない山間部の田舎で、最初はまったく根性もやる気もなく逃げ出そうとするも、そのモデルの女の子に出会い、だんだん仕事の面白さに目覚めていくというストーリー。
コメディ要素が強く、随所に笑えますが、『ウォーターボーイズ』、『スウィングガールズ』を手掛けた矢口監督ならではの成長物語で感動します。
ラストの祭りは想像の斜め上をいくもので、驚かされると思います。
監督 | 矢口史靖 | |
脚本 | 矢口史靖 | |
原作 | 三浦しをん『神去なあなあ日常』 | |
公開年 | 2014年 | |
出演者 | 染谷将太 / 長澤まさみ / 伊藤英明 他 |
小さいおうち〔2014〕
大学生の健史の亡くなった大叔母タキは、自叙伝を書き残していた。
タキが生きていた現代の健史とのやりとりと、自叙伝に書いていた昭和10年代の回想でストーリーは展開します。
当時としてはモダンな小さな家に女中として働き、その家族とのやりとりを描いていくのですが、奥様がだんだん不倫に走っていく様に忸怩たる思いを抱いていきます。
ラストでタキの秘められた真実が明かされるのですが、倍賞さんの名演技とともに年月の重さが感じられ、切なさが込み上げてきます。
監督 | 山田洋次 | |
脚本 | 平松恵美子 / 山田洋次 | |
原作 | 中島京子『小さいおうち』 | |
公開年 | 2014年 | |
出演者 | 松たか子 / 黒木華 / 倍賞千恵子/ 吉岡秀隆 / 妻夫木聡 他 |
青天の霹靂〔2014〕
原作は劇団ひとりさんの小説2作目にして、初監督作品。
しがないマジシャンが生きる意味を失っているとある日突然雷に打たれ、タイムスリップするというストーリー。自らの出生の秘密の謎に迫ります。
大泉洋さんとひとりさんの掛け合いや全編にわたる雰囲気は若干ひとりさんのコントワールドを観ているようですが、物語を締めてくれているのが柴咲コウさんとエンディングテーマを歌うMr.Childrenの存在です。
ラストはじーんと胸にせまる名作です。
監督 | 劇団ひとり | |
脚本 | 橋部敦子 / 劇団ひとり | |
原作 | 劇団ひとり | |
公開年 | 2014年 | |
出演者 | 大泉洋 / 柴咲コウ / 劇団ひとり 他 |
2015年
海街diary〔2015〕
派手さはないけど、まさに日記を読むかのようなしみじみした素晴らしい作品
三姉妹のもとに15年前に女と家を出て行った父親の訃報が届き、山形に葬式に行き、そこで腹違いの妹と出会います。
その子も後妻と生活しなければいけなかったことから、一緒に鎌倉で暮らそうと誘い、4人で暮らすことに。
小さな出来事をまさに日記のように淡々とつむぎ、ぎこちなかった関係がだんだん心がつながっていく様子が感動的です。
4姉妹は、まさにこのキャストしかありえないというような素晴らしい4者四様のハマり具合で、脇を固める役者陣も見事。
原作は吉田秋生さんの同名漫画で、じんわりと感動できる4姉妹の物語です。
監督 | 是枝裕和 | |
脚本 | 是枝裕和 | |
原作 | 吉田秋生『海街diary』 | |
公開年 | 2015年 | |
出演者 | 綾瀬はるか / 長澤まさみ / 夏帆 / 広瀬すず 他 |
ソロモンの偽証 前篇・事件 / 後篇・裁判〔2015〕
新たに中学校の教師として赴任してきた中原(旧姓:藤野)涼子によって語られる23年前の事件と伝説として語り継がれる学校内裁判。
1人の少年が飛び降りによる死体として発見されます。
警察と学校はそれを自殺であると断定しますが、その後不良たちが落としたという告発文が各所に届けられます。
果たして自殺か他殺か?そして告発文の内容は真実なのか?
偽証にまみれた真相を突き止めるために生徒たちが学校内裁判を行うことになります。
前編を事件パート、後編を裁判パートとした2部作の豪華キャストによる感動大作ミステリーです。
主演の藤野涼子さんはオーディションで選ばれ、その役名をそのまま芸名として活躍しています。
監督 | 成島出 | |
脚本 | 真辺克彦 | |
原作 | 宮部みゆき | |
公開年 | 2015年 | |
出演者 | 藤野涼子 / 板垣瑞生 / 尾野真千子 / 佐々木蔵之介 / 黒木華 他 |
アゲイン 28年目の甲子園〔2015〕
苦い思い出を抱えていた男たちがマスターズ甲子園を目指す感動の物語
ある日中年の坂町晴彦のもとに大学生の戸沢美枝が訪ねてきます。彼女はマスターズ甲子園事務局でボランディアとして働いていて、彼女は坂町元高校野球部でチームメイトだった松川という男の娘で、坂町に出場しないかと打診に来ました。
坂町含め元野球部には松川をめぐって苦い思い出があり、出場を悩みます。
そんなわだかまりを乗り越え、チームはマスターズ甲子園を目指すというストーリーです。
いくつになっても青春の思い出はなくならないし、歳をとっても繋がっている友情や松川の秘めた想いに胸を打たれます。
青春時代に何かに打ち込んだ人であれば必ず感動間違いなしの傑作です。
監督 | 大森寿美男 | |
脚本 | 大森寿美男 | |
原作 | 重松清 | |
公開年 | 2015年 | |
出演者 | 中井貴一 / 波瑠 / 柳葉敏郎 / 太賀 / 工藤阿須加 他 |
エイプリルフールズ〔2015〕
ドタバタ群像劇コメディだけど、最後は全てが繋がるアットホームな作品
エイプリルフールの日に、いろいろなところで嘘から始まる大騒動が勃発します。
虚言癖でセックス依存症の詐欺師とその彼に妊娠させられた女、宮家を語る夫婦、子供を誘拐するヤクザ、占い師や宇宙人だと信じる登校拒否の中学生など、一見別々の出来事がラストはきれいにつながります。
脚本は『リーガル・ハイ』や『コンフィデンスマンJP』など人気作を手がけている古沢良太さんが構想に7年かけて作ったという自信作。
多少おおげさすぎる感じもありますが、名優たちが多数出演し、嘘かほんとかわからない展開にきっと翻弄されると思います。
監督 | 石川淳一 | |
脚本 | 古沢良太 | |
公開年 | 2015年 | |
出演者 | 戸田恵梨香 / 松坂桃李 / 富司純子 / 里見浩太朗 / 寺島進 他 |
くちびるに歌を〔2015〕
原作は中田永一さんの青春小説で、アンジェラ・アキさんの「手紙 〜拝啓 十五の君へ〜」をテーマにした作品です。
産休教師の代わりに長崎五島列島へ代理の音楽教師として数年ぶりに故郷に戻った元プロのピアニストが主人公です。
彼女は嫌々合唱部の顧問になりますが、ある過去によってピアノを弾くことができません。
また、生徒の中にもさまざまな困難を抱えた子もいて、先生と生徒、それぞれが傷を癒しながら合唱コンクルールを目指していきます。
合唱の素晴らしさとアンジェラ・アキさんの楽曲の素晴らしさを痛感する感動の物語です。
監督 | 三木孝浩 | |
脚本 | 持地佑季子 / 登米裕一 | |
原作 | 中田永一『くちびるに歌を』 | |
公開年 | 2015年 | |
出演者 | 新垣結衣 / 木村文乃 / 桐谷健太 / 恒松祐里 他 |
予告犯〔2015〕
動画サイトで世間の炎上騒ぎを起こしたものに制裁を加えることを予告し、それを実行していく新聞紙を頭にかぶった男が現れます。
通称“シンブンシ”と呼ばれたこの男を警察も捜査を始めますが、次第に社会現象となっていきます。
果たして彼の過去に秘められた秘密と彼の犯行の目的とは。
筒井哲也の漫画を原作とした作品で、犯罪ではありながらも悪を正すダークヒーローのような作品で、その裏に日本のワーキングプアの現実があるなど社会派サスペンスのような側面も持ち合わせています。
え、この人もと驚くような豪華なキャストが顔を揃えています。
監督 | 中村義洋 | |
脚本 | 林民夫 | |
原作 | 筒井哲也 | |
公開年 | 2015年 | |
出演者 | 生田斗真 / 戸田恵梨香 / 鈴木亮平 / 濱田岳 / 荒川良々 / 坂口健太郎 他 |
イニシエーション・ラブ〔2015〕
だいどんでんがえしの代名詞的作品としてミステリ好きの間では有名な、乾くるみさんの原作を映像化した作品です。
合コンで知り合った「鈴木」と「マユちゃん」の恋愛ストーリーを80年代のカセットテープになぞらえて静岡での恋愛模様を描いたside-Aと東京転勤で遠距離恋愛するside-Bに分けて描いています。
映像化は難しいのではと思われていた本作ですが、原作を読んだことがある方は答え合わせをするように張り巡らされた伏線を楽しむのも面白いのでは。
ちなみに、タイトルの「イニシエーション」とは“通過儀礼”という意味で成長するうえで次の段階へ進むための手続きや儀式のようなものを指します。
80年代のヒットナンバーもてんこ盛りで音楽好きも楽しめる作品です。
監督 | 堤幸彦 | |
脚本 | 井上テテ | |
原作 | 乾くるみ『イニシエーション・ラブ』 | |
公開年 | 2015年 | |
出演者 | 松田翔太 / 前田敦子 / 木村文乃 / 亜蘭澄司(森田甘路) 他 |
2016年
シン・ゴジラ〔2016〕
もしも現実にゴジラが現れたら、という圧倒的リアリティで虚構を描いた大作
ご存知「エヴァンゲリオン」の庵野秀明監督がアニメの世界観と実写のリアルを融合させ、328名もの名だたるキャストとともに、まさに国をあげて作り上げた大作です。
突如出現した巨大不明生物に対して、政府がどのように対策するかの右往左往する様子や、自衛隊や米軍、さらにはあらゆる分野の異端児を集めた「巨大不明生物特設災害対策本部」略して「巨災対」を含めて立ち向かう、ただそれだけに特化したストーリーです。
東日本大震災をメタファーとし、まるでドキュメンタリーを見ているかのようにメディアや一般人の様子などもリアリティをもって描き、自衛隊や国会議員協力のもと制作されているので、ゴジラを自然災害や侵略に見立て、まさに有事のシミュレーションを映画で行っているといえます。
監督 | 庵野秀明(総監督) / 樋口真嗣(監督・特技監督) | |
脚本 | 庵野秀明 | |
公開年 | 2016年 | |
出演者 | 長谷川博己 / 竹野内豊 / 石原さとみ / 高良健吾 / 市川実日子 他 |
ちはやふる -上の句- / -下の句-〔2016〕
競技かるたを題材にした末次由紀さんの漫画を原作とした傑作青春スポ根映画です。
小学生の時に競技かるたチームでいっしょだった幼馴染の男女三人ははなればなれになってしまいます。
綾瀬千早は高校で競技かるた部を作りたいと思い、5人の部員を集めようとしたところ、幼馴染の真島太一と高校で再開を果たし、なんとか5人集め、部活をスタートさせます。
もう一人の幼馴染の綿谷新は福井で一人でかるたを続けていました。
躍動感あふれる映像もさることながら、選手一人一人の想いや気持ちが見事に描かれていて、競技かるたにとっての甲子園、近江神宮を目指す熱い戦いが繰り広げられます。
勝負も恋も青春を全部かけて勝とうとする気持ちに、胸が熱くなります。
上の句と下の句の2部作となっていて、完結編として『ちはやふる -結び-』があります。
監督 | 小泉徳宏 | |
脚本 | 小泉徳宏 | |
原作 | 末次由紀 『ちはやふる』 | |
公開年 | 2016年 | |
出演者 | 広瀬すず / 野村周平 / 真剣佑 / 上白石萌音 / 矢本悠馬 / 森永悠希 他 |
64-ロクヨン-前編 / 後編〔2016〕
わずか7日間しかなかった昭和64年に起こった誘拐事件は身代金を奪われたうえ、少女は遺体となって発見されます。
それから時はたち、未解決のまま時効まで残り一年と迫っていた中で、担当捜査員の激励と称して、警察庁長官が視察に訪れるという話が持ち上がります。
刑事部と警務部、県警と本庁、広報室と県警記者クラブの軋轢の中で、迷宮入りしていた事件があらたに動き出します。
横山秀夫さんの最高傑作とも称される骨太な警察ミステリー作品で、人と人との行き詰まる攻防戦が繰り広げられる前編と後編に分かれた大作。
昭和64年の事件に取り残された遺族や事件にかかわった捜査員の苦悩が胸に迫ってくる切ない作品です。
監督 | 瀬々敬久 | |
脚本 | 久松真一 / 瀬々敬久 | |
原作 | 横山秀夫 | |
公開年 | 2016年 | |
出演者 | 佐藤浩市 / 永瀬正敏 / 永山瑛太 / 吉岡秀隆 / 三浦友和 他 |
湯を沸かすほどの熱い愛〔2016〕
銭湯を営む幸野家は、父が失踪し休業状態。母・双葉はパートしながら娘を育てていたけど、余命2ヵ月と知り、死ぬまでに「絶対にやっておくべきこと」を決め実行していきます。
自身の病気、いじめによる娘の不登校寸前、行方不明の夫を探し出し、銭湯を再建させることなど、すべての問題を解決するために立ち向かっていきますが、不幸のオンパレードでそのいちいちに泣かされます。
不幸の連続のちょっと都合のよさに賛否があるかもしれないけど、それに目をつぶれば、それらに立ち向かう愛の力に感動の涙は避けられません。
宮沢りえさんの母親役が真に迫っていて、胸をうちます。
監督 | 中野量太 | |
脚本 | 中野量太 | |
公開年 | 2016年 | |
出演者 | 宮沢りえ / 杉咲花 / 伊東蒼 / 松坂桃李 / オダギリジョー 他 |
怒り〔2016〕
殺人事件犯をめぐる身元不明の3人の男のサスペンス・ヒューマンドラマ
八王子で夫婦が殺害され、現場には「怒」の文字が残されていました。犯人は逃亡し、整形していることがわかり指名手配がかけられていました。
その1年後に房総と東京、そして沖縄に犯人と疑われる身元不明の3人の男が現れます。
3人とも影がありつつも、犯人とは思えないような人柄で周りと馴染んでいきますが、果たしていったい誰が犯人なのか。
サスペンスではありますが、3人を巡る切ない人間ドラマとしても秀逸な作品で、彼らを信じたくても疑心暗鬼になってしまう人々の気持ちの揺れ動きを見事が描かれています。
監督 | 李相日 | |
脚本 | 李相日 | |
原作 | 吉田修一『怒り』 | |
公開年 | 2016年 | |
出演者 | 渡辺謙 / 森山未來 / 松山ケンイチ/ 綾野剛 / 宮崎あおい / 妻夫木聡 他 |
ぼくは明日、昨日のきみとデートする〔2016〕
泣ける恋愛系SFファンタジーの傑作!
タイトルから、すでにストーリーが想像できるのは織り込み済みですが、七月隆文さんの同名小説を原作とした恋愛系SFファンタジー作品です。
美大に通う学生が電車で一目惚れ。勇気を出して声をかけ、愛美とつきあうことになりますが、彼女がことあるごとに突然泣き出したりと不可解なことがおこります。
ある日「わたし、あなたに隠していることがある・・・」と大きな秘密が明かされて。
ファンタジックな設定を受け入れられる人にはおすすめだし、クリストファー・ノーラン監督の『TENET』を観た方ならあれ?っときっと思うはず。
なかなか設定を飲み込むまでに頭が追いつかず混乱しますが、泣けることは保証します。
監督 | 三木孝浩 | |
脚本 | 吉田智子 | |
原作 | 七月隆文『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』 | |
公開年 | 2016年 | |
出演者 | 福士蒼汰 / 小松菜奈 / 山田裕貴 / 清原果耶 / 東出昌大 他 |
海賊とよばれた男〔2016〕
百田尚樹さんによる本屋大賞も受賞した作品を原作とし、出光興産創業者の出光佐三をモデルとして国岡商店が大企業にまで成長する過程が描かれています。
国岡商店は石炭の主流だった時代に石油業に乗り出し、国内の販売業社や欧米の石油会社の大きな壁に立ち塞がれながらも、常識にとらわれない行動力で成長を遂げていきます。
戦争が終結し、石油業ができない状況でも社員(店員)を解雇することなくなんとか困難を乗り越えていこうとしますが、ようやく石油を販売できるようになったものの新たな困難が待ち受けています。
仕事はなければ作るという命懸けの商売人の心意気がぎっしり詰まっていて、主演の岡田准一さんは若き日の姿から老け役までを見事にこなし、老け役がまったく違和感泣く貫禄すら漂っています。
ラストで隠された秘密に号泣必至です。
監督 | 山崎貴 | |
脚本 | 山崎貴 / 守屋圭一郎 | |
原作 | 百田尚樹「海賊とよばれた男」 | |
公開年 | 2016年 | |
出演者 | 岡田准一 / 吉岡秀隆 / 染谷将太 / 綾瀬はるか 他 |
殿、利息でござる!〔2016〕
仙台藩の宿場町は、藩から伝馬役にかかる費用で苦しめられていました。
そこで有志によって銭を出し合い、お上にお金を貸し、その利息で伝馬役の費用をまかなおうという奇策を立て、奔走するというお話です。
ジャケットだけ見ると悪巧みしているように見えて誤解してしまいますが、実は私欲を捨てて町のために尽くしたという、磯田道史の評伝「穀田屋十三郎」(『無私の日本人』所収)が原作の物語です。
藩主役を務めるのはあの国民的スターがサプライズ出演しているのも見どころの一つです。
監督 | 中村義洋 | |
脚本 | 中村義洋 / 鈴木謙一 | |
原作 | 磯田道史「穀田屋十三郎」(『無私の日本人』所収) | |
公開年 | 2016年 | |
出演者 | 阿部サダヲ / 瑛太 / 妻夫木聡 / 竹内結子 他 |
聖の青春〔2016〕
原作は、大崎善生さんのノンフィクション小説で、29歳の若さで病気で亡くなった将棋棋士・村山聖さんを描いた感動の作品です。
羽生善治世代で、西の怪童と呼ばれた村山聖は、7冠を達成した羽生と互角に渡り合ったライバルでした。
幼い頃から腎臓の病気と戦い、やがて癌が発覚するも命を削るように将棋に打ち込んでいきます。
なんの世界でも当たり前ですが、将棋の世界は本当に厳しく、若い頃から将棋に身を捧げてきてもプロ棋士として活躍できるのはほんのひと握りで、夢敗れていく若者が多数いるようですが、村山聖さんはまさに命をかけて将棋に身を捧げて名人を目指し、8段まで登りつめました。
松山ケンイチさんが役作りでデ・ニーロばりに体型を変化させたことも話題になりましたが、見事なまでの役者魂が感じられます。
監督 | 森義隆 | |
脚本 | 向井康介 | |
原作 | 大崎善生 | |
公開年 | 2016年 | |
出演者 | 松山ケンイチ / 東出昌大 / リリー・フランキー / 染谷将太 / 筒井道隆 他 |
アイアムアヒーロー〔2016〕
主人公の鈴木英雄は、さえない漫画家でアシスタントをしながら再デビューを目指しています。
そんなある日、謎の感染症が発生し、街はZQNと呼ばれるゾンビで溢れます。
鈴木はクレー射撃を趣味として、銃砲所持許可証と散弾銃を持っていますが、それをお守りに街で出会った比呂美とともにアウトレットモールに逃げますが、そこで非感染者コミュニティに出会います。
花沢健吾の大人気SFホラー漫画を原作とした世界のゾンビ映画に負けないハイクオリティな作品です。
大泉洋さんが主役を演じているのでユーモラスな部分とゾンビの迫り来る恐怖のバランスが絶妙です。
監督 | 佐藤信介 | |
脚本 | 野木亜紀子 | |
原作 | 花沢健吾『アイアムアヒーロー』 | |
公開年 | 2016年 | |
出演者 | 大泉洋 / 有村架純 / 長澤まさみ 他 |
僕だけがいない街〔2016〕
主人公には事件を未然に防がなければ同じ時間を繰り返すという通称リバイバルと呼ばれる過去に戻る力があります。
ある日、母が何者かに殺されてしまい、それがどうやら自分自身が小学生だった時の18年前に起こった連続誘拐事件に関係していそうで、その小学生時代にリバイバルして事件を止めようと奮闘します。
ファンタジーとミステリーが見事に融合した三部けいさんの漫画作品が原作で、何度も過去を繰り返し現在が変わっていくというタイムリープものの傑作です。
監督 | 平川雄一朗 | |
脚本 | 後藤法子 | |
原作 | 三部けい『僕だけがいない街』 | |
公開年 | 2016年 | |
出演者 | 藤原竜也 / 有村架純 / 石田ゆり子 / 及川光博 他 |
あやしい彼女〔2016〕
韓国映画のリメイク作品で、世界中でリメイクされている感動ファンタジー映画です。
女手ひとつで娘を育て上げた73歳のカツは、頑固でおせっかいな性格で周りから敬遠されがちな存在です。
娘と喧嘩し家出し、ふと惹かれて入った写真館で写真を撮ってもらうとなぜか20歳の時の若々しい自分に戻ってしまいました。
人生を取り戻そうと楽しんでいたところ、のど自慢大会で歌を歌ったことから人生が動き出します。
多部さんの歌のうまさとキュートさがとにかく見どころと言えますが、コミカルながらも家族愛と人生のはかなさが胸に沁みます。
監督 | 水田伸生 | |
脚本 | 吉澤智子 | |
公開年 | 2016年 | |
出演者 | 多部未華子 / 倍賞美津子 / 要潤 / 北村匠海 / 小林聡美 他 |
世界から猫が消えたなら〔2016〕
この世界から自分が消えてしまうことの意味を考えさせられるファンタジー作品
猫と暮らす郵便配達員の“僕”は、体調不良で病院に行ったところ脳腫瘍で余命があまりないことを告げられます。
家に帰ると自分にそっくりな男がいて、彼は“悪魔”であると名乗ります。
そして、悪魔は僕に1日寿命延ばしてあげる代わりに、何かをこの世から消滅させるという取引を持ちかけます。
ファンタジー要素の強い作品ですが、リアルな部分との対比も描いていて、もしもこの世界から自分が消えたら、誰かに何か影響があるのかということを強く考えさせられる感動の物語です。
監督 | 永井聡 | |
脚本 | 岡田惠和 | |
原作 | 川村元気 | |
公開年 | 2016年 | |
出演者 | 佐藤健 / 宮崎あおい / 濱田岳 / 奥田瑛二 / 原田美枝子 他 |
GANTZ:O〔2016〕
ある日、高校生の加藤勝地下鉄で通り魔に襲われてめった刺しにされ死亡します。
気づくと黒い球が置かれたマンションの一室にいて、そこには死んだものが集まっていて、制限時間内に異星生物を全滅させるというゲームをさせられます。
ゲームの結果次第では特典が用意されていて、生死をかけた戦いが繰り広げられます。
初見では謎だらけの設定で、ガンツと呼ばれる球とは何で、なんのために戦っているのかなど全く不明ですが、映像がとにかく圧倒的で、戦闘シーンはど迫力です。
ストーリーも友情や恋愛、家族愛などが絡みドラマティックな内容となっています。
総監督 | さとうけいいち | |
監督 | 川村泰 | |
脚本 | 黒岩勉 | |
原作 | 奥浩哉 | |
公開年 | 2016年 |
ボクの妻と結婚してください。〔2016〕
バラエティ番組の放送作家・三村修治は膵臓癌により余命6ヶ月と宣告されてしまいます。
エンディングノートを書きながら三村が考え抜いた結論は、遺される妻と息子のために妻に替わって再婚相手を探すことでした。
結婚相談所の社長、知多の協力を得て結婚相手探しに奔走します。
病気という重い内容をコメディタッチで描いているのでポジティブに観ることができますが、暴走とも言える夫の行動とそれを受け止める妻の愛にラストは涙腺が崩壊します。
現役の放送作家でもある樋口拓治さんの原作をもとにした舞台やテレビドラマ化もされた感動の物語です。
監督 | 三宅喜重 | |
脚本 | 金子ありさ | |
原作 | 樋口卓治『ボクの妻と結婚してください。』 | |
公開年 | 2016年 | |
出演者 | 織田裕二 / 吉田羊 / 原田泰造 / 高島礼子 他 |
2017年
三度目の殺人〔2017〕
是枝裕和監督のオリジナル脚本による法廷サスペンスで、殺人の罪で30年服役していた男が、出所して自分の勤めていた会社の社長を殺害した容疑で起訴されます。
そのままでは死刑はまぬがれないため、その犯人を弁護しようと国選弁護人が調査していきますが、犯人は取り調べるために自供をころころ変えます。
一方その事件の裏に社長の妻や娘の存在もあり、目撃者のいない中、真相は犯人の自供のみ。
弁護人もだんだん違和感を抱えていきますが、その結末とは。
裁くために真実が必要ではなかったり、司法の合理性のような闇を描いた作品です。
監督 | 是枝裕和 | |
脚本 | 是枝裕和 | |
公開年 | 2017年 | |
出演者 | 福山雅治 / 役所広司 / 広瀬すず 他 |
カメラを止めるな!〔2017〕
ゾンビ映画の撮影中に実際のゾンビが現れるというB級テイストで奇想天外なストーリーで始まります。
フィクションと擬似ドキュメントを組み合わせていて、アクシンデントまで計算で見せるという離れ技で、練りに練られた構成がすごいの一言。
2022年にフランス版でリメイクされるというところまで含めて、無名の新人監督と俳優が歴史を作った傑作です。
監督 | 上田慎一郎 | |
脚本 | 上田慎一郎 | |
原作 | 和田亮一 / 上田慎一郎(共同原作) | |
公開年 | 2017年 | |
出演者 | 濱津隆之 / 真魚 / しゅはまはるみ 他 |
しゃぼん玉〔2017〕
市原悦子さんの遺作でもある強盗傷害犯と老婆の交流を描いたヒューマンドラマ
女性や老人ばかりを狙って強盗傷害を繰り返していた青年は逃亡途中に怪我をして倒れていた老婆を助け、彼女の家に世話になることになります。
やがて、村の手伝いをすることになり、ある事件をきっかけに村に帰ってきた美知と知り合った彼は、村での生活の中で自分の罪の重さを自覚していくようになっていくというヒューマンドラマです。
市原悦子さんの遺作となった作品でもあり、ほのぼのとした中に、生きていくうえで大事なものは何か、罪を犯した人間の揺れ動く気持ちを描いた傑作です。
監督 | 東伸児 | |
脚本 | 東伸児 | |
原作 | 乃南アサ『しゃぼん玉』 | |
公開年 | 2017年 | |
出演者 | 林遣都 / 市原悦子 / 藤井美菜 / 相島一之 / 綿引勝彦 他 |
3月のライオン 前編 / 後編〔2017〕
幼い頃、家族を事故で失い、父の友人である棋士、幸田によって内弟子として引き取られ、育てられた桐山零。
幸田の実子との軋轢から家を出て、高校生にして六月町で一人暮らしをしていた零は、ある日先輩棋士に付き合って酔い潰れたいたところを橋向いの三月町に住む川本あかりに介抱されたことがきっかけできっかけで川本家と交流を持つようになります。
孤独を抱え、将棋でしか自分の存在をしめすことができない零でしたが、周りの人々と交流や様々なライバルとの対局によって心境に変化が生じていきます。
若手からベテランまで、名優が豪華に揃っていて、緊張感あふれる将棋のバトルものとしても人間ドラマとしてもしっかり描かれていて、前編、後編の2部作の見応えのある作品となっています。
監督 | 大友啓史 | |
脚本 | 岩下悠子 / 渡部亮平 / 大友啓史 | |
原作 | 羽海野チカ『3月のライオン』 | |
公開年 | 2017年 | |
出演者 | 神木隆之介 / 有村架純 / 倉科カナ/ 染谷将太 / 清原果耶 / 佐々木蔵之介 / 加瀬亮 / 伊藤英明 / 豊川悦司 他 |
君と100回目の恋〔2017〕
好きな子を救うために何度も時を巻き戻す、バンド×SFラブストーリー
幼馴染で、大学で一緒にバンドを組む葵海と陸。
すべて完璧にこなす陸にはある秘密がありました。
夏祭りでライブ披露するも、うまくいかず会場を逃げ出した葵海は交通事故に遭ってしまいますが、目覚めるとなぜかまた事故に遭う数日前に戻っていたというあらすじです。
シンガー・ソングライターのmiwaさんを主演に据えていてるだけあって、ライブや歌唱シーンが盛り沢山。
坂口健太郎さんをはじめ、脇を固める役者陣が好演していて涙を誘う感動のストーリーとなっています。
監督 | 月川翔 | |
脚本 | 大島里美 | |
公開年 | 2017年 | |
出演者 | miwa / 坂口健太郎 / 竜星涼 / 真野恵里菜 / 泉澤祐希 他 |
彼女がその名を知らない鳥たち〔2017〕
クレームを繰り返す欲求不満の主人公、十和子は、別れたかつての男・黒崎のことを思いながらも、15歳年上で野卑で不潔な陣治の少ない稼ぎをあてに一緒に暮らしています。
ある日時計の故障で百貨店にクレームをつけていたところ、社員・水島がお詫びの品を持って十和子のもとを訪ねてきます。
そして、水島と関係を持つようになっていく十和子は彼との情事に溺れていきますが、それを知った陣治はストーカーのごとくその関係に干渉していきます。
果たして、複数の男と関係を持つ十和子と十和子に尽くす陣治に隠された秘密とは。
人気ミステリー作家・沼田まほかるさんの原作による作品で、白石和彌監督ならではの性的描写や暴力シーンがかなり多いので観る人を選びますが、どんでん返しを好むミステリー好きにはたまらない作品ではないでしょうか。
体当たりの演技を見せた蒼井優さんは日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞をはじめとして各賞を総ナメにしました。
監督 | 白石和彌 | |
脚本 | 浅野妙子 | |
原作 | 沼田まほかる『彼女がその名を知らない鳥たち』 | |
公開年 | 2017年 | |
出演者 | 蒼井優 / 阿部サダヲ / 松坂桃李 / 竹野内豊 他 |
22年目の告白 -私が殺人犯です-〔2017〕
1995年に殺人の公訴時効が撤廃される前日までに起こった5件の連続絞殺事件。
その殺人事件の中に現役警察官、牧村も巻き込まれていましたが、事件は迷宮入りし時効を迎えてしまいました。
それから22年たち、自らが犯人だったと名乗る曽根崎雅人なる人物が告白手記を書いてベストセラーとなり、一躍時の人となります。
果たして、犯人の狙いと牧村はその犯人に対して、どう対峙するのか?
テンポのいい展開といい、驚きのラストといい、時効の問題を扱った社会派サスペンスとして面白い作品となっています。
監督 | 入江悠 | |
脚本 | 平田研也 / 入江悠 | |
公開年 | 2017年 | |
出演者 | 藤原竜也 / 伊藤英明 / 仲村トオル / 夏帆 / 野村周平 他 |
帝一の國〔2017〕
「総理大臣になり自分の国を作る」という目的と野望を掲げる赤場帝一。
日本一の超名門海帝高校の生徒会長をつとめたものは将来内閣入りが確約されると言われ、その座を目指すために奮闘します。
果たして、帝一の目指す自分の国とはどんな国なのか。
古屋兎丸さんの同名漫画を原作に、現在主役をつとめる若手俳優が勢揃いした豪華な作品。
監督 | 永井聡 | |
脚本 | いずみ吉紘 | |
原作 | 古屋兎丸『帝一の國』 | |
公開年 | 2017年 | |
出演者 | 菅田将暉 / 野村周平 / 竹内涼真 / 間宮祥太朗 他 |
8年越しの花嫁 奇跡の実話〔2017〕
原作となるのは婚約したのち300万人に1人という難病にかかり、意識不明になったところから8年かけて奇跡的に回復したカップルの実話にもとづいた作品です。
発症から目覚めて、リハビリを含めて回復していく様子の8年間をたった2時間で表現するのですからかなり無理もあるのですが、そこは名脚本家、岡田惠和さんの力が発揮されていると思います。
映画『エクソシスト』のモデルともいわれる奇病の様子を土屋太鳳さんは見事に演じていると思いますし、一途に思い、献身する様子は佐藤健さんだからこその伝わる部分がかなり大きいのでは。
その感動のストーリーの余韻に負けないくらいのback numberによる主題歌“瞬き”が力強く響きます。
監督 | 瀬々敬久 | |
脚本 | 岡田惠和 | |
原作 | 中原尚志・麻衣『8年越しの花嫁 キミの目が覚めたなら』 | |
公開 | 2017年 | |
出演者 | 佐藤健 / 土屋太鳳 / 薬師丸ひろ子 / 杉本哲太他 |
君の膵臓をたべたい〔2017〕
原作は大人気作家の住野よるさんのデビュー作品にして大ベストセラー作品です。
膵臓の病気で余命いくばくもない主人公とクラスで冴えない男の子が死ぬ前にやりたいことを実行していく内容です。
あまりにヒットしすぎてちょっと敬遠しがちですが、キャストも豪華なのでぜひ観ておきたい作品だと思います。
小栗旬演じる現在と北村匠海演じる過去パートをつなぐ謎ときが秀逸でラストは号泣必死です。
監督 | 月川翔 | |
脚本 | 吉田智子 | |
原作 | 住野よる『君の膵臓をたべたい』 | |
公開 | 2017年 | |
出演者 | 浜辺美波 / 北村匠海 / 北川景子 / 小栗旬 他 |
DESTINY 鎌倉ものがたり〔2017〕
鎌倉に住むミステリー作家、一色正和と亜希子は結婚し、生活を始めます。
この世界の鎌倉は妖気が充満していて妖怪や魔物、幽霊が実体化して生活してるようなところです。
そんな異世界のようなところでほのぼのとした生活を送っていますが、あるきっかけで妻を助けに黄泉の世界に行くことになります。
『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズの原作者と監督作品によるコミカルな人情ファンタジー作品ですが、
まるで宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』の実写版のような圧倒的な映像美と世界観を堪能できます。
監督 | 山崎貴 | |
脚本 | 山崎貴 | |
原作 | 西岸良平『鎌倉ものがたり』 | |
公開年 | 2017年 | |
出演者 | 堺雅人 / 高畑充希 / 堤真一 / 安藤サクラ / 市川実日子 他 |
チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜〔2017〕
ありがちなサクセスストーリーなのに実話というところがすごい作品
高校に入学した、友永ひかりは中学からの同級生かつサッカー部の憧れの男子であった孝介を応援したいがために軽い気持ちでチアリーダー部へ入部します。
いざ、入部してみると予想以上に厳しい練習で退部する生徒も出るなか、チームメイトと支えあいながら毎日鍛錬に励み、最終的にメンバーの中心を務める重要なポジションを担うまでになっていきます。
もし、これが単なる作り話であれば、ありがちなご都合主義のサクセスストーリー映画と言われるでしょが、実話がベースとなっていることに驚かされます。
本場アメリカのチアダンス選手権大会で優勝した福井県立福井商業高校の実話を映画化したもので、感動サクセスストーリーというよりも、監督やコーチ側のマネージメントの教科書として観るべき価値のある作品だと思います。
監督 | 河合勇人 | |
脚本 | 林民夫 | |
公開年 | 2017年 | |
出演者 | 広瀬すず / 中条あやみ / 山崎紘菜 / 天海祐希 他 |
2018年
万引き家族〔2018〕
表向きは独居老人の初枝の家で家族のように暮らす同居人。
初枝の年金とそれぞれの細々とした仕事に加え、万引きによって暮らしを立てています。
それに加え、虐待されている子を保護してあげるなど貧しい暮らしの中でもお互いが必要としあい、本当の家族のように過ごす様子はささやかな幸せを感じられます。
それでも世間的には悪であり、真実は見過ごされてしまいます。
本当の善悪とは何か心を揺さぶられるカンヌ国際映画祭でパルム・ドールも受賞した傑作。
監督 | 是枝裕和 | |
脚本 | 是枝裕和 | |
原案 | 是枝裕和 | |
公開年 | 2018年 | |
出演者 | リリー・フランキー / 安藤サクラ / 松岡茉優 / 樹木希林 他 |
祈りの幕が下りる時〔2018〕
犯人の生い立ちと動機に泣かされる“阿部寛「新参者」シリーズ”完結作
東野圭吾原作の『ガリレオ』シリーズと並ぶ人気シリーズが阿部寛さんが主演を務める加賀恭一郎の『新参者』シリーズで、ドラマ版、映画『麒麟の翼』に続くシリーズ完結作品となります。
東京都葛飾区小菅のアパートで滋賀県在住の40代女性・押谷道子の腐乱遺体が発見されます。
殺害現場に住むアパートの住人・越川睦夫も行方不明となっていましたが、殺害時期や現場が近い場所で発生した「ホームレス焼死事件」と何らかの関係が疑われます。
押谷道子の地元を捜索したところ、中学の同級生で演出家の浅居博美の存在が浮上し、しかも彼女は加賀知り合いでした。
事件の謎とともに加賀の生い立ちやなぜ日本橋にこだわるのかもシリーズの鍵のひとつでしたが、本作では母親の失踪理由にも迫る内容となっています。
松本清張の傑作『砂の器』を思わせる内容で、犯人の生い立ちや動機に泣かされる東野版『砂の器』ともいえる号泣必至の傑作です。
監督 | 福澤克雄 | |
脚本 | 李正美 | |
原作 | 東野圭吾『祈りの幕が下りる時』 | |
公開年 | 2018年 | |
出演者 | 阿部寛 / 松嶋菜々子 / 溝端淳平 / 伊藤蘭 / 小日向文世 / 山﨑努 他 |
SUNNY 強い気持ち・強い愛〔2018〕
2011年公開の韓国映画をリメイクした作品です。
90年代コギャルブームの時代に高校生活を送った6人グループも20年経ち疎遠になっていました。
ある日、主人公の奈美が母親の見舞いで病院に行くと、偶然リーダーだった芹香を見かけ、彼女が余命1ヶ月であることを知ります。
芹香は奈美にかつてのメンバーに会いたいと探すことに。
高校時代と現代を行き来しながらストーリーが展開していきます。
高校生役と大人になったそれぞれが絶妙にマッチしていて、違和感なく見ることができます。
韓国版とは大筋の流れは一緒ですが、時代背景やラストが微妙に違いがあり、どちらも甲乙つけがたいですが、個人的には韓国版のラストの方が好みですので、ぜひ見比べてみては。
監督 | 大根仁 | |
脚本 | 大根仁 | |
原作 | 韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』より | |
公開年 | 2018年 | |
出演者 | 篠原涼子 / 広瀬すず / 小池栄子 / ともさかりえ / 渡辺直美 / 池田エライザ / 板谷由夏 他 |
人魚の眠る家〔2018〕
二人の子を持つIT系機器メーカーの社長の播磨和昌とその妻、薫子は離婚を間近に別居状態でした。
そんな中、娘がプールの事故で脳死状態となってしまいます。
死を受け入れるか、延命治療をするか迷った末、和昌の会社の最先端技術を駆使して延命治療することを選びます。
だんだんエスカレートしていく薫子の行動は愛か、欲望か、東野圭吾作品の魅力の一つでもある医療や科学の倫理観を問う作品となっています。
子供たちの演技が際立っていて、涙を誘います。子を持つ親であれば誰もが胸を締め付けられるでしょう。
監督 | 堤幸彦 | |
脚本 | 篠崎絵里子 | |
原作 | 東野圭吾『人魚の眠る家』 | |
公開年 | 2018年 | |
出演者 | 篠原涼子 / 西島秀俊 / 坂口健太郎 / 川栄李奈 / 松坂慶子 他 |
恋は雨上がりのように〔2018〕
高校2年生の橘あきらは、陸上の100mで記録を持つほどだったけど、アキレス腱のケガで部活から離れて、ファミレスでバイトしています。
そんな彼女が恋したのが45歳の周りからもおじさんくさいと敬遠されている店長でした。
店長もまた夢を密かに抱えていましたが、お互い触発されていく青春純愛ラブストーリーです。
小松菜奈さんの走る姿がとにかくかっこよく、映画の世界観にぴったりのハマり役です。
歳の差の恋を描いていますがさわやかで、恋以上に人生の再生を描いた傑作です。
監督 | 永井聡 | |
脚本 | 坂口理子 | |
原作 | 眉月じゅん『恋は雨上がりのように』 | |
公開年 | 2018年 | |
出演者 | 小松菜奈 / 大泉洋 / 清野菜名 / 磯村勇斗 他 |
パパはわるものチャンピオン〔2018〕
プロレスファン以外にもぜひ観てほしい、切なくも感動のストーリー
主人公の大村はかつて人気と実力を兼ね備えたプロレス界のエースとして活躍していたもの、怪我や世代交代の影響で今では悪役覆面レスラー・ゴキブリマスクとしてリングに上がっています。
9歳の息子には内緒にしていたものの、ひょんなことから父親がゴキブリマスクであることを知りショックを受けます。
それでも、必死で戦う姿にだんだんかっこいいと思えるようになっていくというストーリーです。
原作は絵本がもとになっていて、ストーリーはほぼステレオタイプなものですが、世の中の本質をついていて、世の中にはなくてはならない仕事を引き受けてくれている人たちがいることやいじめや差別など普遍的な問題についてものすごく考えさせられます。
新日本プロレスレスラーが多数出演で、主役を棚橋弘至さんがつとめていますが、ワキを固める大泉洋さんと仲里依紗さんの掛け合いも面白いです。
監督 | 藤村享平 | |
脚本 | 藤村享平 | |
原作 | 作:板橋雅弘 絵:吉田尚令『パパのしごとはわるものです』『パパはわるものチャンピオン』 | |
公開年 | 2018年 | |
出演者 | 棚橋弘至/ 木村佳乃 / 寺田心 / 仲里依紗/ 大泉洋 他 |
今夜、ロマンス劇場で〔2018〕
映画愛にあふれたファンタジック・ラブストーリー!
映画監督を目指す助監督の青年と映画の中から飛び出してきたヒロインとの恋を描くファンタジー感あふれる作品です。
過去の若かりし頃の回想シーンと現在の年老いた入院生活を行き来する構成で、芝居がかった演出は多少気になるかもしれませんが、それもラストへ向けての伏線ともなっていてすごくいいです。
ウッディ・アレンの『カイロの紫のバラ』や『ローマの休日』など、さまざまな映画に対するオマージュが感じられて、映画への愛が感じられます。
晩年の病床に伏す主人公役を演じた加藤剛さんが、公開後の4ヶ月後に死去したことまで含めて、ドラマティックな作品です。
監督 | 武内英樹 | |
脚本 | 宇山佳佑 | |
公開年 | 2018年 | |
出演者 | 綾瀬はるか / 坂口健太郎 / 本田翼 / 北村一輝 / 加藤剛 他 |
50回目のファースト・キス〔2018〕
元はアメリカのロマンティック・コメディ映画で、そのリメイク作品です。
監督はクセの強いコメディ作品を得意とする福田さんで、こちらの作品もそのテイストが全開なので、好みが分かれるかもしれません。
ハワイでツアーガイドをするプレイボーイが恋した人は、事故によって記憶が一晩しか持たない女性です。
毎日初対面から始めて、愛を告白し続けるという、笑いあり、感動ありの作品です。
監督 | 福田雄一 | |
脚本 | 福田雄一 | |
原案 | アメリカ映画『50回目のファースト・キス』 | |
公開年 | 2018年 | |
出演者 | 山田孝之 / 長澤まさみ / ムロツヨシ 他 |
孤狼の血〔2018〕
原作は直木賞にもノミネートされた柚月裕子さんの傑作警察小説で、3部作の第1作目の作品です。
新米刑事と暴力団とつながりを持つ訳あり刑事のコンビの様子を描いていて、その訳ありの部分が作品の肝となっています。
暴力団対策法成立前の1988年の広島が舞台で、暴力団の様子なども女性作家の作品とは思えないほど、荒々しい内容です。
キャストも大御所から若手までとにかく豪華な顔ぶれが揃っています。
監督 | 白石和彌 | |
脚本 | 池上純哉 | |
原作 | 柚月裕子『孤狼の血』 | |
公開年 | 2018年 | |
出演者 | 役所広司 / 松坂桃李 / 真木よう子 他 |
去年の冬、きみと別れ〔2018〕
猟奇的なカメラマンの男とその謎を追うフリーライターが織りなす驚愕のミステリー
盲目の女性がカメラの撮影中に火災事故死し、故意か事故かで社会を賑わしたカメラマンの男がいます。
その男は無罪となりますが、その事件に興味を示したフリーライターの男が、出版社に企画を持ち込みます。
フリーライターはカメラマンに取材を申し込み許可されますが、そのフリーライターの婚約者にカメラマンの男が近づきます。
猟奇的なカメラマンの男に隠された謎とフリーライターの目的、それらの真実が明かされた時、驚愕の展開が待っています。
中村文則さんのベストセラーとなった原作作品で、少しグロさもありますが、サスペンスとして驚愕の事実が待っています。
映画が第二章からはじまるというストーリー展開も斬新。
監督 | 瀧本智行 | |
脚本 | 大石哲也 | |
原作 | 中村文則『去年の冬、きみと別れ』 | |
公開年 | 2018年 | |
出演者 | 岩田剛典 / 山本美月 / 斎藤工 / 浅見れいな / 北村一輝 他 |
こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話〔2018〕
全身の筋力が徐々に衰えていく進行性筋ジストロフィーという難病を抱え、体で動かせるのは首と手だけの鹿野靖明。
そんな24時間365日誰かの介助が必要であるにもかかわらず、夜中に突然「バナナ食べたい」と言い出すようなワガママな彼は自立生活を望み、大勢のボランティアの力を借りてそれを実現します。
自由奔放な彼と介助者、それぞれが対等な関係を築き、それぞれが恋や夢を追うことの大切さをを知る実話を基に描いた作品です。
すべてのキャストがハマリ役で、大泉洋さん、高畑充希さんでなければこの映画は成立しなかったのではと思えるほどです。
障害者を題材にしているということで綺麗事だけではない本音もしっかり描かれた骨太映画で、母とのやりとりに涙をとめられませんでした。
監督 | 前田哲 | |
脚本 | 橋本裕志 | |
原案 | 渡辺一史『こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち』 | |
公開年 | 2018年 | |
出演者 | 大泉洋 / 高畑充希 / 三浦春馬 他 |
坂道のアポロン〔2018〕
原作は小学館「月刊flowers」で連載されていた小玉ユキさんの漫画となります。
物語は意志をつとめる西見薫の回想から始まります。10年前の1966年に横須賀から長崎県佐世保市に転校してきた薫は、医者を目指す優等生です。
趣味はピアノで、転校初日に学級委員の律子とバンカラ風の千太郎に出会い、彼がジャズドラムを演奏することを知ります。
ジャズにはじめて触れ、それから共にセッションをするような仲になり、友情と恋愛模様に揺れ動いていきます。
この映画の魅力はなんと言ってもジャズの演奏シーンにあります。
知念さんも中川さんもずっとやっていたわけではなく、10ヶ月間ほど練習した成果だそうですが、それにしてはここまで上手くなれるものだろうかというほどの腕前です。
映画自体も感動しますが、演奏シーンを見るだけでも価値のある作品です。
監督 | 三木孝浩 | |
脚本 | 髙橋泉 | |
原案 | 小玉ユキ『坂道のアポロン』 | |
公開年 | 2018年 | |
出演者 | 知念侑李 / 中川大志 / 小松菜奈 他 |
2019年
新聞記者〔2019〕
内容は内閣主導のもと新設が進められている医療系新設大学をめぐる疑惑というまさしくあれな内容で、メディアの存在意義をかけて立ち向かう新聞記者とエリート官僚の葛藤を描いています。
あまりに現実をなぞっている内容なので、リアリティあふれる内容とみるか偏っているとみるかは各自の判断で分かれると思いますが、いろんな意味で衝撃的な作品です。
主演をつとめる松坂桃李さんと韓国出身のシム・ウンギョンさんのリアリティあふれる演技が作品に引き込む力を与えていて、キャスティングが見事にハマっているといえます。
まさにノンフィクションのようなフィクション作品です。
監督 | 藤井道人 | |
脚本 | 詩森ろば / 高石明彦 / 藤井道人 | |
原案 | 望月衣塑子『新聞記者』/ 河村光庸 | |
公開年 | 2019年 | |
出演者 | 松坂桃李 / シム・ウンギョン / 本田翼 / 岡山天音 他 |
閉鎖病棟 -それぞれの朝-〔2019〕
死刑囚の梶木秀丸は死刑執行されたものの生き残ってしまい、長野県にある精神科病院に送られます。
その病院には、幻聴を聴いて苦しむチュウさんや、家庭で虐待された由紀、それぞれ過去を背負った患者たちがいます。
そんな中、秀丸は病院内である理由から殺人事件を起こしてしまいます。
全編に渡り、一人一人の重く、観ていて切なくなるエピソードが続くのでしんどくなりますが、生きる意味や希望を与えてくれて、罪と正義を天秤にかけるような結末に深く考えさせられます。
第43回日本アカデミー賞で11部門を受賞した作品です。
監督 | 平山秀幸 | |
脚本 | 平山秀幸 | |
原作 | 帚木蓬生『閉鎖病棟』 | |
公開年 | 2019年 | |
出演者 | 笑福亭鶴瓶 / 綾野剛 / 小松菜奈 / 小林聡美 他 |
泣くな赤鬼〔2019〕
原作は重松清の『せんせい。』に所収されている短編小説です。
才能がありつつも努力することができず、野球部をやめてしまった少年とその当時の監督で担任だった先生が大人になって病院で出会うところから物語は始まります。
高校時代の回想と現在を行き来しながら進行しますが、野球部を辞めてしまった経緯は昔気質のほめずに、理由を言わないような監督に反発を覚えるという、わりかし経験した人も多いと思いますが、やはり全う出来なかったことは大人になって心残りになってしまうものです。
そんな病気になり死期の近くなってやり残したことを叶えようとする先生とのやりとりに、ラストは号泣です。
監督 | 兼重淳 | |
脚本 | 上平満 / 兼重淳 | |
原作 | 重松清『せんせい。』所収「泣くな赤鬼」 | |
公開年 | 2019年 | |
出演者 | 堤真一 / 柳楽優弥 / 川栄李奈 / 竜星涼 他 |
記憶にございません!〔2019〕
パロディのはずが現実にありそうで面白いシュールな作品
史上最低と悪名の高い総理が石をぶつけられて記憶喪失に。
記憶を失った総理は別人のように人格まで変わってしまいます。
さまざまな問題を抱えていたことを何一つ覚えていなくて、だんだん課題に取り組んでいき、ラストのどんでん返しも含めて爽快。
三谷作品らしさ全開ですが、政府のパロディ感があまりに芯を食いすぎていて、ある意味笑えないかも。
監督 | 三谷幸喜 | |
脚本 | 三谷幸喜 | |
公開年 | 2019年 | |
出演者 | 中井貴一 / ディーン・フジオカ / 石田ゆり子 / 小池栄子 他 |
マスカレード・ホテル〔2019〕
ホテルを舞台にした東野圭吾さんの人気「マスカレード」シリーズの第一作目。
都内で起こった3件の殺人事件。現場には暗号が残されていて、解読したところ次の4件目の事件はホテル・コルテシア東京で起きると示されていました。そこで刑事がホテルマンとして潜入捜査します。
ホテルには様々訳ありの仮面をかぶった客たちがいて、すべて怪しくミスリードの中で、本当の犯人は誰なのか。
木村拓哉さんと長澤まさみさんがタッグを組み、衝撃の犯人役にもあっと驚かされるミステリー作品です。
監督 | 鈴木雅之 | |
脚本 | 岡田道尚 | |
原作 | 東野圭吾『マスカレード・ホテル』 | |
公開年 | 2019年 | |
出演者 | 木村拓哉 / 長澤まさみ / 小日向文世 他 |
コンフィデンスマンJP ロマンス編〔2019〕
テレビシリーズで人気を博したコンフィデンスマン(信用詐欺師)のダー子・ボクちゃん・リチャードの3人を中心としたチームによる華麗な詐欺を描いた劇場版第一作目です。
舞台を香港に移し、香港を牛耳る「氷姫」ラン・リウをターゲットに決めます。
そこにかつてダー子と仕事をしていた恋愛詐欺師・ジェシーも現れ、さらにかつてダー子たちに騙されたヤクザ・赤星の影もちらつき、三つ巴の騙し合いが繰り広げられます。
テレビ版よりスケールアップし、だまされることはわかって観ているのに見事に騙される脚本力に脱帽です。
竹内結子さん、三浦春馬さんが揃って大活躍している姿を観ると、名優のあまりに早い死が残念でなりません。
監督 | 田中亮 | |
脚本 | 古沢良太 | |
公開年 | 2019年 | |
出演者 | 長澤まさみ / 東出昌大 / 小日向文世 / 竹内結子 / 三浦春馬 / 江口洋介 他 |
アイネクライネナハトムジーク〔2019〕
伊坂幸太郎と斉藤和義の関係から生まれた傑作群像劇ラブストーリー
原作は伊坂幸太郎さんがめったに手がけないラブストーリーで、伊坂さんが斉藤和義さんからの歌詞のお願いの代わりに書かれた短編小説がもとになった作品です。
小説では連作短編集となって、登場人物の関係性に対するサプライズがありましたが、映画でその関係性はフラットにつながっています。
主人公の二人はもちろん、友人夫婦、高校生、告白するために勝負をかける“ジム”職など、10年の時をかけて、さまざまな恋愛模様がコメディ的にも感傷的にも描かれています。
斎藤さんの主題歌“小さな夜”が劇中でも効果的に歌われていて、映画の雰囲気にぴったりです。
監督 | 今泉力哉 | |
脚本 | 鈴木謙一 | |
原作 | 伊坂幸太郎 | |
公開 | 2019年 | |
出演者 | 三浦春馬 / 多部未華子/ 矢本悠馬 / 森絵梨佳 / 恒松祐里 他 |
愛がなんだ〔2019〕
俺様で自己中心的な男に恋にいいなりになることを幸せに感じる恋愛中毒の主人公。
付き合っているような付き合っていないようなあいまいな関係で、いい時だけ利用されるような存在で、仕事も投げ出してしまうような感じです。
ただ片想いなのは彼女だけではなく、出てくる友人や彼本人も片想いだったりします。
恋や愛とは何かがよくわからなくなってちょっとイライラする感じの作品ですが、中毒性の高い作品。
監督 | 今泉力哉 | |
脚本 | 澤井香織 / 今泉力哉 | |
原作 | 角田光代『愛がなんだ』 | |
公開年 | 2019年 | |
出演者 | 岸井ゆきの / 成田凌 / 江口のりこ / 深川麻衣 / 若葉竜也 他 |
ザ・ファブル〔2019〕
適度な笑いとスタイリッシュなアクションシーンのギャップが最高
どんな相手も6秒以内に殺すという“ファブル(寓話の意)”と呼ばれる都市伝説のような殺し屋。
最近あまりに動きすぎたため育ての親のボスが、1年間大阪に移住し、誰も殺さず一般人として平和に暮らすという命令します。
それでもやはり戦わなければいけない局面となり、殺さずに人質を救出するというミッションに挑むことになります。
南勝久さん原作漫画を映画化した第一作目で、適度な笑いとスタイリッシュなアクションシーンが最高です。
監督 | 江口カン | |
脚本 | 渡辺雄介 | |
原作 | 南勝久『ザ・ファブル』 | |
公開年 | 2019年 | |
出演者 | 岡田准一 / 木村文乃 / 山本美月 / 安田顕 / 佐藤浩市 他 |
メランコリック〔2019〕
東大出身ながらうだつのあがらないバイト生活を転々としていた主人公の和彦。
たまたま行った銭湯で高校の同級生、百合と再会したことをきっかけに、ひょんなことからその銭湯でバイトとして働くことになります。
でも、その銭湯は訳ありで、実は「人を殺す場所」として貸し出していることを知ってしまい、和彦も巻き込まれていきます。
低予算のインディーズらしい仕上がりで、ユルさの中に独特の雰囲気があります。
長編第一作目となる新人監督ながら、いきなり東京国際映画祭で監督賞を受賞も話題となった作品。
監督 | 田中征爾 | |
脚本 | 田中征爾 | |
公開年 | 2019年 | |
出演者 | 皆川暢二 / 磯崎義知 / 吉田芽吹 / 羽田真 / 矢田政伸 / 浜谷康幸 他 |
今日も嫌がらせ弁当〔2019〕
ブログで人気を博し、後に出版されたエッセイが原作で、反抗期の娘に高校の入学から卒業まで、3年間キャラ弁などによる「嫌がらせ弁当」を作り続けた実話をもとにした作品です。
舞台は八丈島で、シングルマザーの篠原涼子さんが役柄にマッチしています。
継続することは本当にすごいことで、集大成ともいえるラストの弁当はまさに圧巻。
感動すること間違いなしの作品です。
監督 | 塚本連平 | |
脚本 | 塚本連平 | |
原作 | Kaori(ttkk)『今日も嫌がらせ弁当』 | |
公開年 | 2019年 | |
出演者 | 篠原涼子 / 芳根京子 / 松井玲奈 / 佐藤隆太 他 |
まとめ
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